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暑熱順化で熱中症に負けない体づくり 今から始める2週間の準備が決め手

TBSラジオ

日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。

医療ジャーナリストで医師の森田豊さんに「熱中症に負けない体づくり」を教えていただきました!

本格的な夏を迎える前に今から準備しておくことがとても大切なんです。熱中症にならないために、体に備わっている仕組みが2つあります。
暑いときや運動したときに体温が上昇しそうになると、皮膚に血液を集めて、皮膚の表面から外の空気に熱を逃がそうとします。ただこの仕組みは、体温が37度だとしたら、気温がそれよりも高い場合は働きません。
汗をかいてそれを蒸発させ、その時に奪われる気化熱によって体温を下げるという仕組み。
しかし今のような涼しい時期は、あまり汗をかかない人が多いため、汗を作る汗腺の働きが衰えてしまうんですね。今回は、その体の働きを改善方法や、熱中症の対策方法、脱水症の対策までお話しさせていただきました!

2週間かけて体を‘暑熱順化’させよう!

本格的な夏を前に今から行っていただきたいのが、熱中症にかかりにくくする「暑熱順化」です。すなわち、「汗を作る汗腺の働きを高めてほしい」ということですね。
番組でも何回も触れていますが、結局はこれが一番大切!
暑熱順化すると、汗が出やすくなるだけでなく、塩分の少ないサラサラの汗がかけるようになります。暑熱順化するのに必要な期間には、個人差がありますが、数日から2週間とされています。逆に、暑熱順化できる状態になっていても、数日から2週間汗をかかないと、元の体に戻ってしまいます。

暑熱順化の仕方

1. 運動で汗をかく習慣をつける
ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、「やや暑い環境」で「少しきついと感じる程度」の運動を1日30分程度。若い人はジョギング、ご年配の方は、早歩きでもかまいません。とにかく汗をかけばいいのです。

2. 運動が苦手な人は入浴でも効果あり
41℃以下のお湯に10分ほど浸かると睡眠の質も高まるというダブル効果も。サウナが好きな人は、サウナなんかも良いですね。
ちなみに・・・森田先生がが最近力を入れているのは、洗濯物を干す作業。4人家族なのでかなりの運動量がありますし、家族からも喜ばれて良い事しかありません。洗濯物を干したあと、汗をかいて、さらに風呂に入り、水分と塩分を摂取します。

3. 汗をかいた後にタンパク質を摂取
暑熱順化に加えて、血液量を増やすことで、更に熱中症にかかりにくくなります。まず暑熱順化で、1週間に4日以上、汗を15分~30分かきます。
直後に、牛乳、お肉、大豆製品などのたんぱく質を多く含む食品を摂取することで、体の血液の量が、20代で1週間、30、40代で2、3週間、50代以上で4週間程度続ければ、体の血液の量が200cc~400cc増加するという報告もあります。たんぱく質が消化吸収され血液の中に入ると水分やミネラルなども血液の中に入ってくる、移動してくることが知られています。血液量が増えれば、多少の脱水にも負けない、熱中症に負けない体を作ることができます。

動いているときに喉が乾いていますか?暑熱順化できているかチェックしましょう! 

暑熱順化できているかのチェックです。今から挙げる内容に当てはまる項目が多い人は、暑熱順化ができていない、すなわち夏へ向けた体の準備ができていないことになります。

1. 汗がベタベタしていない(サラサラの汗が出る)
2. 体が熱く、顔が赤くならない
3. 動いている時に喉が乾く

これらの項目に当てはまらない場合は、暑熱順化ができているサイン。逆に当てはまる場合は、まだ夏への準備ができていないということです。

また、暑熱順化しにくい体質の人には特徴があります。

40歳以上の人(発汗機能が劣りがち)
冷え症やストレスを感じやすい人(血液循環が悪い
運動が苦手な人
太り気味の人(皮脂が多いと汗をかきにくい場合も

逆に、汗がサラサラしている人や、軽く運動したり、「少し暑い」というときでも汗をかくという人は、暑熱順化ができているということになります。ただ、「暑熱順化できていれば熱中症にならない」というわけではありません。

対策は・・・
喉が渇く前から水分補給
汗をたくさんかいたら塩分も補う
脱水になりかけていたり、めまい、立ちくらみ、こむら返りなどの症状が出始めたら、経口補水液を飲むなどの対策が大事です。

もし熱中症になってしまったら、体の部位で冷やす場所は、太い血管がある、首、脇の下、太ももの付け根。最近では、血管がたくさんある「手のひら」を冷やすことも推奨されています。さらに、朝食を取っていないとき、睡眠不足のとき、夜間にエアコンの使用を控えている人は、熱中症のリスクが高いことが知られています。暑熱順化で体を作りつつも、細心の注意を払ってください。

脱水の状態を確認するには、爪、脇、皮膚、尿!

熱中症は脱水状態と密接に関係しています。日常的に自分の体が脱水状態かどうかを確認できる簡単な方法を教えていただきました。

1. 爪チェック
親指の爪を別の指でギュッと押す
離した後、ピンク色が戻るのに3秒以上かかる場合は脱水傾向

2. 脇の下チェック
脇の下は通常汗で潤っている
乾燥している場合は脱水の可能性

3. 皮膚チェック
手の甲などの皮膚をつまんで離す
元の状態に戻るのに3秒以上かかる場合は脱水傾向

4. 尿の色チェック
通常は薄い透明から淡い黄色
濃い黄色になっている場合は水分不足のサイン

脱水状態の重さによって、黄色からだんだんと色が濃くなっていき、オレンジっぽい色や、茶色に近づきます。医学的にみると、薄い黄色の段階で水分量自体は不足していることになります。暑さによる体調不良や脱水のような症状が出ていたら急いで水分補給や経口補水液を飲み、場合によっては病院にすぐに行ってください。これから暑い夏に備えて、熱中症に負けない体を作っていってくださいね。

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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