【ネタバレ】『スーパーマン』おまけシーン解説 ─ なぜジェームズ・ガンはあの場面を選んだのか?
公開中の映画『スーパーマン』は新DCユニバース劇場映画第1作だ。予備知識を必要としないキックオフ作品でありつつ、今後のシリーズに繋がる様々な要素もさりげなく仕掛けられている。
監督はジェームズ・ガン。これまでマーベル・スタジオで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを手がけたガンは現代スーパーヒーロー映画の盛り上げ方を熟知。マーベル作品では、エンドロールの最中や終了後に挿入される「おまけシーン」で、今後の作品に繋がる予告や伏線が登場することでもお馴染みだ。
それでは新DCユニバース初陣『スーパーマン』ではどうだったか?ジェームズ・ガン監督の言葉とともに解説する。
この記事には、『スーパーマン』のネタバレが含まれています。
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ジェームズ・ガンの狙いとは?
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この記事には、『スーパーマン』のネタバレが含まれています。
(c) &TM DC(c)2025 WBEI IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.映画『スーパーマン』おまけシーン解説
結論から言えば、『スーパーマン』のおまけシーンそのものに次回作へと繋がる展開は見られない。エンドロールの途中に挿入されるミッド・クレジット・シーンは、スーパーマン(デヴィッド・コレンスウェット)が月に腰掛けて愛犬クリプトを抱きながら地球を見下ろす可愛らしいシーン。事前のプロモーションでも活用された、象徴的なショットだ。
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エンドロール終了後に登場するポスト・クレジット・シーンでは、ポケットユニバースの氾濫によって割れた街のその後が登場。どうやらスーパーマンたちは分裂した街の修復を試みたようだ。スーパーマンとミスター・テリフィック(エディ・ガデギ)がヒビ割れたビルの外壁を眺めており、微妙にズレているとスーパーマンが指摘すると、ミスター・テリフィックが腹を立てて立ち去るという一幕である。
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これらのシーンはDCユニバースの次回作への伏線というわけではなく、まさに「おまけ」として提供される映像だ。今後につながる示唆といえば、本編中のTVニュース映像にマクスウェル・ロード(ショーン・ガン)が登場したり、スーパーマンの氷の要塞に“従姉妹”スーパーガールが姿を見せたりした。ミリー・オールコック主演の映画次回作『スーパーガール』は2026年6月にUS公開予定だ。
なぜ、『スーパーマン』おまけシーンでは次作への予告を行わず、ささやかなファンサービスに留めたのか?そこには監督ジェームズ・ガンによる考えがある。「マーベルにいた頃、まず第1に、最も人気があったおまけシーンはおバカなやつです」と、米に話している。具体的には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』最後のハワード・ザ・ダックと、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』最後のスタン・リーです」。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)のおまけシーンは、破壊されたコレクター(ベニチオ・デル・トロ)の収集アジトでハワード・ザ・ドックがカメオ登場し、ドリンクをすするというもの。続く『リミックス』(2017)では、スタン・リーがウォッチャーにおしゃべりを続けようとするも放置されてしまうというオチが描かれた。
「おまけシーンで仕掛けたことが、結局何も報われないことがあるんです」と、ガンは説明を続けている。「確実に報われることがわかっていることもありますが。例えば、今回ですと『スーパーガール』映画がどうなるかを知っている。だから、もしもエンドロールの最後に『スーパーガール』で回収される要素があるのなら、僕は構わないでしょう。そうなることがわかっているからです。でも、後で回収されないのなら、ただの衝撃的なおまけシーンというものは作りたくない」。
ガンは「ただし」と連ねて、「観客がエンドロールまで残ってくれて、映画のために一生懸命頑張った人たちを知ってもらえるように、何かを与えるのは好きですよ。何かを贈るのは楽しいことです」と説明。「そういうわけで、今回は最後にテリフィックを出したんです」と、『スーパーマン』おまけシーンの真意を話した。
つまるところガンは新DCユニバースでの展開について、冷静かつ慎重な姿勢でいるようだ。というのもガンは、言及された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のおまけシーンで、次作の予告を迂闊に行って苦労したことがある。同作ではスタン・リーが登場するほか、アダム・ウォーロック誕生の示唆もなされており、これが次作『VOLUME 3』の重要キャラクターにつながることに。ところが後に、ガンはこのシーンを「失敗だった」とはっきりのだ。「“しまった、次の映画でアダム・ウォーロックを出さなきゃいけないんだ”と思ったし、実際に大変だったから」。
新DCユニバースでは、先に脚本をきちんと固め、完全に納得してから製作に移る。言わば石橋を叩いて渡るような姿勢で、これはマーベル・スタジオの方式とは異なる。アナ・ノゲイラ執筆の次回作『スーパーガール』はすでに撮影も開始されているが、本作ではカーラ・ゾー=エルの顔見せ以上のことはしなかった。
果たして新しいシリーズでは、各作品がどのように繋がっていくのか?ガンは「できるだけシンプルに、宿題は不要に」とそれぞれを独立させるでいるから、上手い塩梅で展開してくれるはずだ。
『スーパーマン』は公開中。『スーパーガール』は2026年6月26日US公開予定。
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