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七海ひろきさん、待望のTVアニメ化作品『天は赤い河のほとり』への想いを大いに語る! 自ら作詞したオープニングテーマを収録した含むニューシングル「AKATSUKI」インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

連載開始から約30年、少女漫画界の巨匠・篠原千絵が描く、古代オリエント世界に召喚された少女・ユーリが自らの手で運命を切り開く大河ロマン『天は赤い河のほとり』が、ついにTVアニメ化。2026年7月より放送がスタートする。そのオープニングテーマ「暁の空」を歌うのが、同作の大ファンとして知られる俳優・声優・アーティストの七海ひろき。かつて夢中になったユーリとカイルらが織り成す壮大な物語に改めて向き合い、自ら作詞した楽曲に込められた歌のパワーは、次元も時空も越えて暁の空に響き渡る。声優としても参加する『天は赤い河のほとり』への想い、楽曲の制作エピソード、6月から始まる初のライブハウスツアーに向けての意気込みに至るまで、たっぷりと語ってもらった。

 

 

【写真】七海ひろき、待望のTVアニメ化作品『天は赤い河のほとり』への想いを大いに語る!

30年経っても色褪せない――篠原千絵作品の普遍的な面白さ

──七海さんは元々『天は赤い河のほとり』のファンで原作を読んでいたらしいですね。まずは作品との出会いについてお伺いしたいです。

七海ひろきさん(以下、七海):正確な時期と経緯までは覚えていないんですけど……本屋さんで見かけたのか、友達が読んでいるのを貸してもらったのが出会いでした。その時はお話の途中から読み始めたのですが、「最初から読みたいな」と思ってコミックスを買った覚えがあります。当時、主人公が別世界に行ってしまうような作品に触れたことがあまりなくて、『ふしぎ遊戯』くらいしか知らなかったので、夕梨(ユーリ)が古代のヒッタイト帝国の時代に呼び寄せられてしまう設定自体が新鮮でしたし、見知らぬ世界に一人で迷い込んでしまったにも関わらず、どんな逆境の中でもたくましく生きていくユーリのかっこ良さに憧れを抱いて、この作品は最後まで読もうと決めました。実家に全巻揃って置いてあるのですが、探すのが大変なので、今回、作詞するにあたって改めて電子コミックで全巻買い直しました(笑)。

──七海さんの青春時代を彩った作品だったと。ユーリの魅力や作品に惹かれたポイントについて、もう少し詳しくお話いただけますか?

七海:まず、突然呼び寄せられた見知らぬ世界で困難を切り抜けていくところに感銘を受けました。ユーリは現代で予防注射を打っていたので、古代に流行っていた難病にかからないというくだりを読んで「なるほど!」と思って。他にもユーリの機転がすごいんです。誰かに矢を射られて殺されそうになった時に、その場で矢を抜かずに、矢じりの形を証拠に犯人を突き止めるシーンがあって。彼女のそういう強い生き方が本当に素敵だと思いました。

──今回、改めて全巻読み直したというお話ですが、読んでいた当時とはまた違った感覚で読むことができたのではないでしょうか。

七海:だいぶ違いました。当時はユーリのかっこよさや、周りの人たちがだんだんユーリを好きになっていくところに惹かれて読んでいたのですが、今読むと敵側のナキア皇妃とウルヒ側の心情に重きを置いて読み進めてしまう自分がいて。もちろんユーリが素敵でかわいいなと思う気持ちもありつつ、でも、今の私はナキアやウルヒが辿る劇的な結末も知ったうえで読み直しているので、「この時のナキアはこう思っていたんだろうな」ということを考えながら、より深い視点で読むことができました。

──それは本作が、ユーリだけでなく登場人物それぞれが魅力的な群像劇の要素もあるからこその楽しみ方ですね。

七海:それこそ原作者の篠原千絵先生の作品は、代表作の『闇のパープルアイ』をはじめ、年齢を問わず楽しめるものばかりだと思うんです。10代の子が読んでも楽しいし、大人になって読むと新たな面白さを発見できる。それに『天は赤い河のほとり』は約30年前の作品になりますけど、篠原先生は今もその頃と絵柄が変わっていないんですよね。それが逆にいつ読んでも面白さを見出すことができるポイントであり、長く読み続けられる作品になっている理由なのかなって改めて思いました。

