特別編集版『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント -小さな挑戦者の軌跡-』&10周年記念新作短編「幕間の楔」トーク付き上映会第3弾レポート! 河西健吾さん、細谷佳正さん、長井龍雪監督が作品について語る貴重な時間が繰り広げられた
2025年10月31日(金)より4週間限定で上映中の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント -小さな挑戦者の軌跡-』、および『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』新作短編「幕間の楔」。
そのトーク付き上映会第3弾が、先日11月22日(土)に新宿ピカデリーで開催され、登壇した河西健吾さん(三日月・オーガス役)、細谷佳正さん(オルガ・イツカ役)、長井龍雪監督の3名が、10周年を迎えた作品への想いや今回の短編「幕間の楔」についてファンの前で存分に語ってくれました。
本稿ではこのイベントの模様をレポートします。なお、今回は上映後の舞台挨拶のため、ネタバレありでのトークとなりました。
【写真】『ガンダム 鉄血のオルフェンズ』10周年 トーク付き上映会第3弾レポート
バルバトスの太刀やオルガがライドに渡したシュマグについて
今回のイベントMCを務めた天津飯大郎さんの呼び込みで登壇者が会場に現れると、まずは一言ずつご挨拶。その後、長井監督に今回の新作短編「幕間の楔」のコンセプトを伺いました。
「幕間の楔」はTVシリーズ第1期と第2期の間の鉄華団を描く物語となっていましたが、10周年に際してスタッフ間で話し合いの場が持たれ、その際にTVシリーズのシリーズ構成を務めた岡田麿里さんからオルガのスーツ、長井監督からバルバトスの太刀に関するエピソードをやりたいとの話が出て来たのだとか。そのふたつのアイディアを1つにまとめて、TVシリーズの時にやれなかったことをこの機会にやりたいとなって始まったのが「幕間の楔」だったそうです。
「幕間の楔」の感想を求められた河西さんは、第1期の終盤で三日月が使い方を理解したと言っていた太刀について、「幕間の楔」で集団戦などでは扱いづらいことなどに触れられており、二期でガンダム・バルバトスルプスが装備するソードメイスに繋がっていった理由が補完され個人的には腑に落ちたとコメント。
細谷さんは「(※オルガの)スーツの話ではあったと思うんですけれど、個人的にライドにシュマグを渡すシーンが結構グッときて。こんなに喜んでたんだな」と語っていました。また、「作品の世界観を守り続けてきて、十周年になって大人になって抜け感が出るみたいに、作品にもちょっと抜け感が出ているような気がした」とも。
長井監督は今回の「幕間の楔」を制作している時点から楽しんでいたそうで、久しぶりに鉄華団のみんなのことを描けたこと自体が楽しかったと一言。なんと最初は5分くらいのエピソードになる予定だったそうですが、徐々に何分まで延ばしていいのかという話になっていき、最終的には盛れるだけ盛ることになったのだとか。
続いて「幕間の楔」のアフレコに話題が移ると、長井監督からはノルバ・シノ役の村田太志さんのテンションがとてつもない高さだったというエピソードが飛び出しました。そして、長井監督は村田さんが最後までそのテンションで大丈夫なのか心配していたとも。
河西さんは「久しぶりですね」という気恥ずかしさもありつつ、同窓会的な雰囲気だったことを明かしました。実際の収録では全話通した後に第1期と第2期の間のエピソードを録るということで、キャラクター同士の関係性が深まり過ぎているとディレクションを受けたことがあり、そのチューニングを意識しながら収録に臨んでいたと話してくれました。
細谷さんは「(※TVシリーズは)奴隷扱いされているところからクーデターをおこして自由を勝ち取ったことから物語が始まったが、オルガというキャラクターがそもそもリーダーに向いているような人物ではなかった」とコメント。そして「オルガ自身、精神的にリーダーであろうとして背伸びをしていた」とも語りました。放送当時は「自分と河西さんがセンターでアフレコをしていく中で、やっぱり新人だから若いからとベテランと比べて見劣りすると言われたくなかった」とプライドを持って収録に臨んでいたそうです。
だからこそ「その精神的な背伸びが自然とできていた部分があった」と述べると、対する「幕間の楔」の収録はやっぱり同窓会のような雰囲気だと感じられたそうで、「ただ自然とその場にいられたなっていう感じがTVシリーズとは大きく違ったところだったなと思いますね」と収録を振り返っていました。
河西さん&細谷さんがエンディングから受けた印象は!?
