紅葉は赤だけじゃない!「木の赤ちゃん」にも注目 イロトリドリの秋の森の楽しみ方
秋の楽しみといえば、食欲・スポーツ・読書など様々ありますが、秋の「森」の楽しみと言えば、やっぱり「紅葉」です!
今日はそんな「森の紅葉」の楽しみ方を、少し違った視点からお伝えします!
連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
札幌にある「滝野すずらん丘陵公園」の「滝野の森ゾーン」から、森の住人KENTAが、自然の魅力や楽しみ方を伝える連載です。
紅葉は赤だけじゃない!
「紅葉」と聞いてイメージする色といえばその字の通り「赤」だと思いますが、滝野の森にも葉っぱが赤くなる木がいくつかあります。
赤の紅葉が目立つのは何と言っても「モミジ」や「カエデ」の仲間!
モミジ以外で目立つのが「ウルシ」の仲間で、さわるとかぶれることもある「ツタウルシ」は木に巻き付いて紅葉するので、10月上旬になると赤やオレンジの柱ができます。
他にもナナカマドやサクラの仲間、ヤマブドウなども赤く紅葉します。
森の中で見る「赤」は鮮やかでとてもきれいですが、秋の森に入ると実は赤以外の色の方が多いんです。今回はそんな色とりどりの秋の森の楽しみ方をお伝えします!
メイプルシロップも!
秋の森で赤以上に目立つのが「黄色」です!
その中でも特に鮮やかな色になるのが「イタヤカエデ」。モミジやカエデは全部が赤くなるわけではないんです!
イタヤカエデはヤマモミジと比べると葉っぱの切れ込みが浅いのが特徴です。晴れた日に青空をバックに写真を撮るととても映えます!
ちなみにイタヤカエデは3月に樹液を採取して煮詰めるとあま〜〜いメイプルシロップを作ることができるんです。
滝野公園では毎年3月にイタヤカエデの樹液を採取してメイプルシロップを作るイベントを開催しています!(特別な許可をもらって実施しています)
ちなみにメイプルシロップを作るには集めた樹液を40分の1まで煮詰めないといけません。滝野の森でイベントをやる時は400ccの樹液を煮詰めるんですが、甘くなるころにはスプーン1杯分くらいになってしまいます。
森の中にそびえ立つ黄色い柱
続いて紹介するのが「カラマツ」です。
カラマツは森の紅葉シーズンのラストを飾り、10月下旬から11月にかけて黄色く染まります。
カラマツはもともと北海道には自生していない木で、材として使われるために本州から持ち込まれて植林されたものです。滝野の森は入植で人が入って生活をしていたので、森の中にカラマツがまとまって生えているところが何か所もあります。
カラマツが「黄葉」する頃には、他の葉っぱが落ちているので、森の中にそびえ立つ黄色い柱は見応え十分!カラマツの葉が落ちて黄色く染まる道もきれいです。
赤でも黄色でもない・・・
意外な色に変わるのが「コシアブラ」。
コシアブラは秋になると赤でもなく黄色でもなく「白」になります!
葉っぱの色が抜けたみたいで透けた感じがとてもきれいで個人的に大好きです。特に晴れた日に下から見上げるととても写真にも映えます!
夏場は目立ちませんが、秋になると森の中で個性を発揮するのがコシアブラ。ぜひ秋の森で探してみてください!
最後は「グラデーション」
最後に紹介するのが「グラデーション」
この色の代表格は「ハウチワカエデ」です。ハウチワカエデは葉っぱの先がギザギザになるのが特徴的で、秋が始まると先っぽから赤くなることがあります。
ただ気温などの影響により、黄色くなったりオレンジになったりもする変幻自在な木です。
森の中にはいろんな木があるので「一面真っ赤」な紅葉はなかなか見れませんが、その分カラーバリエーションが豊富な「イロトリドリの世界」を楽しむことが出来ます!
そして大きな木の紅葉もきれいですが、足元の小さな木の赤ちゃんたちも、ちゃんと秋になると紅葉してるんです!
同じ木でも環境によって色が違ったり、同じ時期でも年によって色の付き方が変わるので毎年違った景色を楽しむことができます。
秋の森にはカラフルなキノコや木の実もあるので、その日のラッキーカラーを決めて探してみたり、何色見つかるか探したりして楽しんでみてください!!
連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
文:森の住人 KENTA
国営滝野すずらん丘陵公園 自然環境マネージャー。1978年札幌生まれ京都育ち。約6年間のサラリーマン生活を経て、森についての知識・経験ゼロの状態で滝野の森ゾーンの担当になり、様々なイベントの企画や広報、森づくりなどを担当。公園内にヒグマが侵入した際は専門家と一緒に現場の最前線で調査を担当。滝野の森staffXにて監視カメラを使った野生動物たちのリアルな様子などを発信中。
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は記事執筆時(2025年9月)の情報に基づきます。