狙い定めて放水「しっかり」 釜石・幼年消防クラブ ふれあいフェスで防災意識向上
釜石市幼年消防クラブ消防ふれあいフェスティバルが15日、同市鈴子町の釜石消防署で開かれた。市内3保育施設の園児や保育士ら約40人が、消防車両の乗車や放水などの体験を通じて防火の意識を高めた。
平田こども園、ピッコロ子ども倶楽部桜木園、上中島こども園の年長児らが参加した。署員のサポートを受けながら火に見立てた的をホースで狙う放水体験に挑戦。放水ノズルを操って勢いよく水が飛び出すと、笑ったり驚いたり、いろいろな表情を浮かばせた。
消防ポンプ車の試乗では、サイレンを鳴らして「火の用心」などと呼びかけてみた。同署の救助隊員によるはしご車を使った救助訓練、ロープを使って高所から降下する訓練を見学。子どもたちは、隊員のきびきびした動きを真剣な表情で見つめた。
市婦人消防連絡協議会(久保久美子会長)による紙芝居や絵本の読み聞かせでは、地震や火事が起きた時にどうしたらいいか、楽しみながら理解を深めた。読み終えたメンバーは「『おはしも』は分かるかな?」と質問。子どもたちは自信たっぷりに「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」と、避難時の合言葉に声を合わせた。
「命は何個ある?」「いっこー!」。そうやりとりをした後、メンバーが「ひとつしかない命を守れるようになってほしい」と思いを伝えると、園児たちは「はい」とうなずいた。「守れるようになりたい」と話していたピッコロ子ども倶楽部桜木園の丑渕夕暖ちゃん(6)が印象に残ったのは乗車体験。「消防士さん、かっこよかった」とはにかんだ。
上中島こども園の堀川陽雅ちゃん(5)は「火、消すとこが楽しかった。火は怖いから、気をつけるね」とにっこり。いま憧れているのは「自衛隊」で、「みんなを守れるから」と胸を張った。
この催しは、幼年期の子どもらが楽しく遊び、触れ合いながら防火や防災に関心を持ってもらうのを狙いにする。東日本大震災を機に、防災意識をより高めてもらおうと体験型に転換。消防士と接する機会にもなればと、消防署の施設を利用する形にした。
新型コロナウイルス禍による中断を経て、今回で4回目の開催となった。市内の11クラブ(保育施設)を対象に4回に分けて行っており、この日が最終回。園児や保育士ら計約150人が参加した。
現在、11クラブの子ども計543人(4月1日現在)が所属。さまざまな災害を想定した避難訓練の実施や防火DVDの視聴、同署による防災教室の開催など各クラブで取り組んでいる。同フェスティバルへの参加は全クラブが継続。いくつかのクラブは秋季全国火災予防運動週間に合わせ防火パレードを行う。