限局性学習症(SLD)への正しい支援|読み・計算の苦手を補う工夫と自信を育む指導法
学習障害のある子どもケアする上で知ってくべきこと
家庭と教育現場の両面から支援
限局性学習症の子どもと接するうえで大事なのは、周囲の大人たちの「やればできる」という安易な認識を改めることです。苦手な勉強法を繰り返しても学習効果は得られません。かえって自信を失い、不登校や抑うつなどの二次障害を招く恐れもあります。
だからこそ、子どもがどのような困難を抱えているかを明確にしたうえで、その特性に合った支援・工夫を考え、前向きに学習できる環境を整えていくことが大切です。たとえば読字障害ならば、文字の形を認識しやすいUD(ユニバーサルデザイン)フォントの教材を用いる、「はなが/きれいに/さいた」といった具合にまとまりごとにスラッシュやスペースを設ける、などの支援で読みやすくなることがあります。また算数障害ならば、2桁以上の計算で混乱しないように桁ごとに数字の色を分ける、複雑な計算が増える高学年からは電卓を使用するなどの方法もあります。
こうした支援を行う際、家庭だけでなく教育場の理解も必要です。このため、限局性学習症の子どもは、通常学級で学ぶこともできますが、特別支援学級で学ぶこともできます。ほかにも、通常学級に在籍しながら、週に数時間だけ個別や小集団で授業を行う通級指導教室のサポートを受けるという方法もあります。いずれの場合においても、教師や教育支援員に対する研修、親への心理教育を行い、学習しやすい環境を整えていきます。
一方、子どもに対しては、できることや得意なことを活かして苦手を補っていく長所活用型の指導を行います。限局性学習症の子どもは学習における成功体験が少ないので、手の届くことから少しずつ進めるスモールステップで学習を積み重ねるなど、褒めながら伸ばすことによって学習の意欲を高めます。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史