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8児のパパ小児科医・ゆび先生 4人目の誕生で人生激変 子どもに怒っていいときとは?

コクリコ

8児パパで小児科医・インフルエンサーの「ゆび先生」インタビュー第1回。子育ての本を出版したゆび先生のターニングポイントと10人家族の暮らしぶり、子どもに怒っていいときとは。全3回。

【画像で見る】ゆび先生ファミリーの家族構成は?

小児科医で8人の子どものパパ「ゆび先生」こと田本直弘さん(44歳/鳥取県米子市在住)は、YouTube約8.5万人、TikTokは17万人ものフォロワーを持つ人気インフルエンサーでもあります(2025年7月現在)。2025年6月には初著書『誰かに教えてほしかった! ゆび先生のこんな時怒ったら子育てダメ?vsイイ?』(今井出版)を上梓。リアルな子育ての悩みに、ユーモアと優しさで寄り添っています。さらに以前は「こうすべき」という理想をめざした“べき論”を掲げていたけど改めたとも告白。

10人家族であるゆび先生の、にぎやかな暮らしぶりと、子育てのターニングポイントを探ります。

寝るときは8畳に10人が一緒!

──1歳から17歳(2025年7月現在)、4男4女とパパとママで10人家族のゆび先生一家ですが、お米を炊く量や洗濯物、子ども部屋の数などどうなっているのでしょうか。

ゆび先生:お米は1日8~10合は炊きますね。宅配ピザの日だともうわけがわからないくらい頼むので、パーティーみたいになります。洗濯機は1日最低3回まわし、5年でボロボロです。

うちに全員分の子ども部屋はありません。全員1階の8畳の和室で寝ています。10人で寝てるのに布団は5枚ぐらいしかなくて、寝る位置も敷く位置も決まっていません。だからテトリスみたいに寝ています(笑)。

子どもってゴロゴロして寝相が悪いですよね。でも、医学的にいうとゴロゴロしているほうが健康的なんです。元気な証拠です。寝相が悪いことは健康の証なので、寝てるときに乗っかってきても怒りません。夜中のトイレで踏まれるのも仕方ないです。一度、高校生の長女が和室を卒業しかけたんですが、なんだかまた戻ってきました(笑)。居心地がいいのでしょう。

実は今、妻が妊娠中で12月に第9子が生まれる予定なので、さらににぎやかになりそうです。

ゆび先生ファミリーの家族構成。  『誰かに教えてほしかった! ゆび先生のこんな時怒ったら子育てダメ?vsイイ?』(今井出版)より

8人の子どもで常ににぎやかなゆび先生ファミリー。  写真提供:今井出版

──おめでとうございます! 9人のパパになるのですね。ゆび先生は大らかな子育てをされていますが、新米パパ時代はどんなパパでしたか。

僕は26歳でパパになりました。小児科医ということもあり、新生児の扱いであたふたしたことはありませんでした。ただ、医師としての知識がある分、「こういうことが一般的にはよいと言われているから」「教科書でこう習ったから」という凝り固まったベースがありました。

なのでママになったばかりの妻に、「こうしたほうがいいんじゃない?」「なんでこうしないの?」と言っちゃってましたね。

例えばおむつ替えひとつにしても、最初は誰でも上手にできないじゃないですか。なのに「こんなことしたら肌が荒れるから、きちんとシワの隙間まで拭いて」と言っていました。哺乳瓶もきっちり清潔にしておきたくて、妻にもそれを要求していました。今はまったく気にしませんが(笑)。

お風呂もベビーバスで入れていました。それも沐浴のマニュアルどおりに。赤ちゃんの体にガーゼをかけて安心させて、お湯に慣れさせてから顔は最後に……と。「そうすべき」という考えが強かったんです。今は湯船にそのままジャバーンと入るし、バッシャバッシャやるし、全然違いますね。

成績や人目も気にするパパだった

──英才教育なども考えていたのでしょうか。

英才教育したい、医師になってほしいと本気で思っていました。人と比べて優れている子、人から悪い点を指摘されないような子に育てようとも思っていました。人目も成績も気にする親でした。

例えば長男のいちごには、「賢くなってほしい!」と思って5歳で将棋を習わせていたんです。しかも全国大会を目指せ、と厳しく言い聞かせていました。ライバルの子に負けると、子どもより僕がくやしがって、「普段勝ってたくせにこんな大会で負けんなよ」と5歳児に本気で言ってました。今とは真逆です(笑)。

