東京メトロ株が来月、東証プライム市場に上場 株主優待制度も要注目(東京都)
東京メトロ(正式社名は東京地下鉄株式会社)は2024年10月23日、東京証券取引所プライム市場に株式を上場する。旧東証一部に相当する、プライム市場への鉄道会社の上場は、2016年10月のJR九州以来8年ぶり。
東京メトロ株は現在、国が53.4%(売主は財務大臣)、東京都が46.6%を持つ。上場時の発行済み株式総数は5億8100万株で、今回は半数に当たる2億9050万株を売り出す。
国内外に分けた売り出し予定数は、国内2億3240万株(全体の80%)、海外5810万株(同20%)。東京メトロの事業領域は、海外技術協力など一部を除き国内に限定される。
しかし、株式を上場するJRグループ各社などの先例をみても、世界有数の高密度で列車を運行、通勤・通学客を中心に安定した顧客を抱え、安定した利益を上げる日本の鉄道事業者は、投資先としての評価が高い。
想定する売り出し価格は1株1100円。実際には、証券会社や投資家の需要を積み上げるブックビルディング方式を採用し、2024年10月15日に決定する。購入申し込みは100株単位。
東京メトロは、戦前の1920年に設立された東京地下鉄道がルーツ。1941年に特殊法人の帝都高速度交通営団(通称・営団地下鉄)になり、2004年の民営化で東京メトロに事業承継された。
2024年3月期の連結売上高は3892億円で、23億8500万人の輸送⼈員は大手民鉄(私鉄、2023年度)16社中トップ。本格化する人口減少の時代を迎え、鉄道各社は流通や観光関係の事業に力を入れるが、地下を走る東京メトロは駅ビルなどの事業展開が難しい一面がある。今後、鉄道と並ぶ収益の柱を見出すことが経営上の課題になる。
本業の鉄道事業では、有楽町線豊洲~住吉間、南北線白金高輪~品川間のそれぞれ延伸が当面のプロジェクトになる。
鉄道ファン、東京メトロファンは、株主になってメトロに投資する道があるかもしれない。
発表された株主優待制度は全部で5種類。200株以上の所有者には、半年ごとに保有株数に応じて所定枚数の全線きっぷを進呈する。1万株以上の株主には全線定期券を発行する。
さらに、インターネットショッピングサイト、東西線葛西駅高架下の「地下鉄博物館」、東西線西船橋駅、有楽町線新木場駅などに出店する「そば処めとろ庵」でも株主優待制度を創設する。
記事:上里夏生