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夏のボーナスが過去最高98万円!でも、気になる中小企業の実態は?

mymo

大企業の夏のボーナス支給額が1人あたり98万3112円となり、同様の調査方法が開始された1981年以降で最も高くなりました。久しぶりに景気の良いニュースですが、「最近、景気が良いな」と実感している人は少ないと思います。それはなぜなのか、どのような状況になれば、皆が景気の良さを実感できるようになるのでしょうか。今回はそのあたりを考えていきたいと思います。

大企業の夏のボーナスは1981年以降で最も高いが…

【画像出典元】「stock.adobe.com/ah」

日本経済団体連合会(経団連)は7月12日、今年の夏のボーナスについて従業員数500人以上の大手企業97社の回答をとりまとめ、発表しました。それによると、今年の夏のボーナスは従業員1人あたり98万3112円で、前年より4.31%増加。比較可能な1981年以降で最も高くなりました。

業種別に見ると17業種のうち、14業種で前年比から増加しています。伸び率が特に大きかった業種は、自動車(前年比17.83ポイント増加)、セメント(同13.54ポイント増加)、鉄道(同11.50ポイント増加)、紙・パルプ(同9.79ポイント増加)など。一方、化学(同6.81ポイント減少)、電機(同2.14ポイント減少)、食品(同1.23ポイント減少)の3業種は、前年より減少しています。

前年より減少している業種はあるものの一部に留まり、総合的に見れば大企業の経営状況は好調あるいは堅調と言えるでしょう。しかし、「ボーナスが増えて好景気を実感している」という方は少ないのではないでしょうか。それもそのはずで、経団連の調査対象は従業員数500人以上の大手企業のみだからです。

2016年の「経済センサス活動調査」によると、中小企業は企業数全体の99.7%に上り、大企業はわずか0.3%に留まります。従業員数で見ても、中小企業の従業員は全体の68.8%と7割近くを占めます。そのため、大企業だけの調査では、日本全体の景気の動向を伺い知ることは難しいのです。むしろ、中小企業の経営状況こそが日本経済に直接的な影響を及ぼすと言ってもいいでしょう。

中小企業のボーナスの動向は?

【画像出典元】「mayu85/Shutterstock.com」

それでは、中小企業の今年の夏のボーナス状況はどのようになっているのでしょうか。帝国データバンクが行った「2024年夏季賞与の動向アンケート」(アンケート期間:2024年6月7日~11日、有効回答企業数:1021社)によると、「賞与あり」の企業は85.0%で、前年から1.9ポイント上昇しています。

「賞与あり」をより詳しく見てみると、「賞与はあり、増加する」と回答した企業は39.5%(前年比2.1ポイント増加)。「賞与はあり、変わらない」は34.2%(同2.2ポイント減少)、「賞与はあるが、減少する」は11.3%(同2.0ポイント増加)でした。

「賞与はあり、増加する」と回答した企業からは、「業績が好調なのが一番の要因」「給与のベースアップがあったため支給額も増加する」といった声が聞かれました。「賞与はあるが、減少する」と回答した企業の多くは、「円安にともなう仕入価格の高騰分を十分に価格転嫁できず、利益が大幅に減少してしまった」といったように、原材料費の高騰などによる収益悪化をボーナス減の理由としています。この回答からは、中小企業の中でも円安などを追い風に輸出が伸び業績が好調な企業と、円安の悪影響を受け収益が悪化した企業とに分かれていることが読み取れます。

次に、1人あたりのボーナス支給額では、大企業と中小企業でどのような違いがあるのでしょうか。冒頭の経団連の調査では大企業のボーナス支給額は、前年から4.31ポイントの増加でしたが、帝国データバンクのアンケートでは4.1%の増加でした。前年より0.6ポイント上昇しています。

一方、中小企業は1.7%の増加に留まり、前年より0.5ポイント低下。この結果から、前年より企業間格差がより一層広がっていることが分かりました。全体としてみると、体力のある大企業は賃上げやボーナスの増加を行えるものの、中小企業の多くは厳しい経営状況が続いていると言えます。

経済の好循環を生み出すためには

【画像出典元】「A9 STUDIO/Shutterstock.com」

先述したように、日本の企業数の99.7%は中小企業です。労働者の7割近くが働いているのも中小企業。大企業の業績がいくら良くても、ボーナス額が過去最高になろうとも、そのことが日本経済に与える影響は限定的です。

もちろん、大企業が潰れてしまっては、その大企業から仕事を受注している中小企業の経営は立ちいかなくなります。そのため、日本経済にとって大企業の経営状況が良いに越したことはありません。しかし、賃上げ→消費増→収益拡大→賃上げという経済の好循環を広く定着させるためには、大企業の好調な業績をいかに中小企業まで波及させていくかがカギとなります。

経団連の十倉雅和会長も今年の春闘の際に、「中小企業まで含めて賃金の好循環が起こるかどうか非常に注目・期待している。そのための環境整備が必要だ」と述べています。中小企業が賃上げできるよう、官民一体となった取り組みがどのように行われるか、今後も注目していきたいところです。

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