Rei、大好きなロックンロールを相棒に音で会話を交わすーーTHE BAWDIESと一緒に作りあげた熱狂のアンサンブル THEATER MILANO-Za公演2日目の公式レポートが到着
Reiが3月7日(土)・8日(日)にTHEATER MILANO-Zaにて『10th Anniversary Final "Rei at THEATER MILANO-Za"』を開催した。本記事では、THE BAWDIESを迎えた3月8日(日)「Day Two -ensemble-」公演のオフィシャルレポートをお届けする。
2025年2月に迎えたデビュー10周年を記念し、Reiが仕掛けたのが、1年以上に及ぶ壮大なプロジェクトだった。彼女は、デビュー10周年を記念したベスト・アルバム『FRUIT』を手に、昨年には、『Reiny Friday-Rei & Friends-』と題した、アーティスト仲間を招いたRei企画ワンマンライブツアー。『Rei 10th Anniversary Acoustic Tour 2025 "Mahogany Girl"』と命名した、ギター1本を手にした単独ツアー。そして、バンド編成による全国ツアー『Rei 10th Anniversary Tour 2025 "TUTTI FRUTTI"』と、3つの面から10年間の歩みを形作ってきた。その集大成になったのが、3月7日と8日にTHEATER MILANO-Zaで行った『10th Anniversary Final "Rei at THEATER MILANO-Za"』公演だった。
「Day One-solo-」と名付けた3月7日(土)の公演では、シンガー/ギタリストReiの持つ魅力を、「アコースティック/クラシック/エレクトリック」と3つの面で表現してきた。「Day Two-ensemble-」と銘打った3月8日(日)の公演では、ゲストにTHE BAWDIESを迎え、一緒にコラボレートを行うなど、セッション演奏が生み出すスリリングさや熱量、楽しさを伝えてきた。ここからは、「Day Two-ensemble-」公演の模様をお伝えしたい。
◼︎THE BAWDIES
先陣を切って飛び出したのがTHE BAWDIES。Reiとは、ブルーズ/ロックンロール/ソウルミュージックなど、お互いに影響を受けた音楽に共通項を持つ関係。今回の企画を行ううえでReiがTHE BAWDIESに声をかけたのも、音楽面の土台を成すところに同じ臭いを感じたからだ。
THE BAWDIESのライブは、血湧き肉躍るロックンロール・ミュージックが放つ衝動をダイレクトにぶつけるように、ヒルビリー色も漂う「COME ON LET'S PARTY」を豪快にぶち噛まして幕を開けた。弾けたビートに乗せて、フロア中の人たちの心もポップコーンのように弾ませた「POPCORN」。破壊力満載でスピーディーな「HERE ARE THE BAWDIES」と、彼らは止まることなく、身体を揺らし、心を躍らせるパーティーなロックンロールチューンを叩きつけ、この場にムンッとした熱を生み出していった。
◼︎THE BAWDIES × Rei
ここからは、「THE BAWDIES × Rei」のコラボステージへ。THE BAWDIESのライブではお馴染み、ショートサイズのミュージカルを、この日はReiも交えて上演。『ミュージカル-HOT DOG 劇場-』と題した今回の公演では、パンとソーセージが一つになると、なぜホットドッグと名称が変わるのかを題材に上演。舞台は、ハイスクール。THE BAWDIESのROYがソーダセージ役で、Reiがレイ・コッペパン姫と、2人とも17歳の高校役を演じ、印象の悪い出会いをした2人が、ホットドッグのように一つになる様を、短い時間の中で演じていった。この劇で見せたReiの演技もそうだが、制服調の衣装姿が、とても新鮮に見えていた。
先のミュージカルを受けて、まずはTHE BAWDIESの「HOT DOG」を演奏。ゴキゲンなロックンールのビートが駆けめぐるステージの上で、JIMが豪快にギターを鳴らせば、ReiとROYが寄り添いながら歌い演奏をする姿を見せていた。この曲でReiはギタリストに専念し、手にしたストラトキャスターからソリッドな音を次々と解き放っていた。続く、Reiのナンバー「My Name is Rei」では、THE BAWDIESのメンバーたちとリズム&ブルーズナンバーをセッション。身体にへばりつくような、泥臭くねっとりとしたフレーズが、むしろ心地よく身体を揺らしていく。
最後に叩きつけた「IT'S TOO LATE」でTHE BAWDIES × Reiは、ギラギラしたグリッターな輝きを放つアッパーなロックンロールナンバーで観客たちの理性の螺子を壊し、場内中の人たちを総立ちにさせていった。この曲の間奏では、ReiとJIMがステージ中央で互いにしゃがみながら、ギターをバトルする姿も見せていた。短い時間ながら、力強くギターを掻き鳴らすのを合図に一瞬で熱情に満ちた世界に塗り替える、そんなロックンロールの持つ高揚感という魔法を、互いに、存分に味わい尽くす様を見せていった。
◼︎Rei BAND
セットチェンジ後、ここからはRei BANDのステージへ。この日もBOBO(Dr)と三浦淳悟ことJUMBO(B)のリズム隊が繰り出す音に心が疼いたReiが、ギターを手にセッションをするように、『QUILT』の演奏に参加する姿から始まった。トラメガを使ってメンバー紹介をするReiも印象的だったが、スリリングかつクールな楽曲に乗せて、3人が互いの音を駆け引きするようにセッションしあう様子に心が動かされた。この曲では、ブレイクするごとに、楽曲が激しさやうねりを作るなど、1曲の中で次々と表情が変化していた。その展開も、3人の演奏を色濃く味わう魅力になっていた。
