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半世紀前、街はアートだった。墨田区に『下町画廊 VOL VOLARE』を開いた写真家・高島史於が見出した下町の美とは

さんたつ

【散歩の達人】街はアートだった_2

2023年、古い床屋の建物を改装し『下町画廊 VOL VOLARE(ボル ボラーレ)』を開いた八広在住の写真家・高島史於(たかしまふみお)さん。約50年前にプライベートで夢中で撮影したのは、下町の生活が生み出す“インスタレーション”。撮りためた作品について話を聞いた。

お話を伺ったのは……写真家・高島史於さん

「これらの写真は僕にとっても下町にとっても財産です」

撮影のきっかけとなった子供靴を干す風景。1977年4月、八広2丁目。

撮影の始まりは、1977年、地元で見た光景だった。

写真家の仕事がまだ少なかった高島史於さんは、幼い娘さんを連れて撮影散歩をしていた。

「すると、洗った子供の靴を長い棒に刺して干していた家を見つけました。下町のインスタレーションだ! と思いました」

ロープで十字にきっちり縛った廃棄物の山。1982年2月、立花5丁目。

「Life-Scape」という人の生活の風景をテーマに決めた高島さん。ライカM3と標準レンズのズミルックスf1.4 / 50㎜を組み合わせ精力的に街に繰り出した。

家先に椅子を置き布団を干している。1982年2月、東向島。

「長屋の戸を開ければすぐ外で、外から開けると中が丸見え。内と外の区別なんてないわけです。家も狭いから、布団を干すとなると椅子を外に出して載せたり、ガードレールにかけたり。家から何でもはみ出していたのが当たり前の風景。それが面白かった」

「吊るした鳥籠と影のコントラストが面白くて」と高島さん。1982年2月、八広3丁目。

壁に無数にできたボール投げの跡、強風にあおられる生き物みたいな洗濯物など、高島さんが切り取る風景は、人は写さないのに不思議と人の匂いや温もりが漂っている。が、多忙になり撮影は1982年で終了に。

「残念ながらその後は、面白いと思える風景とあまり出合えなくなりました。でも今、これらの写真は僕にとっても下町にとっても財産です」

「ケトバシ」と呼ばれたプレス機がガラス戸の店先にずらり。1982年2月、東向島2丁目。

「Life-Scape」の数々

1977~82年の間に撮影したのは墨田、葛飾、足立、江戸川、台東の各区で、墨田区では八広、京島、立花、小村井、押上など。全108点あり、画廊のオープニング展で35点を展示した。開廊中は2冊のファイルで閲覧可能。2026年第2弾を開催予定。

『下町画廊 VOL VOLARE』

京成電鉄押上線京成曳舟駅から徒歩3分
東京都墨田区八広1-3-10 2F
☎090-6300-6466
Instagram:@volvolare
展示会のスケジュールはHP(volvolare.com/)まで。

取材・文=下里康子 撮影=高野尚人 写真提供=高島史於
『散歩の達人』2025年8月号より

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