小学校入学のストレス?急増した小1息子の気になる癖…家庭や学校でも影響が!?
監修:初川久美子
臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
感覚過敏の息子。小学校入学後に起きた変化は?
小さい頃から洋服の素材や触感、太陽の光の眩しさなど、いろいろな感覚に敏感だった長男。何かを気にすることがきっかけで、ある行動が癖付いたりすることもよくありました。成長と共に行動の癖は変わったり、落ち着いたりしてきたのですが、小学校に入学して環境が変わったからか、いくつか新しい癖が出るようになりました。
かなり気になる新しい癖……。ついつい注意してしまうことも
その中でも少し困っていたのが、舌を鳴らす癖でした。舌を口の中ではじいて音を出すのですが、それがなかなか大きな音で、出先などで鳴らされると目立ってしまい気になるほどに。
家でもずっと舌を鳴らしているので、私もかなり気になってはいたのですが、注意するともっとひどくなったり、本人もストレスになったりするかもしれない……と考え、あえて指摘しないようにしていました。しかし、夫は我慢しきれず、舌鳴らしを強く注意してしまうこともありました。
学校内でも影響が!?特別支援学校の先生の考えは
長男の舌を鳴らす癖は学校でも出ていたようで、ある日先生からショッキングな連絡を受けました。長男が在籍している特別支援学級のクラスに聴覚過敏のある子がいたのですが、長男の舌鳴らしに耐えられず、別のクラスへ移動したと言うのです。
お友だちにも迷惑を掛けてしまうことになり、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。しかし、特別支援学級の先生も、「癖を注意して無理やりやめさせるのは良くない」という考えで、癖が落ち着くまで見守ろうと判断してくださり、しばらくお友だちとは距離をとることで対応するという結論になりました。
気になる癖、いつまで続くの?自然にやってきた終わり
この舌を鳴らす癖は、しばらく気になって仕方がありませんでしたが、あえて触れないようにして過ごすうちに、数ヶ月後には気づいたらなくなっていました。おそらく、長男も学校に慣れてきて、ストレスが減ってきたことも影響したのかもしれません。
最近は新たに鼻をむずむずさせる癖が出てきてはいますが、またいつかは落ち着くかと思うので、引き続き指摘しないようにしつつ見守っていきたいと思います。
執筆/プクティ
(監修:初川先生より)
癖についてのエピソードをありがとうございます。癖やチックに関しては、基本的には見守ることが対応法の第一です。指摘すると、意識せずしてしまう癖等を止めようと思って意識してしまうこともあり、余計ストレスになり悪化することもあります。クラスのお子さんが長男くんの癖がつらくて教室を移動されたそうですが、環境調整としての対応は必要だった(上記理由により癖をすぐに止められるものではないため)と感じます。それを聞いたプクティさんは衝撃を受けられたかと思いますが、落ち着くまでの手立てとしてはお互い良かったと思います。
さて、長男くんの舌を鳴らす癖は自然と落ち着いてきたとのこと。特にチックのような癖にはそうした展開が多くあるように思います。慣れない環境で頑張っている、不安なことがあるといったときのサインとしてそうした癖をとらえ、むしろそうした不安が安心に変わるような手立てを取っていく(チックや癖自体をなくそうとするのではなく)ということが基本方針だと思います。そうした癖やチックが出た場合には、何らか無理やストレスがあるのかもしれないなと日々の生活を点検してみてください。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。