尼崎の江戸時代城下町の雰囲気を感じる「寺町ガイドツアー」体験レポ【前編】 尼崎市
阪神尼崎駅のすぐ近くには、江戸時代の城下町の雰囲気が今も色濃く残る「寺町」エリアがあります。以前、『あまがさき観光案内所』を取材した際に、寺町を巡るガイドツアー(ガイド料・無料)の存在を知り、実際に参加してきました。その模様を【前編・後編】に分けてお届けします。
ツアー人数は2人から100人まで申し込み可能で、コースは寺町メインや尼信会館、商店街、尼崎城址公園を巡るものまで6つあります。今回筆者は、寺町をメインに案内してもらうCコース(所要時間90分)に参加しました。
案内してくれたのは、「尼崎ボランティア・ガイドの会」に入会して7年の歴を持つ阪野さん。小学生の団体100人ほどを案内した経験もあるベテランガイドさんです。
今回のツアーでは、寺町エリアにある11の寺院の中からいくつかピックアップして案内いただきました。記事では、なかでも筆者が特に印象に残った『全昌寺』『本興寺』『甘露寺』『大覚寺』について紹介していきます。
【全昌寺】
桃源山『全昌寺』は、戸田家の菩提寺として1617年に建立された曹洞宗(禅宗)の寺院です。
中には月1回行われる座禅の時に入ることができ、格天井にはたくさんの美しい花の絵が描かれているそうです。
神社仏閣巡りが好きな筆者はこういうものを見るのが大好きなので、ぜひこの目で見てみたいとワクワクした気持ちになりました。
「今回は瓦に注目してほしい」と阪野さん。そう言われて屋根を見上げると、なんと桃の形をした珍しい瓦が!
プライベートでもいろいろなお寺を巡っている筆者も初めてお目にかかるデザインで、思わず「かわいい♡」と声を発してしまいました。寺の山号の「桃源山」に由来しているからだそうで、なんともユーモアを感じます。
【本興寺】
続いて向かったのは、三重宝塔のある『本興寺』。1420年創建、京都の本能寺を創建した日隆上人の開基した寺院です。
敷地内には室町時代から続くお坊さんの学校「興隆学林」もあるそうで、この砂利も朝からお坊さんたちがきれいにならしたもの。そのため、踏まないのがマナーだそうです。
尼崎市には重要文化財が10点あり、そのうちの7つが寺町に、さらにそのうちの5つが同寺にあります。毎年、文化の日の11月3日には「虫干会」と題して『大方丈』『開山堂』『三光堂』などの重要文化財の中に入ることができます(入場無料)。
その日は鎌倉時代に作られたとされる日本刀「数珠丸」も見られるそうで、ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』に登場するキャラクターと関連があることから人気があり、当日は整理券が配られるほど多くの人が訪れるそうです。
境内には「お会式桜」と呼ばれる冬桜、秋から春に咲く桜の木があり、かわいい白やピンク色の桜を見ることができました。
さらにここでも屋根の瓦に注目です。朝廷と関係があった伏見宮日承上人をお祀りしていることから軒丸瓦が菊紋になっています。
寺の塀には、白い線が引かれていますがこれは「定規筋」と呼ばれるもので筋の数が寺の格式を表しています。格式の高さによって3本、4本、5本とあり、同寺は皇族などの御所に由来があるので最高位の5本の線が引かれていました。
筆者は今まで気にも留めていなかったので、今度から寺を巡る際には塀にも注目しようと思います。
まだまだツアーは続きますので。記事の【後編】もお楽しみに!