42年続いた店の味をファンが受け継ぐ【趣味のお好み焼き酒場 のっぽっぽ】富山市の汽車ラーメンが復活 超人気店のお好み焼きも
長く続いた店が閉店したり、好きで通っていた店がなくなると、なんとも言えない悲しさを感じるもの。ぽっかりと空いた穴は他の店や食べ物では満たされません。
できれば店が永遠に続けば…と願いますが、店の事情や店主の体調を考えると簡単にはいきません。
でも、後継者不足で暖簾を下ろそうとしている店に救世主が現れ、新しい店主が新しい店の歴史を紡いでいくとなると、客としてこんなうれしいことはないものです。今回は、店主の味を残したいと立ち上がった客が後継者となり、味と想いをつなぐラーメン店を紹介します。
汽車ラーメンの店が「趣味のお好み焼き酒場」に
店があるのは富山市呉羽地域。
富山から戸出・小矢部へと向かう県道9号沿い、梨園が広がるのどかなエリアにあります。
建物は、嫌でも目につきます。
鉄道車両をそのまま店舗にした特徴ある店です。
汽車ラーメン「しゅっぽっぽ」の味を継承
ぴんっとくる人もいるでしょう。
こちらの店、もとは「汽車ラーメンしゅっぽっぽ」という名前で営業していたラーメン店です。
しかし、2024年末、店主の体調面を考慮して、惜しまれながら閉店。42年の歴史に幕を降ろしました。
▼「汽車ラーメン しゅっぽっぽ」の記事はこちら▼
そんな「しゅっぽっぽ」の跡を継いだのが矢後宣正さん。
愛称は「のり」ということで、1文字とって店名を「のっぽっぽ」にしたのだそう。
実はのりさん、人生で初めて食べたラーメンが「しゅっぽっぽ」で、幼いころからその味に親しんできた客のひとり。思い出の味を残すため、先代の森さんから味を受け継ぎ、店を継ぐ決心をしました。
現在は建設関係の自営業と二足のわらじで、新しい店を営んでいます。
ラーメンは思い出の味をそのままに
そんな歴史をつないだラーメンがこちら。
こだわりの醤油と、背脂にとんこつベースのスープを注ぎます。
具材はチャーシューにメンマ、ネギとシンプルで、奇をてらわず、先代から引き継いだ味を忠実に守って作られています。
麺は中太のストレート麺。
スープと同様、「しゅっぽっぽ」の味をそのままに、素朴ながらも旨みがぎゅっとつまった味わい深いラーメンです。
攻撃的!? 「ヘッドチャーハン」とは
こちらは、一部のファンから攻撃的な味!と評される名物の「ヘッドチャーハン」。
その味の秘密は、牛脂!
牛脂はオランダ語で「ved」。ヘッド、またはヘットと呼ぶことからヘッドチャーハンを名づけたのだそう。
背脂、マーガリン、玉ねぎに牛脂を加えることで、パンチがでるのだそう。矢後さん曰く、「鉄板焼のガーリックライスのニンニク抜きのようなイメージ」。
「しゅっぽっぽ」では、ニンニクをたっぷりと入れた刺激的なガーリックライスがラーメンに並ぶ人気メニューでしたが、こちらはその後を担うライスメニューと言ってもいいでしょう。
攻撃的と言いながら、旨みがあってどんどん食べ進めたくなる味です。
新たに加わった新名物「ぼてやん」直伝のお好み焼き
そして、こちらが「のっぽっぽ」の看板メニュー、お好み焼きのぶた玉です。
なんと、富山を代表するお好み焼きの名店「ぼてやん多奈加」直伝の味なんだとか!
確かに、四角い形も「ぼてやん」のそれです。
「ぼてやん」直伝であるワケは、矢後さんと「ぼてやん多奈加」の社長が先輩・後輩の関係だったから。試行錯誤し、アドバイスをもらいながら作りあげた味なんだそう。
「のっぽっぽ」になってからの新メニューであり、「お好み焼き酒場」と掲げる通り、店の看板メニューです。
想いをつなぎ新しい店を守る
飲食店の経営は初めてとなる店主の矢後さん。
いざ店を継いでみて実感するのは、営業時間よりも仕込みにかかる時間のほうが長くて大変なことだったんだとか。
そんな中で「しゅっぽっぽ」の店主の森さんが長年経験していた苦労や努力をまじまじと感じ、いっそう「店を大切にしていこう」という決意が固くなっています。
まずは味を変えないこと。
そして、「しゅっぽっぽ」がそうであったように、地元の人が来やすい明るい店に。
「しゅっぽっぽ」から続くレールに乗った「のっぽっぽ」、その長い旅が始まっています。
出典:KNBテレビ「ワンエフ」
2025年6月13日放送
記事編集:nan-nan編集部
【趣味のお好み焼き酒場 のっぽっぽ】
住所 富山県富山市吉作469-1
営業時間 月・火曜 11:30~13:30
金~日曜 11:30~13:30、18:00~21:00
定休日 水・木曜