カルシウム不足が補える栄養豊富な「高野豆腐から揚げ」とは!?【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】
から揚げをつくるなら、高野豆腐から揚げ!
子どもも大人もカルシウム不足
亜鉛が摂れるおすすめ食材の流れで紹介したいのが高野豆腐です。高野豆腐はカルシウムの含有量も多いため、積極的に摂りたい食材のひとつです。
カルシウムは人間の体にもっとも多く含まれるミネラルで、骨や歯をつくる大切な栄養素です。骨を強くし、きちんと成長させるために久かせない存在ですが、残念ながら多くの人がカルシウム不足に陥っているのが現状です。
子どもの成長をサポートするためにはもちろん、大人も強い骨をつくるために、家族でしっかりとカルシウムを摂りたいものです。
また、カルシウムを十分に摂っていても、ビタミンDが不足しているとカルシウムの吸収率が下がってしまうので、どちらもしっかりと摂るよう心がけましょう。
令和元年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの一般食品からの1日の摂取量は平均504.9mgでした。
性別・年代別に見ても、カルシウムの平均摂取量は、男性は、20歳以上で503mg、65~74歳で558mg、75歳以上で561mg、女性は、20歳以上で494mg、65~74歳で567mg、75歳以上で525mgと推奨量(700mg前後)に比べてカルシウムの摂取量は不足しています。子どもたちの1日あたりのカルシウム推奨摂取量と、実際の摂取量(平均値)は下記のとおりです。
また、食品群別でみると乳類からの摂取が最も多く、次いで野菜類、豆類、穀類、魚介類の順に多く摂取していました。
多くの子どもがカルシウム不足!
●1日あたりのカルシウムの推奨量
6~7歳(男児)585mg (女児)538mg
8~9歳(男児)645mg (女児)750mg
10~11歳(男児)708mg (女児)732mg
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)
●1日あたりのカルシウムの摂取量
1~6歳(平均値)416mg
7~14歳(平均値)639mg
15~19歳(平均値)480mg
出典:令和元年国民健康・栄養調査
隠れた優秀食材、高野豆腐
カルシウムを多く含む食べ物は、小松菜、モロヘイヤ、干しエビ、ししゃも、牛乳など。豆腐類もそのひとつですが、なかでもカルシウムの含有量が多いのが高野豆腐です。
たとえば、*¹²木綿豆腐100gあたりのカルシウム含有量は93mgですが、高野豆腐の水煮は100gあたり150mg。少しの量で効率よくカルシウムを摂取できるのです。
さらに高野豆腐には、たんぱく質や鉄、亜鉛など、子どもの健康と成長にかせないさまざまな栄養素がギュッと詰まっています。
高野豆腐といえば煮物のイメージが強いかもしれませんが、今まであまり手に取らなかった方もつなぎやとろみ食材として、この機会にぜひとも高野豆腐に注目してみてください。
高野豆腐はすりおろしてパウダーに!
高野豆腐はそのまま使ってもよいですが、すりおろすとより使い勝手がよくなるのでおすすめ。自分ですりおろしてパウダーにすれば、市販の粉豆腐よりもリーズナブルにすませることができます。
同じ大豆由来の食材として人気のおからパウダーは、食物繊維の含有量が非常に多いものの、カルシウムや鉄などのミネラルの量は高野豆腐より少なくなります。
子どもに食べさせるなら高野豆腐パウダーがおすすめですが、お通じを改善したいときにはおからパウダーを利用してもよいでしょう。
簡単で失敗しない高野豆腐から揚げ
高野豆腐パウダーを使ったメニューで、私がすごく気に入っているのがから揚げ。
小麦粉やかたくり粉を高野豆腐パウダーに変えて、下味をつけた鶏肉にまぶし、油をかけて寛子レンジで加熱するだけ。
から揚げも含めて、揚げ物は面倒くさいですよね。中まで火が通っているかを確認するのも大変で、つい敬遠してしまう方も多いと思います。でもこの方法なら、レンジでチンするだけで簡単で、まず失敗しません。下味をつけたり衣をつけたりする作業を、子どもに手伝ってもらってもよいでしょう。
から揚げに使う鶏肉は、鉄の含有量が多いもも肉がおすすめです。「むね肉やささみのほうがヘルシーなイメージで、子どもにはそのほうがいいと思っていた」という声も聞こえますが、もも肉に比べて、むね肉やささみは鉄の含有量が少なくなってしまいます。
鉄も多く含まれますし、スーパーでよく「から揚げ用」として売っているのはもも肉が多いので、下準備をひと手間省けるのも嬉しいですよね。
から揚げのほか、高野豆腐パウダーをお味噌汁に入れたり、ハンバーグのつなぎに使ったりするのもおすすめです。料理の栄養価を上げたいときは、高野豆腐パウダーを活用してみてはいかがでしょうか。
カルシウムを多く含む食べ物の一例
●野菜類:小松菜、モロヘイヤ、いりごま、菜の花、チンゲンサイなど
●魚介類:ワカサギ、干しエビ、ししゃも、サケの水煮缶、ちりめんじゃこなど
●豆腐類:焼き豆腐、厚揚げ、がんもどき、木綿豆腐、高野豆腐など
●乳製品:牛乳、スキムミルク、プロセスチーズ、ヨーグルトなど
乾燥おから可食部 100g あたりの栄養素(一部)
●たんぱく質 23.1g
●脂質 13.6g
●炭水化物 52.3g
●食物繊維 43.6g
●カルシウム 310mg
●鉄 4.9mg
●亜鉛 2.3mg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
高野豆腐はスーパーフード!
高野豆腐には、子どもの健康と成長に欠かせない栄養素がたっぷり。煮物はもちろん、つなぎやとろみづけに使ったり、パウダーにして揚げ物の衣にしたりと、さまざまな場面で活用できます。
*¹²文部科学省(2023)『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』
【出典】『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』著:工藤紀子