東京都千代田区・新宿区・文京区にまたがる「飯田橋駅」周辺は安心して暮らせる?治安や災害情報をまとめます
飯田橋駅周辺には観光エリア・施設が多く、例えば、日本武道館や靖国神社、神楽坂、小石川後楽園・東京ドームなどが点在しています。そんな都心の中心地ともいえる飯田橋駅周辺は、「治安が悪いのでは?」「神田川が近く災害リスクが高いのでは?」と不安を感じる方もいるかもしれません。
そこで、本稿では、「新しい住まいの候補地として気になるけど、治安や防災に関して不安」と感じている方向けに、飯田橋駅周辺の治安や災害リスクなどに関して、住まい探しの視点から参考となる情報をお届けしたいと思います。
飯田橋駅周辺の基本情報
飯田橋駅(いいだばしえき)は、東京都千代田区・新宿区・文京区にまたがって位置しています。飯田橋駅周辺には、それぞれの区の観光エリア・施設が多く位置しており、前述した日本武道館や靖国神社、神楽坂、小石川後楽園・東京ドームなどがあります。また、飯田橋駅に乗り入れている鉄道は、JR中央・総武緩行線、東京メトロ東西線・有楽町線・南北線、都営地下鉄大江戸線と、合計5路線が乗り入れており、交通利便性が非常に高いです。
飯田橋駅という名称からどのような印象をもちますか?江戸城の北側に位置し、史跡が多く存在することから、古くからの歴史ある伝統的な街並みが広がっていると思いがちですが、実はそうではないのです。明治に入って以降、急速に都市化が進み、現在は外濠や牛込見附、小石川後楽園などを除き史跡は失われています。
また、江戸時代は飯田橋ではなく飯田町という地名で、元々は飯田橋という名称の橋は架かっていませんでしたが、明治に入ってから橋が架けられ、その際に「飯田橋」という名称がつけられ、その後、町名となり、現在も行政地名として使用されています。
地域に存在する歴史的な橋としては、「牛込見附」に架かる「牛込橋」の方が、飯田橋よりも長い歴史を持っています。牛込にあった“見附(みつけ)”とは、見張りの警備人がいる場所を指し、江戸城内外に36箇所あったとされています。この牛込橋は現在では、神楽坂(新宿区)と早稲田通り・九段下(千代田区)を結ぶ重要な交通路の一つとなっています。
一方、駅の北東方面に目を向けると、小石川後楽園や東京ドームシティがあります。これらの施設は「JR水道橋駅の方が近いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、同駅とJR飯田橋駅の距離はとても近いため、JR飯田橋駅からも徒歩数分でアクセス可能です。
この地は元々水戸家の広大な上屋敷があった場所で、その内庭が「後楽園」と名付けられました。水戸家といえば、徳川光圀をはじめ儒教的思想を取り入れた藩政が有名ですが、この庭園も中国の庭園技術が随所に取り入れられているのが特徴で、都内に残る唯一の藩邸跡の大庭園です。ちなみに、水戸徳川家は幕府から江戸定府(じょうふ)を命じられ、藩主は江戸に常駐する「副将軍」とも呼ばれ、幕府における上屋敷の位置づけの重要性も大きかったとされています。なお、幕府最後の将軍である徳川慶喜も水戸家出身のため、この上屋敷があった「小石川後楽園」の地で生まれています。
やや長くなりましたが、飯田橋駅という名称から、人によってはあまり特徴のない駅という印象を持つかもしれませんが、実は歴史や文化の色濃いエリアに簡単にアクセスできるという大きな特徴を持っています。
2020年にJR飯田橋駅西口駅舎が新しくなり、牛込橋や牛込見附などの歴史的な施設との調和が図られました。また、近年では、市街地再開発事業をはじめとして、都市基盤の再整備が急速に進んでいるエリアです。すでに成熟したエリアでありながらも、今後も利便性が向上されていく予定です。詳しくは、次の記事で解説しているので併せてお読みください
飯田橋駅周辺の治安