そして、話題はキャラクターデザイン原案・伊藤悠さんによるエンディング映像について。MCを務めた天津さんもただのオタクのひとりとして「めちゃくちゃ良かった、ありがとう!」と感謝を述べる程の映像でしたが、細谷さんは「ライドが大人になって、ペンキを塗っている様子が描かれていたことが、シュマグの話を本編中で描いていることもあってグッとくるものがあった」と語りました。
河西さんは、試写を見る前からスタッフの方や先に鑑賞していたクーデリア・藍那・バーンスタイン役の寺崎裕香さんから、その評判のほどを聞いたいたそう。その段階で叶うのであれば三日月が暁(※三日月とアトラ・ミクスタの子供)を抱っこしているような映像が見たい……と想像していたのだとか。しかし、実際の映像ではそれは叶うことはなかったものの、エンディングではそんな暁の姿を見られ、かつ河西さんから見ると放送当時よりも少し成長した姿の暁のようにも感じられて思わず心を動かされた様子でした。
長井監督は最初に伊藤さんにイラストをオーダーした数はもっと少なかったけれど、伊藤さんの方からどんどん膨らませてくれたことに嬉しさがあった模様。長井監督自身伊藤さんのファンだからこそ『本作』のキャラクター原案をお願いしたところがあり、こんなにも作品を愛してくれていたんだと感じて感無量だったと心境を明かしていました。
『ウルズハント』に関する話題では、長井監督がTVシリーズが重たい物語だったので、もっとライトな雰囲気でこの世界観を描きたかったとコンセプトを説明。また、本編ではできないモビルスーツたちの活躍も楽しんでほしいと語っていました。
河西さんはそんな『ウルズハント』の本編とはまた違った雰囲気の物語である点は注目したようで、どちらかというと生きるために戦っていた三日月たちに対して、家族を守るだったり、金星を盛り立てるだったりのウィスタリオや『ウルズハント』からは明るい雰囲気を感じられていた様子。
その後、細谷さんに4週にわたって上映された週替わり特典映像について語っていただき、作品関連の告知を挟んだところでそろそろイベント終了の時間に。最後に登壇者からメッセージがありました。
細谷さんは「短い映画ではあるのですが、10年間応援し続けていただいた事実のようなものが形になって、こうやってみなさんにお見せすることができて、自分がそれに参加することができて嬉しかった」とコメント。そして、「今日お話をしながらちょっと涙ぐんでいる方もいらっしゃったりして、そういう作品に関われて本当に自分は幸運な演者だったと改めて思いました」とまとめました。
河西さんはファンのみなさんに対して、「この10年という歳月を一緒に駆け抜けてくださって、本当にありがたかった」と一言。そして、そんなみなさんの想いがあったからこそ、『幕間の楔』や『ウルズハント』を世に送り出せたのだと思うと感謝しかないと語り、これからも20周年、30周年と続けていきたいので引き続き応援をと熱を込めて語りました。また、コメントの最後に「次は長編でお会いしましょう」と呟くと、実現するか定かではないものの、『鉄血』のこの先の展開への期待を覗かせてくれました。
そして長井監督が、10周年という場を用意していただけたのも本当に作品を愛していたただいたおかげだと語り、本イベントは幕を閉じました。
4週間限定上映もそろそろ終盤となった本作。『幕間の楔』では三日月やオルガたち鉄華団の壮絶な戦いの合間にあった日常の一幕が見られますので、まだご覧になられていない方はぜひ劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか!