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【中学受験する? しない?】“しない派”が小学生の内にやっておきたいこと〔専門家監修〕

こそだてまっぷ

中学受験“しない派”は、小学校生活をどう過ごすとよい?

例年2月は、中学受験を見据えて進学塾に通い始める小学生も多くなる時期です。 特に都市部では、小3(新小4)の2月から塾に通い始めるのが一般的。受験を予定していないご家庭でも、周囲に塾通いの子が増えると、「うちの子だけこのままで大丈夫?」と不安や焦りを感じることもあるのではないでしょうか。

現役の塾講師で教育系インフルエンサーの東田高志さんは、たとえお子さんが中学受験を選ばなかったとしても、しっかりと学力をつけ、将来に備えることができるといいます。「中学受験しない派」が、小学校時代にやっておきたいことや、「受験しない」からこそできる体験・経験について、紹介します。

中学受験をするメリット・デメリットとは?

2024年、首都圏の中学受験率は約18%と、過去最高を記録しました。今後もしばらくは、高い受験率が維持されると考えられます。中学受験をするメリット、そしてデメリットには、どんなことがあるのでしょうか。

【メリット】早期の学力アップが期待できる

中学受験をするメリットは、受験勉強とその後の学校生活で、高度な学力が養われることです。とりわけ、数学と理科の学力は、受験勉強で大きく伸びます。見事合格した場合、入学後は、一定以上の学力レベルの集団で刺激を受けながら、中学・高校の6年間を過ごすことができます。もし将来的に一定レベルの難関大を目指すなら、中学受験をすることで、理系進学にも耐えうる学力が着実に身につけられるといえます。

【デメリット①】小学校時代の3年間が拘束される

現在、大都市圏を中心に、中堅校以上の中学受験が激化しています。中学受験の準備期間は年々長期化し、中堅校以上を狙う場合は、小4(小3の2月)からの準備は必須。つまり、小学校時代の後半の3年間が、受験勉強に拘束されざるをえません。

【デメリット②】「晩熟タイプ」の子どもに不利

小学校時代は特に、年齢や脳の成長度合いが、学業成績に強く影響を与えます。子どもの成長の特性として、知的好奇心が強く心の成長が早い「早熟タイプな子ども」は、中学受験に向いているといえます。反対に、早生まれや「晩熟タイプな子ども」は、精神的な成長度合いが同級生よりゆっくりのため、努力だけではその差を埋められず、中学受験では不利になることも多いのです。

中学受験“しない”メリットとは?

中学受験をしないメリットは、ご家庭に「金銭的余裕」と「時間的余裕」が生まれることです。金銭的な余裕ができた分、お子さんの習い事や、家族旅行での思い出づくりなどにも予算を振り分けることができます。また、お子さんが勉強に限らず、自分の興味があることや好きなことに打ち込む時間も生まれます。

中学受験しないことで生まれた「余白の時間」を、習い事や体験活動、読書、趣味などにたっぷり使いましょう。

“とりあえず”中学受験塾に通うのはアリ?

中学受験を予定していなくても、将来の学力のためにと、子どもを受験塾に通わせるのはアリなのでしょうか。実は、一度塾に入ってしまうと、後戻りができなくなるケースも多いようです。親にはそのつもりがなくても、塾で周囲のテンションが受験に向けて上がっていく中で、子ども自身も触発されてしまうこともあります。結局受験せざるを得なくなることもありますので、入塾の際には慎重に考えた方がよいでしょう。

中学受験“しない派”がやっておきたいこと

中学受験をしないと決めたとき、子どもの可能性を最大限に引き出すために、小学校のうちにやっておきたい4つの柱をご紹介します。

①「自立学習」の習慣を身につける

1日10分から自立学習の習慣づけを

小学生の内に自宅で机に向かう習慣をつけさせましょう。通信講座や市販のドリルなどを利用しつつ、最初は1日10~15分からでOK。慣れたら徐々に時間を伸ばしていき、小学校卒業までに、1日30分~1時間くらい集中して机に向かう習慣づけが行えると◎。

ただ現実的に、自分だけの力でスムーズに自立学習に移行できる子どもはごく少数です。そのため最初はある程度、保護者の伴走が必要です。例えば、「一日のこの時間帯は勉強時間にしよう」と決めて、「がんばれたら週末に遊園地に行こう」「〇〇を買ってあげる」など、定期的にごほうびをあげるような工夫をしてもよいでしょう。学習習慣が軌道に乗りさえすれば、そこからはごほうびナシでも、子どもは当たり前のように毎日勉強するようになるはずです。

