2500円のラーメンは高くない?清掃バイトは時給2200円!物価から人件費へ「ゴールドラッシュ」ニセコの今から見えること
カツカレー3200円に、アルバイトの時給が2200円。
ニセコの物価は、なぜこんなに高いのでしょうか?
そこには、この先の日本に訪れる未来の姿が…?
皆さんが抱えている「なぜ?」「どうして?」を調査する、HBC「もんすけ調査隊」。
今日の依頼は「SNSでニセコの物価が異常に高くなっていると見ました。なぜなのか?調べてください」というもの。
そのSNSというのがコチラ!
なんとニセコのキッチンカーで、えび天そばが3500円、さらに焼き鳥そば3000円、ウナギそば4500円という商品も。
この投稿は一躍話題になり、現在600万回以上、見られています。
いったいニセコで何が起こっているのでしょうか?
冬のニセコには、海外から多くのスキーヤーが殺到していますが…。
確かに、キッチンカーの看板には「和牛ステーキ丼2500円」「うな重3800円」の文字。
物価高騰は本当のようです。
さらに、スキー場横にあるコンドミニアムホテルのレストランに入ってみると…。
なんと!こちらは3200円のカツカレー。
確かに、ルーがたっぷりかかっていて、ボリューム満点で美味しかったのですが、特別なお肉ではなさそうです…。## 人件費もアップ!時給2200円も
ホテルによると、コロナ前に比較して清掃員の給料を50%ほど上げているのだそう。
高い人だと時給が2200円にもなります。
実は破格の時給について、HTMグループゼネラルマネージャーのグレッグターナーさんは
こんな理由を教えてくれました。
「それくらい人が必要になっていた。できるだけ周りよりは高く、周りの町や都市からも人が引っ張れるように、少し高く設定している」
実際、近くのコンビニでは時給1700円で募集していたこともあったといいます。
ニセコでは異常なほどの人手不足に陥っており、時給が高くなっているのです。
その結果、小樽や余市町など、近隣のマチからも働きに来る人がいます。
さらに、宿泊費などが高くなっている分、実は従業員などにも還元されているという事情も。
そして、私たちには高いと思う価格でも、外国人旅行者に聞いてみると…。
「オーストラリアより少し安くて手ごろな価格」
「他の国のスキーリゾートと比べたら高くない」
実は、オーストラリアや欧米の価格と変わらず、高いとは感じないのだそうです。
「搾取ではなくうまく回している」
金額が高いのには、こんな理由も…。
「全体的にほかの店と合わせているのも大きな要因」
そう語るのは昨年末にオープンしたばかり、ラーメン堀江家のJOE社長です。
屋台にも関わらず、本格的な北海道の味噌ラーメンが食べられると人気で、その名の通り堀江貴文さんがプロデュースした店です。
こちらのラーメンは一杯2500円ですが…。
「極端な搾取ではなく、うまい具合に経費を回している」とJOEさんはいいます。
2月末までの2~3か月の営業に、100万円近い工事費と家賃がかかってくることから、経費を回収するには、これくらいの価格設定が必要なんだとか。
さらに、ニセコエリアで飲食店の数が不足していることや、価格を下げると品質が悪いと見られることも、物価高騰の要因になっているといいます。
この物価の高騰には、実はある効果もあります。
物価が上がれば、上がってくるのが人件費。
いまや、札幌や東京以上の人件費になってきています。
倶知安観光協会の鈴木紀彦事務局長は「流れとしては決して悪くない。物価が高くなって、人件費が上がっていく。それは日本全体が目指すべきところだと思う」と話します。
つまり国際的な観光地の物価が上がると、その地域の賃金も上がり、周りの地域の賃金も上昇、それと共に世界的な物価水準に追いついていくというのです。
「需要と供給」各地で上がる物価
この流れは、外国人が殺到している小樽市でも…。
「この間、小樽に行ったんですけど、まさにインバウンド価格で、タラバ足8800円、ホタテ1枚2500円」(Xの投稿)
小樽市の一部の店舗でも、既にインバウンド価格を採用している店も。
さらに札幌のホテルでも、雪まつり期間中、多くの一般的なビジネスホテルでおよそ3~4万円、高いところでは10万円を超えるところもありました。
アンワインドホテル&バー札幌の大内智博ジェネラルマネージャーは「需要と供給と言いますか、多くの客が来ている時には、少し価格を上げて設定させてもらっている」と話します。
背景には資材の高騰や、さまざまな価格の高騰というのがあるといいます。
今はさながら「ゴールドラッシュ」?チャンスの一方、問題は…
ニセコバブルを最初にSNSに投稿したのは元ZOZO広報担当執行役員の田端さんです。
「買いたい人がいて売りたい人がいるんだから自由じゃないですか。押し売りしているわけでもないし。ボッタクリだとか言うのではなくて、『もうけてやろう』と思わないのが日本人のダメなところ」と指摘します。
「マズいものを、『こんな値段で出しておかしい』と言うんなら、ぜひ日本人が本物のうどんやソバを出したらいい。飲食店が足りなくて困っているんだから。食料もエネルギーも輸入しないといけない国なのに、外貨を稼がなかったらどうするんですか」と話します。
今の状況はまさに「めちゃくちゃ大チャンス、ゴールドラッシュみたいなことが起こってると見たほうがいい」と話していました。
調査結果です。
ニセコの物価が高いのは、人件費などの「経費の上昇」や、「飲食店の不足」、「安いと低品質に見られる」など、さまざまな要因がありました。
その一方で、観光学が専門の札幌国際大学の田中教授は、物価高騰が抱えるリスクも指摘しています。
品質の伴わない物価の上昇は、観光客の不満を招き、この先の観光客を減らす要因になってしまうため、中身の伴った物価上昇になるように注意が必要とのことでした。
そして、ニセコのような観光地では、別な問題も起きています。
・ホテルや観光地がつくられることで自然破壊が起こる
・水道工事やゴミの回収など公的負担の増加
・観光業のように給料を上げられない業種では人が集まらなくなる
・旅行者による渋滞など、生活環境の悪化
物価高騰のメリットとデメリットの両方に目を向けて考えていかなればなりません。
文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年2月2日)の情報に基づきます。