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【静岡県知事選の投票率】過去には川勝平太知事が大胆発言も!全国から注目される選挙がいよいよ告示。どうなる投票率?

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県知事選の投票率」です。先生役は静岡新聞の市川雄一ニュースセンター専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年5月6日放送)

(市川)川勝平太知事の辞職に伴う静岡県知事選がいよいよ5月9日に告示され、5月26日の投開票日まで選挙戦が繰り広げられます。現時点(番組放送の5月6日時点)で自民党県連が推薦する元副知事の大村慎一さん、立憲民主党、国民民主党が推薦する前浜松市長の鈴木康友さん、共産党公認で共産党静岡県委員長の森大介さん、諸派の横山正文さんの4人が立候補を表明しています。今日は投票率について過去の事例も振り返りながら考えてみたいと思います。

最近の選挙は投票率が下落傾向にあるという話は何度かこのラジオでも話をしたと思います。4月28日に東京、島根、長崎で衆議院の補欠選挙が行われ、立憲民主党が3勝したことは大きく報じられましたが、残念ながら投票率は前回の衆議院選挙より大きく下がりました。

(山田)投票率が低かったんですね。

(市川)補欠選挙は一部の地域でしか行われないので、報道量も少なく、選挙の盛り上がりに欠けると言われるので、通常選挙より低くなる傾向がありますが、東京15区は前回の58.73%から40.7%と18ポイントほどダウンしました。

(山田)だいぶ下がりましたね。

(市川)長崎3区にいたっては前回60.93%から35.45%になりました。

(山田)えっ。半分ですか。

(市川)25ポイントほどダウンしています。長崎3区は、立憲民主と日本維新の会の野党対決になりました。自民党が不戦敗という言い方をされていましたが、自民党が候補者を出していないことで、有権者にとって選択肢が少なかったということも影響していたと思われます。とはいえ、さすがに国政選挙で35%は相当低いと思います。

(山田)補欠選挙で盛り上がりが少ないということを踏まえた上でもやはり低いですか。

投票率UPの要因は接戦と争点

(市川)なかなか国政選挙でこの数字というのはないと思います。ということで静岡県知事選の投票率も気になるところです。

前回、静岡県知事選の歴史について振り返りましたが、新人対決は2009年に川勝知事が初当選したとき以来となります。このときは、一騎打ちではありませんでしたが与野党対決となり、72万8000対71万3000という僅差で川勝知事が勝利しました。投票率は61.06%でした。

(山田)この数字は?

(市川)その前にあった2005年の静岡県知事選に比べて16.57ポイント増えているので、非常に関心の高い選挙だったと言えると思います。投票率が高くなる要因として、候補者同士が競り合っているというのがありますが、この選挙は誰が勝つか読めない選挙でしたから、有権者の関心が高まったのだと思います。

ただ、その後の静岡県知事選の投票率は下落します。川勝知事は4回選挙に勝ちましたが、2013年の2選の時は49.49%、2017年の3選の時は46.44%と投票率は落ち続けました。これは選挙前から川勝知事の優位が伝えられていたので、そのことが「どうせ現職が勝つんでしょ」と、投票から足が遠のく要因になったと考えられます。自民党が推薦候補を出していなかったということも影響したのではないかと思います。

前回選は52.93%。果たして今回は…

(市川)そして、前回の2021年は投票率が若干上がり、52.93%でした。これは自民党が2009年以来となる推薦候補を出し、全力支援したこと、リニアの南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題が大きな争点に浮上したことで、有権者の関心が高まったことが要因だと思います。ただ、それでも半分近くの人は投票にいっていないということが現実としてあります。

(山田)やはり構図が分かりやすいほうが皆さん投票に行くのでしょうね。

(市川)今回の静岡県知事選は「与野党対決ではない」「地域間対決ではない」というようなことを盛んに言う出馬予定者もいますが、有権者としては自民党対野党というように構図がはっきりとしていた方が投票はしやすいかもしれませんね。

(山田)リニアに関しても推進なのか、反対なのかということがはっきりしていた方がいいですね。

(市川)やはり争点がはっきりしていることが投票に行くモチベーションにはつながると思います。

(山田)それ(リニア)だけじゃだめなんですけどね。

(市川)そうなんです。知事選のような静岡県全体の政策が論じられる選挙は、やはり主張が総花的になりやすいです。子育てはこんなことをやります、観光政策はこう進めます、などと誰が聞いても良く思うような話をしがちなので、候補者の違いが見えにくい。これは知事選や首長選の特徴ですね。

今回、全国的にリニアが最大の争点と言われてはいますが、現在(5月6日時点で)、出馬表明をしている立候補予定者の主張を聞くと、共産党の方は反対を明言していますが、残りの方は推進の立場を取っているのでなかなか違いが見えにくいところはありますね。