飯田橋駅周辺の犯罪発生件数
上図は、警視庁が公表している町丁別の犯罪認知件数のうち、2024年に発生した犯罪のうち警察が認知した件数を地図上に表示したものです。ご覧いただくと、飯田橋駅周辺で最も犯罪認知件数が多いのは、緑色で示された「神楽坂一丁目(21件)」や「飯田橋四丁目(27件)」、東京ドームが位置しているエリア(橙色)では「後楽一丁目(78)件」となっています。犯罪の種別(その他を除く)として最も多いのが、神楽坂一丁目が「万引き(4件)」、飯田橋四丁目が「暴行(7件)」、後楽一丁目が「詐欺(26件)」という結果となっています。
それぞれの区における令和6年の犯罪認知件数の合計は千代田区で2,532件、新宿区で6,025件、文京区で1,194件となっています。全体の認知件数からみると、飯田橋駅周辺の認知件数は比較的少ないことが見てとれます。
ただし、近年の傾向では新型コロナウイルス感染症の収束以降、全体的に犯罪認知件数は微増傾向にあり、飯田橋駅周辺においても同様に増加傾向にあります。このため、飯田橋駅周辺で居住先を選ぶ際には、どのようなエリアでどのような事件が発生しているのかあらかじめ把握しておくことをおすすめします。なお、あくまでも認知件数のため、警察が認知できていない件数は統計化されていないため、実際の発生件数ではないことに注意が必要です。
飯田橋駅周辺の災害への備え
飯田橋駅周辺の地形の特徴と注意点
飯田橋駅周辺の地形的な特徴として、駅の西側は高台と江戸城の外堀(低地)、南側は皇居(高台)、北側・東側は神田川(低地)となっています。低地にあたるエリアでは、水害に対して注意が必要となります。
飯田橋駅周辺のハザードマップ
飯田橋駅周辺では、神田川・日本橋川沿いに洪水被害が想定されています。飯田橋は3つの区域にまたがっているため、千代田区、新宿区、文京区において災害ハザードマップを公表されています。
浸水深を見ると、最大で5mが想定されています。5mというのは一般的な住宅では2階部分が浸水します。このため、神田川沿いに住まいを探している場合には浸水想定区域に注意し、2階以下に居住する際には特に避難経路や避難所の確認が必要です。
洪水浸水想定の確認方法は、国の「ハザードマップポータルサイト」や「不動産情報ライブラリ」により、スマホやPCなどのデジタルデバイスから確認できます。また、各区では「ハザードマップ」を公表しており、避難場所を含め防災に必要な情報を確認できますので、飯田橋駅周辺への居住を検討している場合には、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
飯田橋駅周辺の地盤
飯田橋駅周辺の地形は、大きく分けて、低地である神田川沿いの「後背低地・湿地」と、それ以外の高台に位置する「台地・段丘」に分類されます。「後背低地・湿地」の地形的な特徴としては、過去の河川の氾濫によって周囲よりも長期間浸水しやすく、水はけが悪い点が挙げられます。また、地盤が極めて軟弱であるため、地震の際の揺れが大きくなりやすく、液状化の発生傾向がやや強いというリスクも伴います。
一方で、「台地・段丘」は比較的安定しており、地震の揺れが小さく、液状化の発生傾向も低いとされています。
ただし、台地と低地の境界部には、崖崩れや土石流、地すべりといった土砂災害のリスクが存在します。このため、台地側のごく一部のエリアでは、土砂災害への警戒が必要となる場合があります。土砂災害に関しては、「土砂災害警戒区域(土砂災害特別警戒区域)」に指定されていないかを必ず確認しましょう。不動産取引の際には宅地建物取引業法に基づく重要事項説明で説明されますが、ご自身でも「不動産情報ライブラリ」などを活用して事前に確認しておくことをおすすめします。
飯田橋駅周辺のエリアごとの特徴
