犬が飼い主を突然噛む4つの心理とは 噛んでしまう原因から適切な対策法まで
犬が飼い主を突然噛む心理
犬が飼い主さんに対して噛みつく行動には、何らかの原因や重大なトラブルが隠れている可能性があります。
まずは犬が飼い主さんを噛むときの心理や理由を知り、愛犬に何が起きているか理解するための手掛かりにしてください。
1.興奮しすぎている
犬が遊んでいるときや運動しているときなどに、飼い主さんの腕や足などに噛みついた場合、多くは敵意や威嚇に基づくものではなく「興奮」が原因だと考えられます。
おもちゃを噛んで遊んでいたり、思い切り走り回っていたりするとき、犬はテンションが上がって、普段はしないような行動を取ることがあります。物に体当たりしたり、近くにあるものを噛んで振り回したりといった動物としての本能的な行動を見せることも珍しくありません。
また、犬同士が遊んでいるときは、お互いの足や体に軽く噛みつくという行動も見られます。もちろん傷つけるつもりはないため、甘噛みのような状態ですが歯は当たります。
このようなことから、遊んではしゃいでいるうちに、そばにいた飼い主さんをつい噛んでしまうということは時々見られるものです。
特に子犬や若く健康な犬は、テンションが上がって興奮しすぎてしまい、飼い主さんに思い切り飛びついたり噛みついたりすることがあるとされています。
犬に嚙みつこうという意思があるわけではありませんが、飼い主さんを含め周囲にいる人が怪我をする危険性はあります。そのため、興奮しすぎてしまっているときは、一度遊びを中断するなどして落ち着かせて、テンションのコントロールをおこなうことも必要です。
2.大切なものを取られたくない
犬が飼い主さんに噛みつく行動の理由として比較的多く見られるのが、所有欲や独占欲に基づくものです。
おもちゃや食べ物など、自分が大切にしているものを横取りされそうだと感じたときなどに、それを守ろうとして相手に噛みつくことがあります。
多くは、近寄ってきた相手に対して唸ったり吠えたりして威嚇行動を起こしますが、それが無視されるなどして通用しないと感じると、噛みつきなどの攻撃行動に出てしまいます。
また、物を守るためだけでなく、自分が大切にしている時間や空間を邪魔されたくないという思いで噛みつくこともあります。
いくら犬にとって大切なものであっても、おもちゃや食べ物(フードボウルなど含む)は飼い主さんの管理が必要なものです。
そのため、飼い主さんが手を出してきたとしても、攻撃してはいけない(攻撃する必要はない)ということをしつけのなかで教えなければなりません。
おもちゃなどは飼い主さんの手に渡ったとしても、また返してもらえるという学習をすることで物の受け渡しに抵抗感がなくなり、安全でスムーズにおこなわれるようになります。
3.強い不安や恐怖を感じている
犬が相手に噛みつくときの理由として、「自分を守るため」ということが考えられます。これは相手が見知らぬ敵ではなく、飼い主さんであっても見られるものです。
犬は不安やストレス、恐怖を感じているときに、相手が自分に近づかないようにするために噛みついて離れてもらおうとします。また、追い詰められている、逃げ場がないと感じているときにも噛みつくことで相手と距離を取ろうとするのです。
具体的には、苦手な爪切りをされそうだと感じたときや動物病院に連れていかれるときなどに、逃げ回っている犬を捕まえようとすると噛みついてくることがあります。
これは、相手を攻撃することで恐怖から逃げようとしていることが考えられます。
基本手にはこのような状況に陥らないように、苦手なものは少しずつ時間をかけて克服したり、必要以上に追い詰めたりしないような工夫と配慮が必要です。
4.体に痛みがある
犬は自分の身を守るために、飼い主さんに噛みつくことがあります。
これは、不安や恐怖といった精神的な問題だけでなく、身体的なトラブルが起きているときにも見られるものです。
普段あまり攻撃性を見せない穏やかな犬が、飼い主さんに触られたときなどに噛みついてきた場合、犬は体に痛みを感じている可能性があります。
犬は体に痛みや違和感を感じているとき、静かに休んでそれらがおさまるのを待ちます。そのようなタイミングで体を触られたり抱き上げられたりすると、苦痛が強くなることがあり、犬は驚きと痛みで思わず噛みついてしまうのです。
また、犬が休んでいるところに近づくと唸ったり噛みつこうとしたりする様子が見られるときも、怪我や病気が原因で飼い主さんを遠ざけようとしている可能性があります。
普段は見せない攻撃性が見られるときは、食欲や排泄物に変化はないか、寝ている時間がいつもより長くないかなど犬の様子をしっかりと確認するようにしてください。
まとめ
犬にとって噛みつくことは、意思表示や感情表現の手段のひとつです。
そのため、普段は攻撃性を見せない犬が噛みついてきたときは、強い意志を持っていたり、心身のトラブルを抱えていたりすることが考えられます。
しかし、噛む行動は危険なことでもあるため、叱ったりやめさせたりする必要があります。そのために、まずはなぜ犬が噛みついてきたのかという心理や理由を知り、それに寄り添った形で改善させていかなければなりません。
(獣医師監修:寺脇寛子)