思い出の酒場エピソードをご紹介 青春の店で思わず感涙
金曜ワイドラジオTOKYO『えんがわ』
ご紹介したのは、岡山県にお住まいのRN: キアトモさん からいただいた酒場エピソード。
30年以上前の話です。
大阪での大学生活を終え、東京で社会人生活を始めた私は、大阪で働く彼女と遠距離恋愛をしていました。
ある日、彼女に会うために大阪へ行こうと、有給休暇を取りました。
到着して彼女に電話すると、まさかの日程の勘違いが発覚。
私は、すねてしまい、「大学の後輩のところに行くから」と強がり、予定外のフリータイムに。
とりあえず、以前、お世話になっていた町中華のお店で夕食をとることにしました。
およそ2年ぶりでしたが、お店は変わらず。
ご夫婦が忙しそうに切り盛りするカウンターに座り、「レバニラ定食」と「餃子」と「ビール」を注文しました。
学生時代は、お店でビールを飲むのは仲間と数人で行った時や、長期休暇の前くらいでした。その日のビールはいつもより、苦い気がしました。
慣れ親しんだ味を堪能して、そろそろ後輩宅に向かおうと会計へ。
お店の奥さんに代金を支払って、お釣りをもらうと…お釣りが50円多い。
私が返そうとすると、奥さんが「間違えてないよ」と。
そうだ、このお店は一人暮らしの学生さんには、いつも「50円」安くしてくれていたんです。
私は、「もう働いているので」と言いかけたのですが、奥さんが「いいの、いいの。うちを覚えていて、 わざわざ来てくれただけで嬉しいのよ」と。ご主人は中華鍋を振りながら、頭をうんうんと頷いてくれている。二人とも気づいてくれていたんだ。
単なる学生だった自分を覚えてくれていたことに感激して、うるっとしまいました。
なんとか涙を堪え「じゃあ、ごちそうさまでした」と言うと、「仕事頑張ってね」と声をかけられて、お店を出ました。
その後、無事に後輩と合流し、突然の訪問にも関わらず泊めてもらうことに。
お礼にご飯を奢ることにしましたが、後輩は私の制止も聞かず、数十分前に私がいたばかりの、あの町中華のお店へ。わずか数十分後の「また来ちゃいました」の再訪問にも、奥さんは笑って迎えてくれました。
同じビールなのに、再訪問で飲んだビールは、さっきと違って、とても美味しい苦さでした。
※一部、掲載用に変更しております。
素敵な酒場エピソード、ありがとうございました!
(TBSラジオ『えんがわ』より抜粋)