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井上尚弥の相手候補に浮上したWBAフェザー級王者ニック・ボールの実力は?突進力満点のファイター

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ニック・ボール,Ⓒゲッティイメージズ

日本初の5階級制覇へ、年内にも挑戦か

プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)がキム・イェジュン(韓国)に4回KO勝ちし、今後のプランが明らかになった。

次戦はアメリカ・ラスベガスでWBC1位アラン・ピカソ(メキシコ)の挑戦を受け、さらにサウジアラビアでWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と対戦。その後はスーパーバンタム級のベルトを持ったまま、年内にもWBAフェザー級王者ニック・ボール(イギリス)に挑戦するという。

そして、来年にはスーパーバンタム級に戻し、WBCバンタム級王者・中谷潤人(M.T)と日本人同士の夢の対決。待たされていると主張するアフマダリエフや、今回ドタキャンしたサム・グッドマン(オーストラリア)も黙っているとは思えず、どの選手との対戦が優先されるか流動的ではあるが、フェザー級に上げて日本人初の5階級制覇への道筋がうっすらと見えてきた。

フェザー級のリミットは126ポンド(57.15キロ)。井上がデビューしたライトフライ級の108ポンド(48.97キロ)より8キロ以上重く、現在戦っているスーパーバンタム級の122ポンド(55.34キロ)と比べても2キロ近く違う。

ボクシングで1階級違えば、体格もパワーも全く違うと言われ、だからこそ複数階級制覇には価値がある。では、相手候補に浮上したニック・ボールとはどんな選手なのだろうか。

20センチ以上長身のバルガスからダウンを奪った突進力

イギリス・リヴァプール出身の27歳で、2017年にプロデビュー。2023年11月、元WBOスーパーバンタム級王者アイザック・ドグボエ(ガーナ)とのWBCフェザー級挑戦者決定戦に12回判定勝ちし、挑戦権を獲得した。

2024年3月、サウジアラビア・リヤドで行われた元世界ヘビー級王者アンソニー・ジョシュア(イギリス)戦の前座で、WBCフェザー級王者レイ・バルガス(メキシコ)に挑戦。2度のダウンを奪いながら12回1-1のドローで惜しくも王座には届かなかった。

3カ月後に再びサウジアラビア・リヤドのリングに上がり、今度はWBAフェザー級王者レイモンド・フォード(アメリカ)に12回判定勝ちで王座獲得。同年10月には地元リヴァプールでロニー・リオス(アメリカ)に10回TKO勝ちで初防衛に成功しており、今年3月15日には井上とも戦ったテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)と2度目の防衛戦を予定している。

22戦して21勝(12KO)1分けといまだ無敗。身長157センチと、165センチの井上より小柄だが、178センチのバルガスからダウンを奪ったように体格差をものともしない突進力がある。

盛り上がった胸板がファイトスタイルを象徴するかのようなパワーヒッター。力んで強振するためスピードはそれほどないものの、手数が多い上、スタミナ旺盛で打たれ強い。すかさず距離を詰めて打ち合いに持ち込むため相手はやりにくいだろう。

井上との対戦が実現すれば、さすがのモンスターでも下がる場面があるかもしれない。接近戦ではそれほど危険な相手だ。

井上尚弥がテクニシャンの本領発揮?

ただ、身長185センチ、リーチ188センチのWBOフェザー級王者ラファエル・エスピノサ(メキシコ)に比べれば、井上にとっても与しやすいのは確か。井上はサウジアラビアの「リヤド・シーズン」とスポンサー契約を結んでおり、すでにリヤドで戦っているボールとは交渉がスムーズに進みそうなことも相手候補として名前が挙がる理由だろう。

スーパーバンタム級に上げてからは自分より大きな相手がほとんどだったが、自分より小さい相手とは久しぶりの対戦となる。最近はフェザー級転向を意識してか、パワフルなビッグパンチを放ったり、ディフェンシブな相手のガードの隙間から強引にパンチをねじ込んだりするシーンも多かった。

しかし、井上は足を使ったアウトボクシングもできる万能型。フェザー級転向初戦としては危険な相手に違いないが、スピードで上回るモンスターがテクニシャンとして新たな一面を見せてくれそうな楽しみもある。

強すぎるモンスターがより眩い輝きを放つには、相手にも相応の実力が必要だ。ボール相手なら手に汗握る熱戦が期待できる。まだまだ流動的ではあるが、井上vsボールが早くも楽しみになってきた。

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記事:SPAIA編集部

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