4人目が生まれるまでの9年間、つまり上の子3人だけ育てている時期は、「こうすべき」という「べき論」が僕の中に強くありました。

子どもは3人と決めていた人生設計

──今のような大らかな子育てになったきっかけ、ターニングポイントは4人目の誕生だったということでしょうか。

4人目のうめが生まれたことで、僕は変わりました。思い描いていた人生プランがいい意味で壊れたからです。もうコントロールできなくなりました。

僕は若いころから自分の人生設計を考えていました。早めに結婚して早く開業して家を建てる。子どもは3人で、子育ては早くリタイアして、あとは悠々自適に暮らす。こういうプランがあったんです。

プランどおり25歳で結婚して26歳で父になり、31歳で開業し家を建てました。子ども部屋も3つしか作りませんでした。

週末は常に家族と過ごしているというゆび先生。  写真提供:今井出版

ところがどっこい、4人目が生まれた。そこから「あれ、ちょっと待てよ」と何かが変わり始めたんです。すべてが自分の思い描いていたとおりにならなくなった。

まず子ども部屋。どうしてもひと部屋足りないじゃないですか。何かを削るとなると、夫婦の寝室を削った。そんな感じであれもこれも削る、という選択が増えていったんです。

早めに子育てをリタイアしようというプランも消えました。4人目が生まれて僕は人生で初めて「削る」という体験をしたんです。それまではあれもこれもほしい、とプラスしていく人生でしたから。

そうやって心に余裕ができたせいか、2年後に5人目のたねが生まれたとき、心の底から「うれしい」と感じたことをよく覚えています。

そのころには「そもそも子ども部屋っていらないよね」「そもそも生まれてきてくれてありがとうだよな」って物事をすべて「そもそも論」で考えるようになっていました。

食事は「楽しい・おいしい」が最優先

──その辺りからゆび先生一家の暮らし方もがらりと変わったのでしょうか。

変わりましたね。食事の場面で言うと、以前まで食事中は立ち歩いちゃいけない、ちゃんと箸を持つ、左手を添えるというマナーを、当たり前のようにしっかり押し付けていました。今はまったくありません。家では食事中に動き回っても構わないと思っています。

注意することもできるんですけど、注意するとせっかく妻が作ってくれたおいしいごはんを僕がおいしいって思えなくなるじゃないですか。それよりも楽しい、おいしい、と感じることに集中したほうがいい。子ども自身も、行儀よく食べたからおいしさが増すわけではないですよね。

──著書の中でもゆび先生は、食事中は“楽しく過ごすことを優先する”とアドバイスされています。

今回の書籍を作るに当たって、子育て当事者のパパママからお悩みを集めたのですが、そこにも「食事に時間がかかる」「食事中のお行儀が悪い」といった食事にまつわるお悩みがたくさん寄せられました。僕は家庭においてはそこまでうるさく言う必要はないと思っているんです。大人になってまで食事中にうろうろする人はあまりいないですから。

行儀がいいというのは、大人にとって都合がいいってことなのかな、と。こぼされたくない、周りに注意されたくない、と大人が思うがゆえのしつけなので、それは本来の子育てとはベクトルが違うんじゃないかな、と今は思っています。

──今回の書籍のテーマが「怒っちゃダメ? イイ?」ですが、ゆび先生はどんなときに𠮟ったり、怒ったりしてもいい、と判断しますか。

以前はマナーを守らないといった「べき論」からずれているときに怒っていました。今は言ってることとやってることが違うときに怒ります。

書籍ではゆび先生の怒る怒らないポイントをわかりやく解説。  『誰かに教えてほしかった! ゆび先生のこんな時怒ったら子育てダメ?vsイイ?』(今井出版)より

上の子の例で言うと、「勉強を頑張りたいから塾に入りたい」と言っていたのに、部活が楽しいからといって塾をやめたいと言ってきた。こういうときには怒ります。「お前、何言ってんの?」「それは違うでしょ」と。

自分だけ大事でほかの人はどうでもいい、という態度のときにも怒ります。下の子の例で言うと、自分が今使ってないおもちゃをほかのきょうだいが使い始めたとき、「返して」となったらガツンと言います。「今使ってないのにそれは変じゃねえか?」って。5~6歳ってこういう道をみんな通るんですよね。

怒るときは、僕の感情をごまかさないできちんと怒ります。怒っちゃダメという論調もありますが、子どもの前で感情をごまかしても本音じゃないと見抜かれますからね。

取材・文/大楽眞衣子

親の悩みにゆび先生が回答した『誰かに教えてほしかった! ゆび先生のこんな時怒ったら子育てダメ?vsイイ?』(今井出版)。「視点を変えるだけでずいぶんラクになると気づかされた」「親自身の矛盾やエゴにもそっと寄り添ってくれる」など反響多数。

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