名物回転式レストランを囲む謎の線路…老舗ホテル最後の七不思議に迫る
5月31日で51年の歴史に幕を閉じた札幌駅前の“顔”とも言える、名物ホテルの七不思議を探ります。
視聴者からの疑問や悩みを調査するHBCのもんすけ調査隊で、徹底調査!
レストランにある線路とは?幻の大人気メニューとは…!?センチュリーロイヤルホテル、最後の謎に迫ります!
札幌駅前にあるセンチュリーロイヤルホテルは、地上23階建て、総客室数は300で、札幌の顔とも言えるホテル。
その最大の特徴は、地上約84mの高さにある回転レストラン「ロンド」です。
3時間かけて一周するレストランでは、札幌の街並みを360度のパノラマで見ながら、ゆっくりと食事が楽しめます。
陽が落ちると、札幌の夜景も楽しめる、国内でも珍しい回転式レストランでした。
そのレストランにある線路とは一体?まさか列車が、料理を運んでくれるとでも…いうのでしょうか?
早速、回転レストランに行ってみると…。
なんと、窓の外には確かに線路のようなものが…。一体、何の目的で設置されているのでしょうか。
そもそもセンチュリーロイヤルホテルが開業したのは、1973年のこと。札幌オリンピックが開催された翌年で、町中が熱気に溢れる時代でした。
当時、札幌駅前には、ほとんど高いビルがなかったので、ひと際注目されるホテルだったのです。
それにしても、謎の線路…もしかすると、札幌オリンピックに何か関係するものなのでしょうか?
そこで、蝦名支配人に直接、疑問をぶつけることに…。
ロビーや特別室へ
ホテル内を見るのも、これで最後。せっかくなので館内を案内してもらい、センチュリーロイヤルホテルの“七不思議”を調査することに…。
①なぜロビーが2階?
まず気になったのは、なぜロビーが2階にあるのかということ。
実は、センチュリーロイヤルホテルは1階から入ると、まず階段を上り、さらに奥に進んだ場所にロビーがあります。どんな目的があったのでしょうか?
センチュリーロイヤルホテルの蝦名訓支配人は「当時の写真を見ると、橋があり、このホテルに入る高さが、2階ほどの高さになっていて、ちょうど玄関部分になっていた」と教えてくれました。
さらに意外なモノについても…。
②床に埋め込まれた「化石」?
床をよく見ると、ベレムナイトやアンモナイトなどの化石が埋まっているんです!
本物の大理石を使用しているため、様々な化石が埋まっていて、小学生が見学に来ることもあるんだとか…。
③エグゼクティブフロアの中は?
続いて、気になったのが“エグゼクティブフロア”の特別室です。
コンセプトを設定し、「特別フロア」にしたのは、札幌市内のホテルではセンチュリーロイヤルホテルが先駆けでした。
お風呂場の大きな窓は、カーテンを開けて外の景色を眺めながらバスタイムを優雅に楽しめる空間でした。
そして、いよいよ回転レストラン「ロンド」へ…。
実は、このレストランには、幻の大人気メニューがあるということで、金子総料理長に話を聞きました。
今や幻の逸品に…スパセンの作り方は
④幻の大人気メニュー?
回転レストラン「ロンド」で、オープン当時からあるメニュー、それが「スパゲッティーセンチュリー」。
略して“スパセン”です。
ホテルの金子厚総料理長は、「ずっと多くの固定の客がいて『美味しい美味しい』と食べてくれた逸品」と話します。
「昭和時代からのB級スパゲッティという感じですが、オープンと同時に、ほとんどのオーダーが“スパセン”だったので、オープンする前から、20~30人分を作り、ずっと昼間は出続けていた」
しかし、今となっては、まさに幻のメニューとなってしまった“スパセン”。
そこで、金子総料理長に家庭でも作れるようにアレンジした“スパセン”の作り方を教えてもらうことに…。
(1)食材を細切りにし、スパゲティは0.5%の食塩水で、いつもより長めにゆでます。
(2)豚肉を塩コショウで下味をつけて炒めます。
(3)火が通ったら、臭みを取るために、油切りし、タマネギや長ネギなどの具材を、しんなりするまで炒めます。
(4)豚肉と茹でたスパゲティを混ぜ合わせ、調味料で味付けし、チキンブイヨンを混ぜます。
センチュリーロイヤルホテルの金子厚総料理長によれば、チキンブイヨンがなければ、お湯でもパスタの“茹で汁”でも構わないとのことです。
(5)さらにバターを混ぜ、食器に盛り付けたら、生卵を乗せ、刻み海苔をかければ“スパセン”の完成です。
ただ、あくまで家庭用の味つけなので、本格的な“スパセン”を食べてみたい方は、インターネットで販売されているソースを使えば、本物の味が楽しめます。
さて、51年の歴史に幕を閉じたセンチュリーロイヤルホテルの謎を探る、今回の「もんすけ調査隊」。
いまだから明かすことができる「回転レストランロンド」の秘密とは…。
あるスイッチにありました。
レストランはどう回っている?
⑤速度を調節するのは?
蝦名支配人が見せてくれたのは、レストランを回転させるスイッチ。
速度もこれで決めることができます。
開業当時は1時間でぐるっと1周していましたが、お客から「気分が悪くなる」「お酒がはやく回る」という声があがり、最終的には3時間で1周するようになりました。
実は、このレストランを回転させている動力が、30cmほどの小さなモーターなんです。
このモーターが、レストランの下、2か所に設置されていて、レストラン部分を回していたのです。
⑥右にも左にも?
さらに右回転・左回転のボタンもついていて、通常の営業時には右回転。点検時などには、左回転を使用していたということでした。
そして、いよいよ線路の秘密に迫っていきます。謎の線路は、いったい何のために敷かれているのでしょうか。
そして何やら巨大な機械が乗っているのですが、これはナニ?
⑦レストランの謎の線路は?
「こちらは、ホテルの外壁メンテナンスや窓拭きをするゴンドラを走らせるレールです」
実は、窓拭き用のゴンドラは、ビルの上では、クレーンに吊るされており、レールを走行することで、ビルの壁面に沿って移動できる仕掛けになっているというのです。
こうして、5月31日でセンチュリーロイヤルホテルは、51年の歴史に幕を閉じました。
■【調査結果】
「レストランから見える線路の様なものは、窓ふきのゴンドラを吊るすクレーンのレールでした!」
さて、気になるのが、センチュリーロイヤルホテルが入っていたビルの今後です。
ビルを所有する住友生命によると「7月以降にビルの解体工事に着手する予定」とのことです。
今後の新ビル建設については「新幹線の工事とは関係なく、さまざまな環境を考えながら決めていきたい」ということで、まだ未定としています。
JR札幌駅前は、JRの新ビルや、ヨドバシカメラの新しいビルなどが計画されています。10年後の札幌駅前の風景は、ガラリと変わることになります。
文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年5月31日)の情報に基づきます。