北九州で台湾茶の世界! 心に届く1杯のお茶を堪能「茶房 安手無」に行ってみた【北九州市小倉北区】
2024年9月にオープンした「茶房 安手無(あんてな)」は、小倉駅から徒歩3分のビルの4階にあります。
訪れたのは週末の午前中。店舗の入口に立って目を閉じると、お茶を入れるために沸かされたお湯の湯気が届いてくるような雰囲気です。
筆者がたった一杯のお茶で魂を揺さぶられ、深い感動を覚えた、心に響くお茶の体験を紹介します。
心に響く一杯 静寂の中のおもてなし
「茶房 安手無」はオーナーの茶人・平岩亮哉さんとスタッフの2人で運営。日々心を込めてお茶と向き合いながら、台湾茶・中国茶を提供しています。
ひのきのカウンター越しに炭を起こし、そこで湯を沸かします。
そこへ自然光か差し込む優しい空間と温かなおもてなしの心が、訪れた人を迎えてくれます。
お茶の種類はたくさんありますが、どれもこだわった貴重なものだといいます。
お茶の出会い 店名の由来とは?
平岩さんに「茶房 安手無」の店名の由来を聞いたところ、古道具屋の先輩との話の中で偶然生まれたのだとか。
「“安”らかな気持ちで、“手”にとって、“無”になる」という、深い意味があるそうです。素敵ですね。
台湾茶道との出会いは今から8年前。宮崎県出身の平岩さんは、2010年に小倉で現在のギャラリーをオープンし、その流れで縁があった人からの紹介で台湾茶の師匠であるPeru(ペルー)さんと出会ったそうです。
お茶を飲んで感動した当時のことを今でも胸に深く刻んで、お茶を提供しています。
ファッション業界で時代の先端を表現する世界から、全く違う“1日をしっかり生き抜く穏やかな世界”へと、人生が180度変わったそうです。
現在も、京都や逗子で開催されるPeruさん主催の「留白(ルハク)」で台湾茶道を学び続けています。
台湾茶で魂が震える茶の世界を体験
同店で提供されるお茶は、一般の人は入手できない昔ながらの生態系を大切にする人達が育て、その手により伝わった貴重な台湾茶や中国茶です。
留白台湾茶は、菓子や華美な花器も花もない、必要以上の情報をそぎ落とした視覚に頼らない一期一会のお茶であることが特徴です。
標高が高く天然の環境で成長し長時間かけてストレスなく製茶することで、穏やかに身体に作用する自然の力があり、客人の体調や気分を感じ、穏やかな気持ちで一期一会の心に届くお茶を淹れるそうです。
平岩さんは、これを大切にして、日々客人と向きあってます。
自分自身を大切にする時間と空間
この日、筆者がたしなんだお茶は、“始まりのお茶”として提供している「阿里山高山生態烏龍茶(3g/1人分2200円)」。台湾阿里山の原住民族ツォウ族が2024年の春に、僅か6kgだけ収穫できたという自然生態烏龍茶で、とても貴重なものです。
まずは、白湯で口と茶杯を清めます。次に、1煎目に梅・紫蘇を思わせる香り、2煎目にはよりまろやかな香り、3~7煎目は水が次第に優しくまろやかになりつつ、力強さや広がりが余韻で残ります。
そして、8煎目は清らかな水の味と茶器の中にぬくもりと包まれるような甘い香り。お茶の香りと茶杯に残った香りで何度も楽しめます。
この間も、平岩さんが茶葉や茶器の事を話してくれます。水から鉄瓶を用いて炭で沸かしています。
筆者は今回、1人前を約2時間かけて滞在し、ゆっくり8煎たしなみました。ただし、茶葉の種類によってたしなみは違ってくるそうです。
器に宿る時の記憶と気のエネルギー
同店の茶道具には、由緒正しい歴史ある道具が使われています。
そして、お茶と共に時の流れと“気”をいただくそうです。
心と身体が整う、ひとときの静寂を
この日、お店へ向かう時は、暑さや寝不足気味の重い身体だった筆者ですが、帰り道には全く違う感覚に。不思議と気も整い、気持ちも身体も軽やかになった気がします。
忙しい日々の疲れ、暑い毎日、ひとときの心の静寂はいかがでしょうか。センスが良いこだわりの空間で、大切な自分時間が過ごせますよ。
なお、「茶房 安手無」は、夜になると「酒場 安手無」となります。
詳しくは「茶房 安手無」インスタグラムから見ることができます。
<茶房 安手無>
■住所/北九州市小倉北区京町3-10-9 栄伸ビル4F
■電話番号/093-482-1810
■営業時間/11:00~16:00(L.O 15:00)
■定休日/木曜日
■メニュー例
・阿里山高山生態烏龍茶(産地 台湾嘉義県)/2200円
・伝統凍頂烏龍茶(烏龍茶)/2200円
・東方美人烏龍茶金萱種(烏龍茶)/4400円
・野生老白熟果(白茶)/3300円
・その他/プアール生茶・プアール熟茶・烏龍茶・白茶・紅茶等
※全て1人前価格です。
※価格は全て税込みです。
■「酒場 安手無」営業時間/18:00~23:00(L.O 22:00)
※2025年8月12日時点の情報です
(ライター・tokimekiのiro)