高校・大学進学まで見通して考える

自立型の学習習慣は、中学入学後には、高校受験対策としても役に立ちます。自立学習の習慣づけができていれば、ある程度のレベルの高校を受験する場合でも、中3くらいまでは塾ナシで対応することもできるはずです。また、将来的に、子どもに難関とされる大学を目指してほしいと考えるなら、中学受験する・しないという以前に、小学生の頃からしっかりと学力を積み上げていく必要があります。

②中学に備えて「英語力」を強化する

中学校英語に向けて英語対策

近年、公立中学校の英語はかなり難しくなっています。小学校の内は、どちらかというと「英語に親しむ」雰囲気が強いのですが、中学に入ったとたん、正確な文法に基づいた英語でのライティング力も重視されるようになります。そして中学入学後、多くのお子さんがそのギャップに苦しんでいるという現状があります。そういった意味で、英語については、家庭でもある程度対策をしておくと安心です。一番手っ取り早いのは、小学校高学年頃から、英語だけは塾に通わせること。大手の塾に限らず地元の個人塾などでも、公立中学の学習内容を先取りして始められるところはあります。

小学校時代の英語学習は“しない派”の特権

中学受験の科目には英語がないため、中学受験組はどうしても、英語学習に割く時間が短くなります。つまり、中学受験をしないお子さんには、受験勉強で中断することなく、英語学習に時間を使えるという特権があるのです。

英会話スクールに通っている場合は?

実は、英会話スクールに通っていても、中学英語で苦労するお子さんは少なくありません。なぜなら、英会話スクールでは、スピーキングとリスニングの学習を主体とすることが多いからです。そのため、正確な文法に基づくライティングが学びの主体となる中学英語では、そのギャップに苦しむ場合があります。そういったことに対応するためには、小学校5~6年くらいから、市販のドリルや通信講座などで、ライティング力も補完していくのが安心。

ただし、英会話スクール自体をやめる必要はありません。英会話力は、将来を見据えると、海外留学のチャンスにもなるなど、いずれは役に立つはずだからです。

③「計算力」の基礎がため

「正確性」と「スピード」をチェック

「計算力」は数学・算数すべての基礎です。まずは、計算の「正確性」と「スピード」をしっかり鍛えることが、とても大切です。お子さんのテストやドリルの点数や解答の仕方を見て、「正確性を欠いている」「スピードがゆっくりしすぎている」などと感じたら、早いうちから計算力を鍛えることをおすすめします。学習塾に通わせる、もしくは市販のドリルを1日1ページやることから始めてもOK。ドリルの場合は、採点は保護者がしてあげましょう。

前の学年に戻って問題を解いてみる

子どもの計算力がおぼつかない場合は、1~2つ前の学年のドリルにもどって始めてみましょう。例えば小4なら、小2~3年生向けのドリルから始めてみます。意外と、前の学年で学習した基礎からできていなかったということもあります。もし「大丈夫だな」「スピードも問題ないな」と思ったら、残りは飛ばしてもOK。特に、分数・小数はつまずきの大きなポイントです。計算力だけでもしっかり鍛えておくと、中学入学後も、数学の授業でつまずく危険性が抑えられるはずです。

④体験活動で「生きるための偏差値」を上げる

小学校高学年は「体験活動の黄金期」

文部科学省が2023年に公表した報告書によると、小学校高学年(5・6年)頃の自然体験や文化体験が、「生きるための偏差値」つまり、自尊感情、精神的回復力、がまん強さといった非認知能力を劇的に向上させるといいます。小学生高学年は、「体験活動の黄金期」といえるのです。中学受験をしないからこそ生まれた余白の時間を、机上の受験勉強では得られない、習い事や体験活動にたっぷり使いましょう。

やり遂げること」が将来の可能性を広げる

今は、多種多様な習い事がある時代です。スポーツやプログラミング、ロボット教室、歴史、絵画、ボーイスカウトなど、小学生低学年・中学年で、子どもの興味や才能を引き出す習い事をいくつか見つけてみましょう。そして、高学年で数を絞り、それを小学6年生まで続けてやり遂げる。その経験が結果的に、将来の専門性や、人生の軸となる趣味や興味につながることも大いにあるのです。

自信を持って、中学受験“しない”選択をしよう

もちろん中学受験にも、多くのメリットがあります。けれども大切なことは、中学受験だけではない進路や選択肢があることも知り、お子さんの適性を見極めつつ、親子で十分に話し合い、考えることです。その上で、「わが子にはやはり中学受験が合っている」と判断するのであれば、何も問題ありません。反対に、「小学校時代は受験勉強ではなく、〇〇を精一杯やらせてあげたい」「晩熟タイプのわが子は、中学受験よりも、高校受験に照準を合わせて準備していったほうがよい」などと感じられる場合は、その選択肢を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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