洋式・水洗・明るい照明「トイレトレーラー」が大活躍 食事足りてもトイレにためらう被災地の現実
能登半島地震によって断水が続く被災地で、深刻な問題になっているのがトイレです。
現地に派遣された北海道沼田町の職員が、冬の災害の恐ろしさを語りました。
「やっぱりここに来たんや!」
子どもたちが大喜びで駆け込んだのはトイレ。
1月、石川県珠洲市の小学校に現れたのは「トイレトレーラー」です。
車でけん引してどこでも設置できます。
洋式の水洗トイレを4つ備え、停電しても太陽光発電で照明や暖房の電力を自分で賄うことができます。
特に今の子どもたちは、和式のトイレを使う経験があまりないので、こうした洋式トイレに喜びも大きかった様子。
沼田町職員の亀谷良宏さんは、1月20日、同僚とともに石川県に派遣され、町が災害時用に所有している「トイレトレーラー」を設置しました。
地震から1か月たってもなお、1万4000人あまりが避難所に身を寄せるなか、深刻なのがトイレの問題だといいます。
すでに食べ物は足りているように見えた被災地。
食べることと、出すことは切り離せませんが、断水が続く中、不衛生に感じるトイレに抵抗を感じる住民も多くいます。
実際に、被災した女性に話を聞くと、「臭いと、便器を見ると使いにくい。用を足したいが、止まってしまう」とためらいを感じているようでした。
トイレの回数を減らそうと水分を控えて脱水症状になると、「災害関連死」の危険性も高まります。
「全然足りない」トイレトレーラー 北海道で災害起きたら…
1月24日には雪が積もった石川県。
現地では、沼田町のものを含め18台のトイレトレーラーが稼働しています。
中には寒さで思わぬ故障が起きたものもあったといい、同じ積雪地帯に暮らす職員として、冬の災害の恐ろしさを身を持って感じました。
沼田町の亀谷さんは「トイレトレーラーは全然足りないと思う」と話します。
もし北海道で災害があって、トイレトレーラーが必要になった場合…。
海を渡ってフェリーで来るとしても距離の問題もあるため、道内でもネットワークや導入自治体が増えて広がっていく必要性を感じたのだといいます。
800キロ離れた北海道からやって来たトイレが、復旧に向けて進む住民たちを支えています。
【特集】秋冬の”じぶんごと”防災
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年2月2日)の情報に基づきます。