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ランタイム環境とCI/CDデータつなぐ クラウド時代のセキュリティに利便性を Upwind Security

TECHBLITZ

Upwind Security(本社:米国カリフォルニア州、以下Upwind)は、企業の情報がクラウド上に保護される時代に必要なクラウドセキュリティのプラットフォームを開発している。クラウドというインフラは、オンプレミス(サーバやソフトウェアなどを自社で保有・設置・運用する形態)と違い「セルフサービス」であり、利便性が高い半面、オンプレミスと比較するとセキュリティ環境が十分に整っていない。Upwindはランタイム環境とCI/CDデータをつなげることでこの問題を解決しようとしている。共同創業者でCEOのAmiram Shachar氏に話を聞いた。

<font size=5>目次
顧客も「その発想はなかった」と驚く
前職時代に発見したビジネスのタネ
2024年内に日本市場参入へ

顧客も「その発想はなかった」と驚く

―Upwindはどのような問題を解決しようとしているのでしょうか。

 われわれは、クラウド上で完結するセキュリティプラットフォームを開発し、そのことで企業のセキュリティ担当者の仕事をラクにしようとしています。

 企業のセキュリティ部門にとって、クラウド上の安全性を担保する際の問題は大きく分けて2つ。「クラウド上でAIやベクターサービスなど、ありとあらゆるテクノロジーを引っ張ってこられること」「複数の方法でクラウドにデプロイできることから、守備範囲が広がっていること」にあります。

 Upwindはこの2つの問題を解決するべく、新たなプラットフォームを開発しました。それは「ランタイム環境」と「CI/CD(ソフトウエアの変更を常にテストし、自動で本番環境に適用できる状態にする開発手法)データ」を可視化し、結びつける技術です。ランタイム環境では、クラウド上にアプリがデプロイされた後、ネットワーク上で誰と話しているか、どんなやり取りをしているのかを見ることができます。

 現在の大企業でCI/CDを実践していない企業はほとんどありません。常に開発者がコードを書いている状態なのです。そうなると、開発者が常時行なっていることと、現場で起きていることに「断絶」が生じます。「ランタイム環境」とCI/CDデータを結びつける(メッシュ化する)ことでこの断絶を解消し、クラウド上の安全性を向上させているのです。

 われわれの顧客はありとあらゆる業界に存在し、実際にサービスを使うのはセキュリティ部門の従業員や、DevOpsチーム、部門内でセキュリティを担当する人たちです。顧客満足度は非常に高く「ランタイム環境とCI/CDデータをつなげるという発想はなかった」という反応を多くいただきます。

 創業して1年半以上が経過していますが、最初の顧客を創業後わずか10カ月で獲得した後、現在の顧客数は約50社と、急速に顧客数が増加しています。2024年の目標は売上高を10倍にすることであり、目標に近づいています。

image: UpwindHP

前職時代に発見したビジネスのタネ

―創業のきっかけは?

 私はUpwindを立ち上げる前に、Spot.ioというセキュリティ企業でCEOを務めていました。同社では日本にパートナーがいて、何度も東京に足を運びました。

 Spot.io時代に、自社で大規模なDevOpsを手掛けたとき、現在のクラウド環境の課題を整理したのです。すると、現在のクラウド環境においてはどうしてもセキュリティ部門の負担が重く、頻繁に現場との断絶も起きてしまうことを発見したのです。自社のクラウドで見つけた課題を、DevOpsの専門家であるわれわれが解決し、そのアイデアと成功体験をもとに、Upwindを創業したという経緯です。

Amiram ShacharUpwind SecurityCo-Founder & CEOThe College of Management Academic Studiesで学士号(BS)を取得後、MamramでTeam Leaderとして勤務。2015年にクラウド企業のSpot.ioを創業しCEOに就任。2020年に同社を売却した後、2022年9月にUpwind Securityを共同創業、CEOに就任。

―クラウド・セキュリティの専門家ですら、現在の複雑なクラウドインフラを管理しきれないのですね。

 そもそも、セキュリティ分野に専門性を持つ人材が不足しています。さらに、クラウドの進化は著しく、専門家でさえデプロイする安全な技術を見つけ出すことが難しくなっているのです。

 ランタイム環境とCI/CDを結びつけることのほかに、Upwindは単一のプラットフォームでクラウド上の全データを可視化しています。われわれのサービスを使えば、他の製品をインストールする必要もありませんし、異なる部門の担当者がひとつのダッシュボード上で動作確認ができるようになるのです。

 われわれのサービスなしでは、別々のツールでそれぞれランタイム環境とCI/CDデータを可視化するしかありません。人材も必要ですし、時間的なコストもかかります。Upwindの利便性も、われわれが支持を急速に拡大している理由のひとつでしょう。

―Upwindはどのようなビジネスモデルを採用しているのですか。

 クラウドのホスト台数に応じて、一定額の年会費をいただいています。ビジネスモデルは至ってシンプルです。

image: UpwindHP

2024年内に日本市場参入へ

―日本市場に参入する考えはありますか?

 もちろんです。Upwindはアメリカのほかにイスラエルにも拠点を構えていますが、日本・アメリカ・イスラエルは共通して新しい技術を導入することが非常に好きですよね。技術の革新性に対する適応能力の高さが、われわれが日本市場を有望視している理由のひとつです。

 さらに、日本市場は非常に大きな市場です。中堅企業でさえ、膨大な予算を持つ企業がたくさんあります。ただ、日本においては言語的なハードルがあり、適切なパートナーを持つことが必須でしょう。Spot.io時代には、最初の顧客を獲得するために数社のパートナーと協力しました。

 Upwindでも、顧客さえ獲得できれば日本で大きな成功を収められると確信しています。日本市場には投資していきますよ。具体的な参入時期としては2024年以内ですかね。

―日本の大企業とのパートナーシップを考えた場合、どのような業界に関心がありますか。また理想とする提携形態はあるのでしょうか。

 パートナーとして理想なのは、クラウドを大規模に利用している企業です。企業の規模は中堅〜大企業で、クラウドのユースケースを工夫している企業が理想だと考えています。こうした企業は往々にしてセキュリティにも注意を払っていますから、われわれとの相性も良いと思います。

 パートナーシップの形態としては、まずはリセラーかディストリビューターでしょうか。Upwindの日本での展開を共に目指す企業が理想です。中長期的には日本企業からの投資の受け入れも考えています。

―長期的には、Upwindをどのような企業にしていきたいと考えていますか。

 健全な企業経営を続けていきたいです。資金を調達するためだけに資金を調達するのではなく、製品を市場に投入し、成長を継続していく力をゆっくりと育んでいくことが理想です。

 言い換えると、会社の存続のための資金調達には意味がなく、持続可能で効率的な事業の展開と、市場の開拓を常にできる会社にしていきたいという意味です。顧客を理解し、彼らのためにできることはなんでもしていきたいです。そうした企業が真に顧客志向の企業だと思いますし、革新的なサービスを作っていくのだと思います。

従業員数なし

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