オフィスの存在意義を「社内コミュニケーションの強化」とする企業は約7割 森ビル調査
森ビル(東京都港区)は12月5日、「東京23区オフィスニーズ調査」を公表した。この調査は主に東京23区に本社がある資本金上位の約1万社を対象として、9月2日〜9月30日に行われた。オフィス面積を「拡大予定」と回答したのは58%と引き続き増加しており、「縮小予定」はさらに減少した。
今後の成長を見据えたオフィス投資 面積は拡大傾向
調査では「新規賃借予定あり」と回答した企業が25%と、この数年間は全体の約4分の1で推移。そのうち「新規賃借面積拡大予定」の割合は、2020年の調査より4年連続で増加し、約6割が「拡大」と回答した。
コロナ禍直後の変化への対応は落ち着きつつある
新規賃借予定のある企業にその「理由」を尋ねたところ、1位が「立地の良いビルに移りたい」、2位が「新部署設置、業容・人員拡大」となった。「賃料の安いビルに移りたい」「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更」の回答割合は減少傾向にあり、コロナ禍直後の景況悪化や働き方の変化への対応は落ち着きつつあるとみられる。一方、今後の成長を見据えて、立地・ビルグレード改善のための新規賃借を検討する企業が増加していると考えられる。
「1フロア面積が大きなビルに移りたい」も上位に挙がっており、企業規模が大きくなるにつれて、従業員が一つの場に集まってコミュニケーションをはかれるオフィス環境を求めているとみられる結果となった。
「社内コミュニケーションの強化」をオフィスの存在意義とする企業は約7割
さらに、本社オフィスの存在意義や求められる機能・役割と、オフィス環境づくりの課題について尋ねた。「社内コミュニケーション・コラボレーションの強化」を存在意義とする企業は71%、課題とする企業は42%となった。さらに課題としての回答割合が高いのは「従業員のエンゲージメント向上」(32%)、「災害など有事における本部機能」(26%)、「人材開発・人材育成」(23%)などが続いた。「従業員の創造性(クリエイティビティ)の誘発」「従業員のウェルビーイング向上」を課題とする企業はともに19%だった。
オフィス環境づくりの支出額は増加傾向
また、コロナ禍以降のオフィス環境づくりのための支出の変化について尋ねたところ、38%の企業が支出額が増加したと回答した。単なる執務空間以外の機能の拡充がオフィスに求められる中、オフィス環境づくりへの企業の投資は引き続き増加していくと考えられる。
なお、当メディアで紹介した日本政策投資銀行の「オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2024」の記事中では、環境配慮・ウェルビーイング対応がオフィスビル選定基準として定着していると明かされた。
森ビルの調査結果は、同社の公式リリースで確認できる。