──篠原先生の作品と言えば、七海さんは2020年に『夢の雫、黄金の鳥籠』コミックス14巻のテレビCMに出演されたことがありますよね。

七海:よくご存じで! そうなんです。物語に登場するキャラクターのうち3役(スレイマン1世、ヒュッレム、宰相イブラヒム)に扮して演じるCMをやらせていただいて。その時に撮影現場に篠原先生が見学に来てくださって、初めてご挨拶したんです。私の中で物語を作る作者さんは特別で、お会いしてみたいと思っていたので本当に嬉しかったです。『天は赤い河のほとり』は私が所属していた宝塚歌劇団でも舞台化したことがあるのですが、その当時観劇されたことや、その後も何度か足を運んでくださっていたというお話を伺いました。

──それだけ好きな作品であれば、今回のお話をいただいた時は運命的なものを感じたのでは?

七海:本当にその通りで、とても嬉しかったです。好きな作品がアニメ化するだけでも嬉しくて、「あのキャラクターはどの声優さんが演じるんだろう?」と考えてしまうくらいなのに、自分自身がその作品に関われるなんて。作品との出会いは、オーディションやスケジュールの関係も含めて巡り合わせだと思うので、そんななかでオープニングテーマを任せてもらえて、しかも声優としても出演できることは、本当に奇跡のようなことだと思いました。

──七海さんは本作にナレーションおよび氷室役の声優としても関わっていますが、オープニングテーマのお話とどちらが先にあったのでしょうか?

七海:オーディションのお話を先にいただいたかと思います。それこそこの作品にはどうしても出たかったので、先方から指定いただいていた役だけでなく、ジュダとウルヒのセリフを勝手に抜粋してオーディションテープを作って提出したんです(笑)。ご縁をいただき、ナレーションと氷室役で声としても出演させていただけることが本当に嬉しいです。

──ちなみになぜジュダとウルヒを選んだのですか?

七海:私がこの作品で一番好きなキャラクターはルサファなのですが、私が演じるには難しい役柄だと思いました。一ファンでもあるので、自分が声をやっている姿が想像できないキャラクターは見送り、ミステリアスなウルヒと年齢的に若いジュダにトライしてみました。この作品はどのキャラクターも魅力的なので、自分でセリフを勝手に選んでテープを録るのはすごく楽しかったです(笑)。原作の中から「ジュダだったらここだよね」という場面を考えるのも楽しくて。「もし自分がキャスティングするなら、この場面をどう演じるのかを聞きたいな」という気持ちで選んだので、オーディションする側の気持ちも学ぶことができたと思います。

──せっかくなので、アフレコでの印象的なエピソードがあれば聞いてみたいです。

七海:キャストに関しては、まだ発表されていない方もいるので詳しくはお話できないのですが、私にとってすごくエモーショナルな方たちがキャスティングされていて。『天は赤い河のほとり』の歴史の中で、この方たちが関わってくれたらファンは絶対に嬉しいだろうな、という方たちが参加しているので、ぜひ楽しみにしていてください。私も直接ご一緒はできなかったのですが、そのキャストの方々とスタジオですれ違いになる機会があって、すごく嬉しかったです。

 

 

「暁の空」に込めた、“まだ決断していないユーリ”の想い

──オープニングテーマ「暁の空」は七海さん自身が作詞を担当しています。制作はどのように進めたのでしょうか。

七海:まず何曲か候補の楽曲があるなかで、作品のオープニングに合うものを私や制作スタッフの皆さんと話し合いながら決めました。作品の舞台でもある中東っぽい雰囲気を感じ取れるところ、リズムや音色にも異国感が溢れていて素敵だなと。作詞に関しては、私から「自分で書きたい」と立候補させていただいて、原作を何度も読み返していろんな場面を思い描きながら、楽曲に合わせて歌詞を書いていきました。

──七海さんは作詞の経験も豊富ですが、アニメ主題歌の作詞を担当するのは今回が初めてです。普段とは違うやり甲斐や苦労もあったのでは?

七海:歌詞の内容に関しては、アニメと原作サイドにも確認していただくので、書き終わって自分としては「よし、これでいこう!」と思ったものの、提出する時や皆さんの反応を待っている間は緊張しました。オープニングテーマなので作品と全然違う内容になっても意味がないですし、世界観を守ったうえで歌詞を書くのは大変な部分もありましたが、やっぱり好きな作品なので楽しかったです。ただ、漫画を読むのに夢中になってしまって、作詞が全然進まなくて。私は漫画や小説、映画を楽しむ時に、その作品に集中し過ぎて周りが見えなくなるタイプなので、終わりどころがわからなくなるんです。それで「あっ、歌詞を書かなくちゃ!」ってなることが何度もありました(笑)。

──歌詞を書くにあたって意識したこと、足がかりにしたテーマなどはありましたか?

