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『ゼーガペインSTA』、その謎と根幹に迫る! 監督・下田正美インタビュー①

Febri

TOPICS2024.08.19 │ 12:00

『ゼーガペインSTA』、その謎と根幹に迫る!


監督・下田正美インタビュー①

2006年に放送され、複雑ながらSF心をくすぐる世界観設定と、ループし続ける街で暮らす、学生たちの切ない群像劇で人気を博した『ゼーガペイン』。シリーズ最新作となる『ゼーガペインSTA(以下、STA)』は、TVシリーズとその前日譚である『ゼーガペインADP(以下、ADP)』が再構成された「レミニセンス編」と、TVシリーズのその後を描く「オルタモーダ編」から成り立っている。この作品で見せたかった新たな『ゼーガペイン』とは? 監督を務める下田正美に、劇中に散りばめられた謎についてもあわせて聞いた。

取材・文/森 樹

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

アニメクリエイターインタビュー_TOPICSゼーガペイン

『STA』の2部構成は「接触篇」と「発動篇」!?

――今回の『STA』は、TVシリーズと『ADP』を再構成した「レミニセンス編」と、その後を描いた「オルタモーダ編」で構成されています。
下田 最初、分けるつもりはなかったんです。回顧録の要素も入れつつひとつにまとめる予定でしたが、「オルタモーダ編」のシナリオと「レミニセンス編」の回想パートの相性が悪くて、それぞれ独立させた方が作品としての完成度が高いだろうと。イメージとしては『伝説巨神イデオン』の劇場版、「接触篇」と「発動篇」みたいなものですね。
――わかりやすいです(笑)。「レミニセンス編」では「デフテラ領域」など作品固有の用語にテロップが入っています。世界観をわかりやすくするための工夫ですよね。
下田 もちろん、そうですね。「オルタモーダ編」でも出てくる単語なので、事前に回顧録の中で「情報」として認識しておいてもらおうと。
――「オルタモーダ編」は、パチスロ『ゼーガペイン2』(2022年)の際に作られた設定をベースにしているんですよね。
下田 元々の設定自体は、原作者の伊東岳彦さんによるものです。世に出ていないものを含め、彼は『ゼーガペイン』と世界観を共有する続編や外伝企画をいくつも温めていました。その中の「α」という企画が、遊技機第2弾のオーダーとして親和性が高く、映像として落とし込んだかたちですね。

――当初からメディアミックスを想定していて、多数の企画やシナリオがストックされていたと。
下田 遊技機『ゼーガペイン2』に関しては、2016年の『ADP』とほぼ同時進行でした。そのときに『ADP』に登場したAIのルーパや、セレブラントの対立勢力としてオルタモーダを設定しました。それから脚本の高山カツヒコさんが参加されて、一緒に『ゼーガペイン2』のシナリオを詰めていきました。
――それを今回、「オルタモーダ編」というかたちで約70分の映像に仕上げたわけですね。
下田 そうですね。遊技機『ゼーガペイン2』のときはダイジェストに見えないようにしながらも、(ユーザーの)想像に委ねる部分も大きかったので、今回はさらに新規でシーンを追加して構成しています。

ルーパは『ADP』と「オルタモーダ編」の橋渡し役

――冬の舞浜市で過去のキョウ=キョウVer.1を導く案内役として、『ADP』にも登場したルーパが登場します。彼女はどういった存在なのでしょうか?
下田 まず『ADP』の設定は「外部からの侵略者であるオルタモーダから、ルーパが過去の舞浜サーバーを守っている世界」にしてくれ、というのが伊東さんの唯一のオーダーでした。映像ではそれを匂わせつつも、TVシリーズのプリクエル(前日譚)として制作しました。それで『ADP』ではキョウVer.1がすべての記憶を思い出してジフェイタス(ガルズオルムの月面拠点)に向かうとき、ルーパは一旦役割を終えていました。彼女は次の段階、つまりオルタモーダに対応するためにオケアノスから『STA』の世界に移動していました。そういう意味で、ルーパは『ADP』と「オルタモーダ編」の橋渡し的なポジションですね。

――オルタモーダを監視する立場として、ルーパは存在していたわけですね。
下田 それに限らず、セレブラントは以前から舞浜サーバーへの外部からの侵入を予測していて、シマ司令は準備していました。前日譚でもある『ADP』では、TVシリーズに登場していなかった第6ポータルのAIとしてルーパを登場させましたが、TVシリーズの時期、彼女は外部勢力への対応に追われていた、とも取れるように描きました。『STA』ではオルタモーダにルーパを通じてセレブラント側のさまざまな情報を引き出されてしまったのですが、それも用意周到なシマの戦略で、侵入者の出方を探るための「備え」だったんです。
――なるほど。シマがルーパを用いて、オルタモーダの情報を逆に引き出していたと。
下田 その時点ではシマは消滅していますが、そう捉えていただいて問題ないです。

オルタモーダのその後の活躍が観たくなる展開に

――『STA』に登場するオルタモーダという新たな種(幻体)ですが、リーダーであるハル・ヴェルトも含めて、個性的なキャラクター揃いですよね。『STA』で彼らをどのように描こうとしましたか?
下田 約70分という時間を考えたとき、必然的にバトルに集中することになりました。設定は豊富にあるので、1クールほど時間をかけて彼らの私生活や感情部分を見せることができればベストでしたが、限られた中でそれぞれの個性が出るように考えました。
――生身で戦う光対装備が今回から登場しますが、当初から設定にあったのでしょうか?
下田 ありましたね。量子サーバー内で戦う場合はホロニックローダーを持ち込むことができないので、自分の身体で戦うしかない。そのバトルでインパクトを与えるために生まれた、デザインディレクター・ハタイケ(ヒロユキ)さんのアイデアですね。

――たしかにオルタモーダの面々は派手で存在感があります。
下田 昔、東映まんがまつりで制作された『マジンガーZ対暗黒大将軍』のような、別シリーズと競演するお祭り作品として、違和感があるくらいの存在でもいいだろうと思っていました。お客さんにはオルタモーダたちに興味を持ってもらって、彼らの本来の活躍も観たくなるような展開につながれば最高かと。
――CGに関してもTVシリーズや『ADP』から進化を遂げたと思いますが、メカニック面の見せ方で意識したことはありますか?
下田 クオリティアップは必然的にあるので、今までにやっていなかったことを加えようとしました。デザインで言えば、オルタモーダ側のゼーガペイン(オルティックゼーガ)は石渡マコトさんにデザインをお願いしています。その際に「TVシリーズから10年経ったゼーガペインを、あなただったらどういう風に描きますか?」と伝えました。その結果、凶悪さや透明度、そしてギミックも増えた最新のゼーガペインが上がってきた、ということですね。

下田正美しもだまさみ アニメーション監督・演出家。1996年、『セイバーマリオネットJ』で監督デビュー。『ゼーガペイン』では、TVシリーズ、『ADP』、『STA』と、すべての作品で監督を務めている。後編(②)に続く作品情報

ゼーガペインSTA
2024年8月16日(金)より大ヒット上映中!

<発売情報>
ゼーガペインSTA
2024年8月16日(金)より上映劇場にてBlu-ray(特装限定版)&(通常版)先行販売
2024年12月25日(水)よりBlu-ray(特装限定版)&(通常版)一般発売

Blu-ray(特装限定版)
税込価格:¥16500
品番:BCXA-1945

Blu-ray(通常版)
税込価格:¥7700
品番:BCXA-1944

©サンライズ

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