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『ヒックとドラゴン』実写版ヒック「モノマネでは失礼」アニメよりも「ダークで孤独な部分」掘り下げる

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実写映画版『ヒックとドラゴン』は、オリジナルのアニメ映画シリーズの単純な実写化ではなく、新解釈を加えた再映像化となっているようだ。主人公ヒックを演じるメイソン・テムズが、アニメ版のモノマネではなく、実写映画ならではの“新しいヒック像”を探求したことを米にて明かしている。

『ヒックとドラゴン』は、イギリスの人気児童文学をもとに、気弱な少年ヒックと傷ついたドラゴンのトゥースとの出会いから、奇跡の友情と大冒険を描いた人気シリーズ。アニメ版のジェイ・バルチェルからヒック役を引き継ぐのは、新鋭メイソン・テムズ。『ブラック・フォン』(2021)で注目を浴びた若きホープだ。

世界中のファンに愛されるヒック役に、テムズは大きなやりがいと責任を感じていた模様。「(アニメ版の)ヒックの声をモノマネしたことはありますか?」と質問されると、「モノマネはできますが、この映画でそういうことをするのは失礼だと思うんです」と答えた。「ジェイの演技は本当に素晴らしく、象徴的でした。けれど、僕は自分のやり方を貫かなくてはいけないと思いました」。

役づくりのヒントとなったのは、アニメ版にはなかった人物造形だった。

「皮肉やウィットという、みんなに愛されるヒックの個性を保ちたいと思いつつも、同時に新たな側面、ダークで悲しい、孤独な部分を探りたいと思っていました。彼は村からつまはじきにされ、父親にも認められていません。それでも父親から誇りに思われ、ヴァイキングとして受け入れられることだけを求めているんです。ヒックの新たな一面を探り、キャラクターに新たな色彩を与えられたのは本当に楽しかったですね。」

©2025 UNIVERSAL PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

©2025 UNIVERSAL PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

アニメ版3部作から続投したディーン・デュボア監督は、オーディションのためロンドンに向かう飛行機で『ブラック・フォン』を鑑賞し、テムズの演技に感銘を受けたという。ヒック役のオーディションをテムズが受けていないことに気づき、参加するように求めたことが起用のきっかけだった。

のちに監督は、テムズが脚本の読み合わせをしている映像をアニメ版のヒック役であるバルチェルに見せたそう。撮影が始まったあと、テムズはバルチェルからInstagramをフォローされたという。「まだ彼(バルチェル)と話す機会はないのですが、近いうちに話せることを願っています。彼のヒックは、僕の幼少期の象徴。とても大きな影響を受けました」とテムズは語っている。

なお、アニメ版との差異はこれまでにもたびたび言及されており、ヒックの父親ストイック役でアニメ版から続投したジェラルド・バトラーは「火を吹くシーンもアニメ版より怖い」とリアルな映像技術に、作曲家ジョン・パウエルは「時には少し違った方法で、時には大きく異なる方法で機能させる必要があった」と実写版ならではの音楽の使い方をしていた。

もっともシリーズに精通するバトラーでさえ、実写化の知らせを受けて「ひどいことになるぞ」としていたというから、初めてシリーズに参加するテムズは相当のプレッシャーを抱えていたことだろう。実写版映画ではヒックとストイック、ヒックとアスティ、もちろんヒックとドラゴンが織りなす心理描写にも要注目だ。

実写映画版『ヒックとドラゴン』は2025年9月5日(金)全国ロードショー。

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Text: Yuka Shingai, 稲垣貴俊

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