千代田区で最も古い市街地再開発事業が飯田橋駅北側に位置する「セントラルプラザ・ラムラ」です。東京都が施行して完成した高さ82m、地上20階建ての建築物です。1979(昭和54)年に工事着手し、1984(昭和59)年に工事が完了しています。
JR飯田橋駅の東口側の高架橋の上部には、現在使われていないホームが残されています。 このホームは、2020年に飯田橋駅のホームが西側へ移設されるまで使用されていました。 元のホームがカーブ区間に位置していたため、車両とホームの間に大きな隙間ができ、転落事故がたびたび発生していました。 そのため、JRが安全対策として改良工事を実施したものです。
飯田橋サクラテラスは、市街地再開発事業により2014年に完成した業務・商業棟、住宅棟および教会棟からなる複合用途の建築物です。高さ約150m、地上40階建ての住宅棟(パークコート千代田富士見ザ・タワー)をはじめ、飲食店舗などが充実している施設です。外濠公園と一体的な緑地空間が広がっていることもあり、春には桜を堪能することができます。
飯田橋駅周辺エリアは、複数の区にまたがる地理的特徴に加え、駅周辺を流れる神田川を境に、南北それぞれに異なる魅力が凝縮されています。駅の北側 、新宿区側には花街として栄えた神楽坂があり、現在も昭和の面影を残す路地に歴史ある料亭が軒を連ねています。文京区側には、水戸家の広大な上屋敷の庭園を活かした「小石川後楽園」や「東京ドームシティ」が広がり、歴史ある日本庭園と現代的なアミューズメント施設が共存しています。一方、駅の南側には、東京大神宮や靖国神社、日本武道館といった名所が点在しています。
こうした歴史的な史跡や文化施設だけでなく、北側にはオフィス街が、南東側には商業街区が広がり、都心機能も充実しています。さらに近年では、積極的な市街地再開発事業によって良質な住宅の供給も進んでおり、今後も継続的な再開発が予定されているため、一層の街区再編と都市の再整備が期待されるエリアです。
このように、飯田橋駅周辺エリアは、豊かな歴史と文化を尊重しつつ、積極的に新しいまちづくりが進められています。ただし、神田川沿いでは過去に何度も洪水被害が発生しているため、居住を検討する際には、洪水浸水想定区域やハザードマップの確認が必須となります。
飯田橋駅周辺での住まい探しのおすすめ条件
ここまで、飯田橋駅周辺の治安や災害ハザードについて詳しくお伝えしました。これらの情報を踏まえ、飯田橋駅周辺で理想の住まいを見つけるためには、災害ハザードエリアを事前に確認し、ご自身の物件条件に合致しているかを見極めることが重要となります。例えば、浸水が想定されるエリアでは、1階部分が浸水する恐れがある0.5m〜3m未満のケースなら2階以上を検討したり、3m以上の浸水が想定される場合は、避難所へ避難しやすい住居や、想定浸水深以上の高さの階に住むなどの対策が考えられます。飯田橋駅周辺では、最大で5mの浸水が想定されているため 、2階以下に居住する際には、避難経路や避難場所の確認を必ず行いましょう。
また、浸水リスクのある地域で物件を選ぶ際には、「ご自身がどの程度のリスクを許容できるか」を事前に明確にしておくことが、後悔のない住まい選びに繋がります。
飯田橋駅周辺は、こうした災害リスクに関する基本的な情報をきちんと把握しておくことで、安心して快適に暮らすことができる魅力的なエリアです。近年では市街地再開発事業や都市基盤の再整備が積極的に進められており、今後もさらに魅力的で便利な街へと進化していくことが期待されます。交通利便性の高さ、歴史と文化が融合した街並み、そして進化を続けるこの飯田橋駅周辺で、ぜひあなただけの新しい暮らしを見つけてみませんか?
【飯田橋駅周辺の家賃相場】
・ワンルーム:13.07万円
・1LDK:24.92万円
・2LDK:38.02万円
・3LDK:88.44万円