(山田)何かはっきりしているポイントみたいなものはあったりするんですか。

(市川)よく見るとわかるというところはあります。静岡新聞でも告示後にはなりますが、候補者へのアンケート結果を掲載したり、それぞれの候補者がどういう政策を考えているのか、各地域の課題ついてどのような考えを持っているのか、といったことを毎日のように紙面で紹介していくので、参考にしていただきたいと思います。

(山田)いろいろな意味で全国から注目される静岡県知事選ですからね。

(市川)そうなんですよね。投票率が上がればいいなと思っています。

(山田)県民としては投票率を上げなきゃですよね。

投票率5割未満は無効⁉ 物議を醸した川勝知事の発言とは…

(市川)投票率といえば、実は2017年に川勝知事が面白い発言をして物議を醸したことがありました。川勝知事が「投票率が5割に達しない選挙は無効である」と定例記者会見の場で発言しました。その会見の時点ではまだ3選の選挙の前で、出馬するとも表明していない状況での発言だったんですが、仮に知事選に出た場合でも「私が出て5割に達しないのであれば、選挙の翌日に辞表を提出する」と言い切ったんです。

(山田)そんなことがあったんですね。

(市川)なぜそのようなことを言ったのかというと、投票率が5割に達しないのは政治家の責任でもあるから無効にしたほうがいいのではないかという考えからでした。ただ、1回の知事選を行うには、約15億円の税金がかかるんです。

(山田)15億円⁉

(市川)はい。なので、投票率が5割に達しないでもう1回選挙を行うということになると、15億円余分にかかることになります。そのことを問われた川勝知事は、「ペナルティですよ。選挙に行かない人に対して何らかのペナルティが必要であるというメッセージでもあります」と話し、無効にする正当性を説きました。

(山田)別に川勝知事がどうこうではないですが、ちょっと面白いですね。

(市川)世界を見ると、オーストラリアやベルギーなど投票を義務化している国もあるという話を以前、このコーナーでしたと思います。罰則を設けているところもあります。それに近いような主張だったと思います。

さて、この発言は結局どうなったかといえば、2017年の知事選に出馬表明した後、撤回しました。撤回の理由としては、自分を辞職させるために投票率を5割に達しないように運動する動きがある、というものでした

(山田)すごいな。

(市川)確かに川勝知事を当選させたくない陣営からしたら、対抗馬が勝つより、投票率50%を下回せる方が近道というのが当時の政治状況でしたからね。そういう騒ぎがあった結果、実際の投票率はどうだったかと言えば、46.44%と50%を下回りました。

悩ましい投票率向上対策

(山田)以前、このコーナーで海外では投票所で焼いたソーセージをもらえたりする国もあるという事例を紹介してもらいましたけど、そういうことでもやっていかないと投票率は上がらないんですかね。

(市川)最近の若い人の中には、自分にメリットがないと行動に移さない人がいるということも聞いたります。遊びに行きたい時間を削ってでも投票に行くのはとても大事なことなんですが、足が遠のいてしまっているのが現実です。われわれメディアも、どういう情報発信をすれば投票に行きたくなるのかということを考えなければいけないときが来ていると思います。

(山田)数年前に東京であった選挙のとき、とある団体が選挙をフェス化して若い人たちに投票させようと、音楽などを交えてイベント化していたんです。当時僕は「選挙ってそうじゃないよな」と思ったんですけど、今日のお話を聞いていると、もしかしたら今投票率を上げるためにはそういった対策も必要なのかもしれないなと感じました。

(市川)最近はショッピングモールなどに期日前投票の投票所を設置するような動きも出てきています。ただ、ここは結構難しくて、投票がしやすくなれば投票率は上がるかもしれませんが、あまり考えずに投票する人の数が増える可能性があります。それで本当にいいのか、という部分もあります。

もちろん投票率が上がるというのは良いことです。ですが、何を投票の基準にするのかということを考えたときに、耳障りの良いことを言っているから、選挙ポスターの写真を見るとこの人の方が優しそうだから、ということも出てくると思います。そういう理由でも構わないんですが、そういう基準で投票率が上がるということが良いのかどうかということは、投票率を上げようとしている選挙管理委員会の方々も悩んでいると思います。選挙フェスの話もそれに通じるのではないでしょうか。

(山田)そうですね。静岡新聞でもいろいろな記事が出るということですので、自分なりに読み比べて、どの候補がいいかについて考えることを「楽しく、ワクワク」に変えられれば、投票率は上がっていくのではないかと思いますね。今日の勉強はこれでおしまい!

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