【藤沢市】デフリンピックに市内2選手が出場 女子サッカー・宮城さん、水泳・荒川さん
聴覚に障害のあるアスリートによる国際大会「東京2025デフリンピック」が11月15日(土)から26日(水)まで、日本で初めて開催される。1924年のパリ大会から100周年を迎える節目となり、藤沢市に住む宮城実来さん(24)は女子サッカー、荒川輝久さん(20)は水泳の種目で、それぞれ出場することが決まった。2人は今月21日、藤沢市役所を訪れ、鈴木恒夫市長を表敬訪問。意気込みや市への思いなどを語った。
感謝と恩返し
宮城さんは沖縄県出身。小学生の頃に友人の父親から誘われ、サッカーを始めた。現在は藤沢市をホームタウンとする神奈川県社会人サッカーチーム「江の島FC」でプレーしている。「よく海に行くけれど、夕陽が沖縄と比べ、よりきれいに見える」と1年半ほど前から住む藤沢の魅力を語る。またこれまでの活躍の場も広く、デフサッカーだけでなく、デフフットサルの選手としても複数回、日本代表に選出されている。
デフサッカーについて「まだ認知度が低い」としながらも、「耳が聞こえないので声ではなく、アイコンタクトや身振り手振りで体を大きく使い、コミュニケーションを取る。そうしてボールをゴールに運ぶ場面を見てほしい」と話す。
予選は4チームと総当たり戦。会場は福島県のJヴィレッジ。11月15日にアメリカと戦った後、2日ごとにイギリス、ケニア、オーストラリアと対戦する。「今まで支えてくれた人に感謝の気持ちを忘れず、優勝をつかみ取って恩返ししたい」と抱負を語った。
障害を肯定する
水泳種目に出場する荒川さんは、日本大学生物資源科学部(亀井野)に通う2年生。水泳一家で育ち、幼少の頃にいとこが泳ぐ姿を見て憧れを持ち競技をスタートした。進学を機に故郷の岐阜県を離れ、藤沢市に移住。「藤沢は人が多いわけでも、閑散としているわけでもなく、過ごしやすい。暑がりだから海風があって涼しい」と笑う。
日の丸を背負って戦うのは今大会が初。現在は本番に向けて自身を追い込んでいる。「もう少しできつい練習期間が終わるので、ほっとする気持ちもある」というが、「これで少し自分の聴覚障害を肯定できるようになるかな」とも。
荒川さんは個人種目の50mバタフライ(20日(木))、100m自由形(22日(土)・23日(日))、100mバタフライ(24日(月))に出場。また4×100m男子メドレーリレー(25日(火))の選手候補にも選出されている。
大会を観戦する人に向け、荒川さんは「聴覚障害者は耳が聞こえないだけだと捉えられがちだが、声を出さないため呼吸器が弱かったり、三半規管が弱いため酔いやすかったりすることも知ってほしい」とし、「個人では決勝進出、リレーは本番のメンバーに選ばれたらメダル獲得を目指したい」といい、強い意志を瞳に宿らせた。