【富士山静岡交響楽団の「第127回定期演奏会」静岡公演】 ティンパニ奏者への拍手
静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は9月15日に静岡市清水区の市清水文化会館マリナート大ホールで開かれた富士山静岡交響楽団の「第127回定期演奏会」静岡公演。首席指揮者の高関健さん指揮によるベートーベン作曲「交響曲第7番イ長調」「交響曲第6番ヘ長調『田園』」。同じプログラムで16日午後2時から浜松市中央区のアクトシティ浜松でも公演。
多くの人にとって耳なじみのあるベートーベンの交響曲2曲をそろえたプログラムだったこともあり、1階客席後方までぎっしり。日本オーケストラ連盟正会員承認が伝えられてからの、静響への関心の高まりを実感した。
アニメ、ドラマ、映画で知られる「のだめカンタービレ」の主題曲だった「交響曲第7番」は、第1楽章から惜しみなく放たれる豊穣な旋律にうっとり。冒頭、フルートとバイオリンの繊細な応酬があり、楽員が一斉に譜面をめくり、その直後に「それっ」とばかりに「例のフレーズ」が出現。心沸き立つ瞬間だった。
交響曲第5番「運命」と初演が同じ日という「田園」は、流麗な旋律が陽光の下の野辺を思わせた。聴きどころの一つだった第4楽章「雷鳴、嵐、アレグロ」は、「とどろき」という形容がぴったりのティンパニが、会場のボルテージを一気に高めた。カーテンコール時、ティンパニ奏者久保創さんへの拍手が一段大きくなったのが印象的だった。(は)