2024年目標の検証【穴澤賢の犬のはなし】
先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで感じた何気ないことを語ります。
さて、この連載も2024年はこれで最後になる。そこで私事で恐縮だが、『今年のはじめに立てた目標』が達成できたのか検証してみたい。
2024年はどんな目標を立てていたか?
書いた目標は「今年こそキッチンと風呂場をリフォームして、薪ストーブを入れよう。おそらくキッチンや風呂のリフォームとなると、その期間は家で暮らせないので、そのタイミングで旅行でもしよう」だった。
結果は、風呂場とトイレのリフォームは完了した。薪ストーブも導入した。しかし、キッチンは何もできていない。相変わらず昭和の低くて狭いキッチンで過ごしている。
理由はいくつかあるが、設備屋さんと大工さんと相談した結果、まず風呂からやって次にトイレで、キッチンは最後にしようとなり、年内に間に合わなかっただけだ。だから旅行にも行けていない。料理をするからキッチンを一番にやりたかったのだが、それは来年必ずやろう。
薪ストーブについては、少し前に書いたことがあるが、あれからしばらく使ってみて、導入してよかったと素直に思っている。理由は、本当に温かいのだ。それもストーブなどと違い体の芯まで温まる感じである。
さらに、遠赤外線が柱や壁などを温めるせいか家全体がほんわかしており、火が消えてからもしばらく続く。石油ストーブだと切ったらすぐ寒くなるが、それがない。
薪を運んだりくべたり、薪代がかかったり色々面倒なことは増えるが、入れてよかった。逆にいえば、マイナス15℃にもなる地域でよく5年もFF式ストーブで耐えていたとさえ思う。残念ながら大福はストーブ前でも伸びてはくれないが、それはまぁ仕方ない。
もうひとつ寒さ対策に有効な手段を知った。わが家は築50年くらいのボロ小屋だからアルミサッシで一重ガラスだが、朝には結露した水滴が凍っている状態だった。それを防ぐため、ビニールの緩衝材を貼ったり、DIYでアクリル板の内側サッシを付けたり努力していたが、効果はそれほどなかった。
そこで大工さんの勧めもあって、業者に頼んで窓の内側に樹脂サッシのペアガラス枠を取り付けてもらった。それも家の中、すべての窓に。これは計画外だったが、すぐに分かるほど断熱効果があった。室内の気温がなかなか下がらなくなったのだ。
熱の大半は窓から逃げるというのを実感した。古い日本家屋で寒さ対策を考えている人にはぜひお勧めしたい。
山に移住し1年ちょっと。2025年はどうなる?
あとは、2023年11月に山へ完全移住して1年過ごしたわけだが、とにかくいろいろな手続きが大変だった。私は小さいながらも会社を経営しているので、登記の移転や、それに必要な書類の準備を急ぎ、取引先への連絡から以前利用していた信用金庫を神奈川県から長野県へ変更するなど、全て完了するのにすごく時間がかかった。
ただ、日々の暮らしについては標高1450メートルの山に完全移住したことは良かったと思っている。夏はエアコンいらずで過ごせたし、冬も薪ストーブで温かい。何より大福はすこぶる元気だ。
ついこの前も、信頼している『横浜山手犬猫医療センター』の分院である『葉山まほろば動物病院』に大福を連れて行き、上田先生に血液生化学をしてもらった。
この原稿を書いていると、ちょうど上田先生から電話があり「大福共に、ほぼ問題なし」とのことだった。今年もいろいろあったけど、私としてはそれが1番嬉しいことだ。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。