風光明媚な自然に囲まれた油山の「Sola」2号店が待望のフルコースランチをスタート!
本場フランスでミシュラン一つ星を獲得し、現在はベイサイドプレイス博多で客を迎える「Restaurant Sola」。国内外のグルマンが憧れる名店が、「Sola aburayama」を開いたのは昨年4月のことでした。複合体験型アウトドア施設に生まれ変わった油山の一画で、特製アラカルトやデザートを振る舞う2号店です。
そして6月17日からは待望のランチコースがスタート。雄大な自然の中で楽しむ料理は、きっと新しい「Sola」の一面を見せてくれるでしょう。
それを確かめに、天神から車で約30分の油山に出かけました。出発時はかなりの暑さでしたが、到着する頃には辺りはひんやり。そんな“プチ避暑地”な場所にある「Sola aburayama」は、カジュアルさと格調が絶妙に溶け合うレストランです。柔らかな陽射しが作る陰影が、洗練されたその表情にさらなる美を加えていました。
窓際のテーブルからは、大空の下に広がる福岡の街も一望できます。福岡近郊でこれほど絶景のレストランが幾つあるでしょう?
そして、個人的に注目したいポイントが「循環型社会の実現」への試みです。「Sola」のオーナーシェフ・吉武広樹さんは長年このテーマに向き合い、本店でも様々な食品ロス削減に挑んできました。そうしたなかで油山への出店依頼があり、「この環境なら取り組みをさらに促進できるかも」と2号店オープンを決めたとか。さっそくコンポストで作った野菜の堆肥を敷地内の畑で使うなど、目標に賭ける想いは着実に前進しています。
その成果の幾つかは、新登場のランチ「季節のおまかせコース」(8250円)にも見られます。内容は、アミューズ、前菜4品、メイン、デザート、小菓子の全8品。要予約で月曜〜土曜の提供ですが、日曜日もイベント的に出すことがあるので、興味ある方はInstagramのチェックをお忘れなく。
さて、最初のアミューズ(写真は2人前)が運ばれると、そこからは感嘆とため息の連続でした。切り株のプレートに並ぶ品々は、薪焼き野菜を巻いて食す蕎麦粉のクレープ、食感が快い糸島産トウモロコシのアイス、自前の畑で採れたズッキーニと糸島産イカをニンニククリームでいただくタルト。どれも色彩豊かなおいしさで、とりわけ野菜の瑞々しさが鮮烈です。
薄緑の果実は朝倉産のアーモンドで、ロースト前の種子を生で食べるという珍しい体験も。杏仁のような淡い香りが印象的でした。
これに続く前菜も、繊細な技術と独創性の宝庫です。1品目はガスパチョ仕立てのトマトで、メロン、スイカ、バジルのアイスなどと共に。2品目は奥日向サーモンと人参のコンフィの組み合わせ。穴子とトマトで取った冷製スープに、熱々の穴子フリットを合わせた3品目は温冷のギャップが面白い一品でした。
特に僕が惹かれたのは4品目。豚足・豚肉・椎茸の詰め物を、鮎で巻いて焼く意外な取り合わせの秀作です。炭のオイルや万願寺とうがらしのピューレも、海×陸の野生味を支える名脇役。一緒に出されたリゾットがまた素晴らしく、これは鮎の骨で炊いた“食材ロス対策”の一品だそうです。
メインには、30分以上も薪で火入れした糸島豚が登場。香ばしさに加え、噛むほどに染み入る旨味に魅せられます。「豚肉は、焼く前に米麹入り鶏ブイヨンに漬け込みました」と話すのは料理長の梅木彰太さん。「豚の隣は夏野菜のミルフィーユですね。本店と異なり、ここでは野菜を多用した“山の料理”を心がけています」
「Sola」としては前例のない挑戦続きですが、それは梅木さんにも好影響を及ぼしているそう。「僕ら自身で世話した畑の野菜を使ってますし、端材は堆肥にできるので、いっそう食材を慈しむようになりました。また開放的な環境は、料理の発想やアプローチを大胆にもしてくれます。そんな油山ならではの経験を、今後の成長に繋げたいですね」と言葉に力を込めました。
もちろんデザートも文句なしの完成度。朝倉産の桃を主役に、クレームダンジュ、レモンバーベナのジュレ、バニラアイスなどの澄んだ甘味が舌をとろかします。自家製リコッタチーズを炊く際に出るホエイを生かした小菓子に至るまで、一分の隙もないフルコースでした。
その美しい調べを奏でるのは、食材への敬意、見事な景観、2つの「Sola」を起点に「循環型社会を県全体に広げたい」と願う吉武さんたちの理念です。それらが生みだす自然の恵みを味わい、自分もまた自然の一部だと気づくとき、僕らは「Sola aburayama」の真の価値を知るのかもしれません。
Restaurant Sola aburayama
福岡市南区柏原710-2
092-982-7443コースのみ予約制