シンプルで懐かしく爽やか。仙台発の冷やし中華の元祖「涼拌麺」
スーパーの売り場で冷やし中華を見かけると、「ああ、夏が来たなぁ」と感じます。黄みがかったツルッとした麺に、細切りキュウリとハム、錦糸卵よりちょっぴり太めの甘い卵焼き、それをまとめる甘酸っぱい醤油のタレ。小さい頃、母がムシ暑い台所で作ってくれた味は、今もどこか私の中に残っているようで、冷やし中華はお店で食べるより、自宅で食べる麺料理というイメージがあります。
その元祖が仙台にある「龍亭」だと知ったのは最近のこと。創業昭和6年(1931年)、冷やし中華発祥の老舗店。暑い中でも食べて頂ける冷たい麺料理として『涼拌麺〜冷やし中華』が昭和12年(1937年)に誕生したと言われています。すぐにでも訪ねてみたいけれど、遠出は難しいので、龍亭の冷やし中華をお取り寄せしました。
お店では醤油ダレとゴマダレの2種類からひとつを選びますが、お取り寄せすると両方のタレが入っているので、食べ比べができるのが利点です。
醤油ダレはあっさりめの甘酸っぱさが特徴的。お酢のとがったような酸味とは異なる、マイルドな酸味の正体は生絞りをしたオレンジとレモン。食欲のないときでも、体にすっと入ってくるような上品で爽やかな味わいです。
ゴマダレは、ゴマのコクが際立つピリ辛味。といっても我が家の子どもたちが美味しいと食べるぐらいの、やさしい辛味。辛いのが苦手な人にもおすすめです。
それぞれのスープが、もっちりとした縮れた細めの麺に、よく絡みます。
具は入っていないので、自分の好きなものを用意しましょう。お店の具は、細切りのクラゲ、蒸し鶏、ハム、キュウリ、チャーシュー、玉子が別添えで、大ぶりなエビとレタスが麺に添えてあるとありました。
お店にならい、エビ、きゅうり、蒸し鶏、ハム、玉子を別皿にして、各自のせて食べるようにしました。全体を混ぜて食べてもよし、麺の上に載せてそれぞれの具を楽しむのもよし。子どもたちも好きな具を選び、もくもくと食べていました。
観光客だけでなく、地元の方にも愛されているという涼拌麺。老舗ならではの、シンプルで、奇をてらわない味わいは、食べなれた冷やし中華を思い出させる懐かしい味がしました。
商品名:涼拌麺(リャンパンメン) 醤油だれ・胡麻だれ付き
販売:龍亭
文:お取り寄せの達人:早乙女孝子さん(薬膳料理研究家)