こども四日市2024 成熟する「こどものまち」 経済や文化の発展目覚ましく
小学生がさまざまな仕事や社会生活を体験するイベント「こども四日市」が11月2、3日の2日間、四日市市諏訪栄町の諏訪公園と周辺商店街を会場に開催された。2004年に始まり、創成期には小学生だった大人や、新型コロナ禍以前に現役小学生としてイベントに参加していた中高生が企画立案や運営に奮闘している。社会の縮図を見るように成熟してきた「こどものまち」の姿と新たな試みを追った。
初日は雨天のため、アーケード商店街で開かれたが、2日目は晴天に恵まれ、同イベント実行委員会で多くの中高生が参加する「GOLD市民会議」メンバーは早朝から準備に大わらわ。午前10時にはオープンを待つ子どもたちが続々と集まり、子ども四日市市長の藤田凛さん(いなべ総合学園高校1年)が高らかに開会宣言をし、まちづくりが始まった。
市民証を手にした子どもたちは、段ボールで店を建てて「しょうばい」をしたり、「ハローワーク」の求人に応募して「カフェ」や「スポーツセンター」、「おそうじセンター」、「とみくじ」等の「おしごと」に従事し、専用通貨「ヨー」を稼ぐ。稼いだヨ―で買い物をして回る楽しみもある。
【新しい「おしごと」、「ジェットコースター」】
毎年、新たな企画や職種が検討され実現化されているといい、今回は公園内のスロープを利用した「ジェットコースター」がお目見え。「安全性を確認するために実証実験を何度も繰り返した」と語るのは、コースターの発案者で代表の「親方」を務める水谷実空さん(富洲原中1年)。シートベルトやクッションを装着した台車に人を乗せて人力で押して進むスタイル。リピーターも多く手応えを感じている。
【「銀行」業務に携わるGOLD市民】
「銀行」では、今年初めて「個人通帳」が導入された。これまでは市民個人相手には両替のみの業務だったところ、手数料(ヨー)を払って「預金」ができるように。3種類のマネープランに応じて利子もつくという。「利子として、子ども四日市の各種イベントに参加するごとにプランに応じたヨーがもらえる仕組みです」と説明してくれたのは、発案者の山手中2年・沼倉翔馬さん。「漠然としたアイデアを形にするのが得意」という海星高校3年の村山昇さんと協力し、プランの作成と通帳制作を担った。「通帳をつくる『うま味』をどう出すか、工夫した」と村山さん。年間を通して継続的に楽しくこども四日市に関われるというのがポイントだ。
【村山さんは「ハローワーク」で忙しく立ち働いていた】
「絶対盛り上げるぞー」「おー」。午後1時過ぎ、すわ公園交流館のデッキに威勢の良い掛け声が響いた。昨年活動を開始した「こども四日市演劇部」の公演が始まろうとしている。10分程度の寸劇だが、脚本や演出をはじめ、音楽やダンスの振り付けもすべてGOLD市民の手による。今年はおしごとの一環として「演劇部」と「モデル」の求人で集まった子どもたちもわずかな時間ながら、振付指導を受け見事出演を果たし、観客の喝采を浴びた。
【「演劇部」の公演には、GOLD市民とともに、「おしごと」で出演した子どもたち(後列)も】
「こどもがつくるこどものまち」は、世代交代しながら受け継がれて20年を超えた。現在、子どもたちの活動を広く知ってもらおうと、プロジェクトリーダーの小林渚さんの指揮下でドキュメンタリー映画の制作も進行中だ。主な撮影はプロに依頼しているが、GOLD市民も一端を担っている。「子どもたちの真剣な表情を中心に撮っています」と話すのは、2年前から「カメラマン」の親方を務める鳥羽商船高等専門学校4年の大津響さん。おしごとに応募してきた子どもたちに写真撮影を教えながら、映画に使えそうな動画撮影も行っていた。
【撮影活動中の大津さん(右)】
◆こども四日市市長選、制したのは現職の藤田さん
会場では、恒例の「こども四日市市長選」も行われた。小学6年から高校1年まで5人の立候補者が、どうやって盛り上げていくかなど遊説して回り、以前から一貫して「コロナ禍前の賑わいを取り戻す」を公約に掲げていた現職の藤田さんが再選を果たした。「幼児、大人のコーナーを増やしたり、飲食の充実を図るなどこども四日市全体をより良くしていきたい」と意気込みを見せた。
【市長続投が決まった藤田さん】