猫は暑がり?寒がり?快適に過ごせる『最適な室温設定』5つのポイント
猫の快適な室温設定のポイント5つ
猫の快適な室温管理のためにも、できるだけエアコンを適切に使用しましょう。しかし、自動運転にして放置してしまうのは不十分です。
以下に、猫に最適な室温設定のポイントをまとめます。
1.基本温度を目安に
どの猫でも快適に過ごせる温度は21〜28度の範囲です。夏場の室温なら26〜28度くらいが適温です。冬場なら21〜23度あれば十分に暖かく感じます。
エアコンの自動運転はエネルギー効率が考慮されているため、電気代の節約にはつながりますが、猫の快適さを優先するときには、うまく適温にできないこともあります。
猫がいる場所に直風が当たらないようにし、ドームベッドやほかの場所へ移動できるような配慮もしておくと良いでしょう。
2.季節に応じた調整
エアコンを使用する場合、同じ設定温度にしても外気温との差が異なるため、夏と冬では体感温度が違うことがあります。夏はすこしだけ涼しめに、冬はすこし暖かめに調整すると良いでしょう。
特に夏場は注意が必要です。30度を超える日の扇風機は熱くなった風を部屋中に回すだけとなり、結果的に猫の体調不良を引き起こしかねません。そのためにも、エアコンの使用は不可欠です。
冷気は部屋の下に溜まるため、扇風機やサーキュレーターは空気を循環させるために使用すると、暑すぎず冷えすぎず快適な温度が作れます。
3.窓からの熱対策
直射日光が当たる部屋は、一日を通して温度の差が大きくなりがちです。
室内の温度は窓際で変化するため、大きな窓がある部屋は、いくらエアコンを使用しても部屋の空気が外気温に影響されてしまいます。
エアコンの温度を変更するだけでなく、雨戸やカーテンをしめる、断熱シートを使うなどの工夫も有効です。冬場の冷気を遮断するのにも役立ちます。
4.湿度管理
快適な室温を保つためには、湿度の管理も大切です。湿度が高いと暑く感じ、低いと涼しく感じます。
猫にとって最適な湿度は50〜60%程度です。夏の雨の日などは、湿度が80%を超える場合もあるので湿度計を用意して定期的にチェックするとよいでしょう。
長時間エアコンをつけていると乾燥してきますが、高湿度の時には除湿機能を使って部屋の温度を調整するのも有効です。
5.愛猫の気持ちいい温度を知る
一般的な猫の快適温度を21〜28度程度と解説しましたが、実際には猫には個体差や品種差、環境差があります。特にシニアになると、猫も体温調節機能が衰えてくる傾向にあります。
そのため、数値だけにとらわれず、実際に愛猫の様子をよく観察しながら設定温度を調整することが必要です。
口呼吸をはじめたら暑すぎて危険ですし、ぎゅっと丸くなって寝ていれば、もしかしたら部屋が冷えすぎているのかもしれません。適宜調整してあげるようにしましょう。
猫の温度に対する適応力
猫が暑がりか、寒がりかといえば、その両方かもしれません。猫の特性は、イエネコの祖先の出身地に由来しています。
イエネコの先祖は、北アフリカから中近東付近の出身と考えられています。このあたりの気候は、昼間は非常に暑く、夜間は寒いという昼夜の気温差が非常に大きいという特徴があります。このような環境に適応して進化してきた結果、猫は幅広い温度帯に耐えることができるようになりました。
現在、飼われている猫の中でも、純血種などは原産地によって快適な温度は異なります。たとえば北極圏に属する北欧出身のノルウェージャンフォレストキャットは、極寒の冬に耐えられる長い被毛をもっているため、暑さには弱く熱中症になりやすい傾向があります。
一方、東南アジア出身のシャムやバーミーズなどは、日本の高温多湿な夏でも比較的問題なく過ごせます。
しかし、耐えられるからといって「快適」であるとは限りません。
猫は暑いときにはグルーミングをして、被毛につけた唾液を気化させることで体温を下げようとします。汗腺が肉球にしかなく、人間のように全身に汗をかいて体温を下げることができません。一方、寒いときには、お腹を抱えるように小さく丸くなり体温が逃げるのを防ぎます。
猫の体温は、人間よりもすこし高めで38〜39度くらいですので、気づいたときには暑くなりすぎたり、冷えすぎたりしてしまう危険性があるため、環境の温度を調整することが大切なのです。
まとめ
猫はさまざまな環境に耐えることができますが、やはり愛猫には「快適」な温度で過ごしてもらうことが健康面でも大切になります。
猫が快適に過ごせる室温は、一般的に21〜28度とされています。だいたい20度台であれば、あまり大きな問題はありません。「暑すぎず、寒すぎず」を心がけましょう。
また、エアコン設定だけに限らず、空気の循環や外気温の影響、湿度などにも気を配るようにしましょう。いっそう快適に、健康的に過ごせます。
個体によっても感じ方や好みもありますので、愛猫の様子をよく観察して調整してあげてください。
(獣医師監修:平松育子)