「言葉の発達が気になる…」子どもの言葉の成長と発語を促すための工夫【専門家監修】子育ての悩み(13)
「周りの子が言葉を発する中で、なかなか言葉を発さないうちの子の成長が気になります」という3歳男の子のママからのお悩みです。
桐川敦子さん
聖徳大学 大学院 教職研究科 教授
児童学博士。幼稚園教諭として25年勤務。同大学では保育者養成に携わる他、子どもの遊びや言葉を研究している。
個人差が大きい言葉の発達、心配なときは専門家に相談を
赤ちゃんが泣いたり、あやすと笑ったりといった「非言語的コミュニケーション」を通して、周囲の大人との温かいやりとりの中で子どもの言葉は発達していきます。
1歳ごろには指を差しながら「まんま」など意味のある言葉を、自我が芽生える2歳前後になると2つの言葉を組み合わせた2語文を話すように。そして、3歳以降は過去や未来の区別をしながらより多くの言葉をつなげて話すなど、言語能力は大きく伸びていきます。
ご相談内容だけで判断するのは難しいですが、この時期は個人差も大きく、ある日を境に話し始める子もいれば、家族やきょうだいの「通訳」があり本人が話す機会を持てないケースや、口周りの機能や聴力に問題がある場合など、「言葉を発さない」要因はさまざまあり、一概に「成長に課題があるため」とは言い切れません。
心配なときは地域の保健センターや子育て支援施設、日頃お子さんと関わりのある園の先生など、身近な専門家に早めに相談しましょう。「様子を見る」という対応もあれば、専門機関で適切な指導を受けて改善する場合もあるので、お子さんに一番合う対応をしたいですね。
子どもは体験し考え、対話を通して言葉を育む
AI時代に生きる子どもたちが、人と人とのぬくもりある言葉のやり取りを耳にする機会が減る中で、以前にも増して「対話」の重要性を意識した声掛けや接し方が求められています。遊びやけんかを体験し、子どもたち自身が考え、対話をしながら解決策を探っていく、そんな過程を通して言葉も育っていくのです。
子どもの発言を否定せず、また、すぐに正解を与えたり、ある程度言葉を話せるようであれば、先回りして代弁したりしないで「待つ」ことも大切。デジタル機器との上手な付き合い方を探りつつ、言葉に限らず心配なことがあればママ一人で抱え込まず、一歩踏み出して、信頼できる専門家に相談しながら成長を見守っていきましょう。