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鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」がPLAY! MUSEUMで開催。みんなで「ピンチ・エンターテイメント」の世界に参加しよう!

イロハニアート

絵本作家の鈴木のりたけが、子どもたちのさまざまなピンチに着目して作った絵本シリーズ『大ピンチずかん』(小学館)。シリーズ累計270万部を突破するなどミリオンセラーとして大ヒットし、子どもや大人を問わずに多くの人々の共感を呼んでいます。

鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:池田花梨

この「大ピンチ」を題材に鈴木のりたけが生み出したエンターテイメント、『鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」』が、東京・立川のPLAY! MUSEUMにて開催中です。絵本の立体化ではなく、全く新しい「大ピンチ」の楽しみ方を提供する展覧会の見どころをご紹介します。

みんなで参加しよう!「大ピンチずかん」をリアルに体験


「ブロックの大ピンチ」と鈴木のりたけ 撮影:はろるど

『鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」』のコンセプトは、ずばり「全員が参加する」こと。「せっかく展覧会にするなら、絵本ではできない新しいことをやりたい」と考える鈴木のりたけは、絵本でおなじみのピンチの状況を単に再現するだけではなく、ピンチを題材にした、新しい「ピンチ・エンターテイメント」の世界を生み出そうとします。

そこで鈴木は、空間、手触り、他者との場所の共有という、展覧会でしかできない価値を、来場者の参加度合いによって4つのピンチに分けることを考えつきました。

鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:はろるど

それが絵としてのピンチを楽しむ「みるピンチ」と、ピンチなシーンを遊ぶ「なるピンチ」、そしてピンチの状況を思い描く「かんがえるピンチ」、非日常を体感する「とびこむピンチ」です。会場にて待ち構えているたくさんのピンチに順番なく思うまま触れて、考えて、飛び込むという、一人ひとりが「大ピンチずかん」をリアルに体験できる空間が作られました。

4つのピンチを乗り越える。意外と難しい「あまもりの大ピンチ」とは?


「大ピンチ倒れそうなケーキ」  撮影:はろるど

まず「みるピンチ」では、こぼれた牛乳や倒れそうなケーキなどの大ピンチを思いっきり巨大化。こうした特大のピンチを近くでじっくり眺めると不安になりがちですが、むしろそれを楽しんでみようというのが鈴木のりたけの考えです。大ピンチが来ても当たり前、笑い飛ばしてしまうくらいの心持ちで特大ピンチを体感してみましょう。

「あまもりの大ピンチ」 撮影:はろるど

「なるピンチ」でおすすめなのが「あまもりの大ピンチ」です。ここではひとりが左から雨粒を模した木の球を入れ、もうひとりがレールから落ちてくる球をバケツを持って拾うという体験ができます。

一見、シンプルな仕掛けに思えますが、 複数の異なった大きさの球が入れられているため、落ちてくるタイミングはまちまち。二人で息を合わせながら、意外と手強い「あまもりの大ピンチ」を乗り越えてみてください。

「大ピンチバー」で思い思いの「大ピンチ」を作ろう!


鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:池田花梨 ※「大ピンチバー」

「かんがえるピンチ」で体験したいのは、「だれが・どこで・なにを・どうした」の4種類の言葉を組み合わせ、生まれる偶然のピンチを笑い飛ばす「大ピンチバー」。言葉の記されたバーを手にしながら、それぞれが思い思いにピンチの文章を作ることができます。

もちろん先に他の人が作ったピンチを作り直すのも問題ありません。「こっちの方がもっとピンチでは?」と、色々考えながら文章を作っていくのも楽しいのではないでしょうか。

「大ピンチバー」 撮影:はろるど

ここには「参加した人が何かを作り、痕跡を残して、次に来た人がまた手を加えていく、いわば共同作業のようなことが起こるといい」とする、鈴木のりたけの思いが反映されています。

鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:池田花梨 ※「大ピンチぎゅうにゅうぶろ」

最後に全身でピンチを体験できるのが、「とびこむピンチ」です。「大ピンチぎゅうにゅうぶろ」では『大ピンチずかん』の男の子が牛乳をこぼしたシーンを立体化し、いっそのこと自分も牛乳になってしまおうと、牛乳のお風呂の中に入って遊ぶことができます。

鈴木は「大ピンチぎゅうにゅうぶろ」について、「大ピンチで盛り上がった仲間とキャッキャと体を動かしながら交流してほしい」と語っています。誰もが一度が憧れたことがあるかもしれないぎゅうにゅうぶろを、みんなで思う存分に味わいましょう。

絵本原画や『大ピンチずかん』のラフスケッチの展示も!


鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:池田花梨 ※「大ピンチフンだらけ」

この他にも「大ピンチフンだらけ」、「大ピンチステーキ」、「大ピンチブロック」など、さまざまな「ピンチ・エンターテイメント」が展開する『鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」』。全国巡回の立ち上がりとなった横浜会場では4万人超の動員を記録し、SNSでも大きな話題を集めました。

鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:池田花梨

今回のPLAY! MUSEUM では「プラス」として、デビュー作品の絵本原画や、『大ピンチずかん』のラフスケッチなどの特別展示と、絵本や展示から着想を得たコラボメニューが楽しめるカフェも登場。「おもしろがるとせかいがひろがる」をモットーとする鈴木のりたけの「大ピンチ」の世界をより深く体感できます。

デビュー作の『ケチャップマン』と人気シリーズ『しごとば』


『ケチャップマン』 文芸社ビジュアルアート 2008年 / ブロンズ新社 2015年 展示風景 撮影:はろるど

『ケチャップマン』とは鈴木のりたけの絵本作家としてデビュー作です。身体がケチャップでできたケチャップマンが、自分にしかできない何かを探し、悩んでいた毎日、自分にぴったりのポテトフライ専門店と出会い、アルバイトとして働きはじめます。

これは鈴木が前職のグラフィックデザイナーの時に描かれた作品ですが、「働くとは何だろう」という根源的な問いや、デビュー前に奮闘する彼の心境を感じることができます。

『しごとば』シリーズ 原画 2009〜2020年 ブロンズ新社 展示風景 撮影:はろるど

『しごとば』シリーズは、パン職人らの「作る人」や、考古学者などの「調べる人」、そしてオーケストラ団員といった「伝える人」など、さまざまなプロフェッショナルを訪ねて取材し、その仕事の内容や道具などを絵本で伝えた作品です。

そこには仕事場などがリアルに描かれていますが、それぞれの人の仕事が一つの画面でぱっと分かるように再構成されるなど、鈴木の絵本作家としての卓越した力量も伺い知れます。

会社員から絵本作家の道へ。鈴木のりたけの絵本作りの信念とは?


鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」会場写真 撮影:はろるど

大学卒業後、JR東海に入社して新幹線の運転免許を取得するものの、1年9ヶ月で退職し、その後、広告の制作プロダクションでグラフィックデザイナーとして研鑽を積んだ鈴木のりたけ。自分から生み出す仕事をしよう、自分の署名がつくものを残そうと思い、少しずつ自分の家で絵を描きはじめ、いつしか絵本のようなものを作ったと言います。

そして絵本のコンペに応募。文芸社ビジュアルアート出版文化賞のコンテストに『ケチャップマン』が入賞し、絵本として刊行され、本格的に絵本作家の道を歩みはじめました。

鈴木の絵本作りにおける信念は、「作り手自身が面白いと思えること、読む人が価値や面白さを見出すこと」にあります。それは今回新たに挑んだ展覧会という舞台でも、エンターテイナーとしていかんなく発揮されていると言えるでしょう。

人生を明るくポジティブに生きるためのヒントも


「大ピンチステーキ」と鈴木のりたけ 撮影:はろるど

最後に会場の随所で紹介されている、鈴木のりたけの言葉(※)にもぜひ目を通してください。

「みんな一緒に地球の上で過ごしているわけですから、不確実性や偶然性、あるいは自分が意図しない扉が開くことがあります。それを面白がれたほうが生きやすいし、楽しいと思うんです。最近は、狭いところでしか楽しめない人が増えていると思います。もう知ってる、似たものがあった、といったふうに。すでにあるものでも、似たようなものでも、それが面白ければいいと思うのです。」(※) ※『大ピンチを楽しむ』(2025年 ブルーシーブ刊)より

鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」 特設ショップ 撮影:はろるど

「大ピンチはシリアス、災難、悲惨というような空気になってしまうけど、それをぶっ壊したい」とも語る鈴木のりたけの『大ピンチずかん』には、人生を明るくポジティブに生きるためのヒントがたくさん込められています。その世界観をPLAY! MUSEUM『鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」』で味わってみてください。

展覧会情報


『鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」』
会期:2025年10月8日(水)〜12月7日(日)
会場:PLAY! MUSEUM
所在地:東京都立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2F
開館時間:10:00~17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)
会期中無休
入場料:一般1,500円、大学生1,000円、高校生800円、中学生600円、小学生600円
※当日券で入場可。土日祝および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券 (オンラインチケット)を販売。
展覧会公式サイト:『鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」』

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