ここから一気に感情のボリュームを赤く振り切るように、Reiは「GUITARHOLIC」を歌いながら、ギターの音を豪快に炸裂させた。ねっとり絡みつくブルーズな演奏も組み込んだ、感情を殴るような音の衝撃を浴びて興奮した観客たちが、拳を振り上げて騒ぎだす。その姿をさらに煽るように、Reiは「Black Cat」を通してザクザクとした歪みを帯びた鈍い音を叩きつけ、荒れ狂う大地に砂ぼこりを舞い上がらせるように、観客たちの興奮する気持ちを、さらに掻き立てていった。
無数のフレット上を高速で指を滑らせ、乾いたシャープな音を次々と空へ飛ばした「Heaven」でもRei BANDは、印象深い音を繰り出すたびに観客たちの感情を心地よく天国へと舞い上がらせていった。そのうえでRei BANDは、スリリングな景色を作りだす「COCOA」を通して、ソリッドな音をマシンガンのように次々と叩きつけ、観客たちから理性を消し去っていく。いつしか観客たちが、Reiに向かって大きく手を振りながら夢中になってはしゃいでいた。
◼︎Rei BAND × ROY
ここで、Reiに大きな影響を与えたペトロールズの「表現」を、ペトロールズのトリビュートアルバムでも共演したTHE BAWDIESのROYと一緒にセッション。Reiの歌に、ROYがシャウトで絡み合う。互いに寄り添いながらも、歌と叫びで刺激しあう、その絶妙なやりとりに、心がずっと騒いでいた。
◼︎Rei BAND
後半は、Reiがとろけるようなメロい歌声で、観客たちへ甘く寄り添うように歌ったミドルメロウの「Categorizing Me」から始まった。身体中どころか、心の奥にまで染み込むように響き渡るReiの甘い歌声に溶けてしまいそうだ。そこへ妖しく煌めいた夜の香りと色を塗り重ねるように、Rei BANDは「Lonely Dance Club」を演奏。曲が進むごとに歌声や演奏が大胆になれば、観客たちも心の中に渦巻く熱を膨らませていった。ギターをカッティングするReiが作りあげたシャープな音色で、観客たちをスリリングな音の飛び交う空間に導いた「The Reflection」。乾いた音を繰り出すReiのギターの演奏を合図に、スタート。高速でラップを繰り出し、場内中の人たちを、ノリノリなグルーヴが生み出すうねりの中へ巻き込んでいった「My Runway」では、観客たちの身体を上へ上へと揺らしていく。サビで場内中の人たちが大きく手を振りながら熱狂していた景色も印象的だった。
会場中にノリノリで上げ上げの一体化した熱い景色を作りあげたのが、ハード&ロックンロールナンバーの「MOSHI MOSHI」。みずからの声で電話のベル音を鳴らし、受話器越しに繋がった観客たちと熱い声と拳のやりとりを交わす姿に触れるたび、沸き立つあの高ぶりをずっと感じていたくなる。ホンキートンクでブルーズな「New Days」でも、刺激的な音が身体を叩くたびに興奮という扉が開かれ、身体中からアドレナリンが沸き続ける。その姿をさらに刺激するように、間奏ではフライングVに持ち替えて,豪快に音を弾き倒すReiの姿があった。ラストもブギーなビートを刻むロックンロールチューンの「What Do You Want?」を通してReiが会場中に豪快な音を振りまけば、Reiも、観客たちも魂を解放。力強くクラップをしながら、ともに熱狂という大きな音の渦を作り出し、本編の幕を閉じていった。
◼︎Rei BAND × THE BAWDIES
最初のアンコールでは、ゴキゲンなパーティー系のロックンロールチューン「my mama」を通してRei BANDとTHE BAWDIESがセッション。ギターの弦を高くチョーキングするたびに、飛び跳ねて演奏をするReiの姿も愛らしい。この曲では、Rei BANDのメンバーはもちろん、THE BAWDIESのメンバーも全員ソロ回しに参加。しかも最後は、ReiとROYによるシャウトの掛け合いに。気心知れた仲間たちと、大好きなロックンロールを相棒に、音と肌で会話を交わして楽しむ。そこへ観客たちも一緒に参加して、ともにノリを膨らませていく。場末のライブバーで生まれた音を交わしあうあの楽しさが、目の前でも繰り広げられていた。まさに、この日の「ensemble」というタイトルに相応しい様子をReiは描きあげていった。
◼︎Rei
ダブル・アンコールは、Reiがクラシックギターを手に、一つ一つの音色に思いを宿らせ、それを、川のせせらぎのような優しい音色の演奏に乗せて届けた、坂本龍一のカバー曲「energy flow」から始まった。その流れを受けて、この会場を、愛と真心と信頼に満ちた空間にして優しく包み込むように、温かな声で「eutopia」を歌ってくれた。彼女の声が寄り添うたびに、声の両手で優しく抱きしめられているような心地よさを感じられたのも嬉しかった。
でも、穏やかな心で終わらせないところがRei。最後の最後に、よくライブの締めくくりに、観客たちと熱い声と拳を交わす景色を作りあげる「BLACK BANANA」をぶち込み、ともに声を張り上げ、身体をシェイクさせていった。互いに身体中を興奮や高揚を覚える景色を作りあげたうえで、この日を。ここへ至るまでの1年以上の歩みを、Reiのライブらしい姿で締め括っていった。
Reiは、6月より全国ツアー『Traveling with Guitars』をスタートさせる。この熱狂を、ふたたび爪の先までどっぷりと感じたい。
Photo by 垂水佳奈
Text by 長澤智典