七海:オープニングテーマということで、作品を象徴するような内容にしたくて、この1曲の中に『天は赤い河のほとり』の作品全部を入れ込むような気持ちで書きました。基本的には作品の前半部分、古代にやってきてカイルと出会ったユーリがヒッタイト帝国の空のもとで生きていくことを決意する辺りまでを主軸にしようと思って。ただ、物語の結末に紐づくような内容も入れたくて、最後のサビの歌詞にすべてを総括するようなフレーズを入れました。正直、エピソードがいっぱいあり過ぎるので1曲の中で全部を書き切ることはできなくて。この歌詞では語られていない部分に関しては、間奏で物語のダイジェストが流れていくような気持ちで各々聴いていただければと思います(笑)。

──1番の歌詞には“黒い影が淀む”や“もう還れない”といったフレーズもあって、まだ不安を抱いているユーリの気持ちも垣間見えますが、そこからどんどんたくましくなっていくストーリーを感じさせる内容です。

七海:1番はユーリの心情を中心に第三者目線も少し入れて、2番はユーリとカイルの心情に第三者目線を織り交ぜて書いていきました。本当ならもっといろんなキャラクターのことも入れたかったんですけど。それこそ私は女性だとウルスラ、男性だとルサファが好きなのですが、どちらもユーリを命懸けで守る存在になっていくんです。その信頼関係がすごく素敵なので、そういう部分も入れたかったのですが、それら全部を入れる余地がなくて。作品が素晴らしいからこそ作詞は難しかったです。

──タイトルに「暁の空」という言葉を選んだ理由は?

七海:「暁の空」は作品の中にも登場する言葉で、ユーリの象徴でもある「暁の空」に輝く星の名前がイシュタル、暁の明星(=金星)であり、美と豊穣の女神を意味する言葉でもあるので、この作品をご覧の方にも豊かになって欲しい、という願いも込めてこのタイトルにしました。原作には「暁の天(そら)」と「暁の空」の両方の表記が登場するので、曲のタイトルも「天」と「空」のどっちの表記にするか、ずっと悩んでいたんです。でも、私は原作を読んでいて、ユーリがヒッタイト帝国で生きていくことを決めたタイミングに合わせて「暁の天(そら)」になると感じたので、この曲はまだ決断をしていないユーリの歌にしたいと思って「暁の空」にしました。この先、「暁の空」が「暁の天」に変わっていくかは、アニメをご覧になる方がそれぞれ物語を通して楽しんでもらえればと思います。

──レコーディングではどんなイメージで歌ったのでしょうか。歌詞はユーリやカイルの心情を意識して書いたというお話でしたが。

七海:原作を大切にしたいからこそ自分が歌詞を書いた時に思い描いていた場面、ユーリの表情やカイルとの関係性を思い浮かべながらレコーディングしました。特にサビのフレーズは同じ歌詞でも変化をつけられればと思って、最初のサビはナキアに呼び寄せられてヒッタイト帝国にやってきた頃のユーリの心情を思い浮かべながら、最後のサビは、物語が進むにつれて他のいろんなキャラクターもユーリと同じ方向を向いていく印象があるので、より想いが強くなるイメージ、表現が強く、濃く、深くなっていくように歌いました。

──まさにいろんな人の想いが重なって、川が大河になっていくような力強さがボーカルからも感じられます。個人的には楽曲冒頭の歌い出しの部分も、どこか幻想的なニュアンスが感じられて印象に残りました。

七海:そこは中東やアラビアっぽい雰囲気を出せたらと思って歌った部分ですね。

──他に新しくチャレンジしたことや、この曲を歌って気づいたことはありますか?

七海:今回、シングルに去年開催したライブ(「One-man LIVE773 “Crystal”」)の音源が収録されることもあって、ここ数年間に自分が歌ってきた曲を久しぶりに聴き直してみたんです。そうしたら自分の歌い方が結構変わったなあと思って。アーティストデビューして今年で7年になるのですが、この期間、声優としてもいろんなキャラクターを演じる経験をさせてもらっているからこそ、自分の声の響くポイントが昔とは変わったように感じますし、以前よりも今の方が、自分の声の響かせ方がわかるようになったと思います。「暁の空」も、きっと5~6年前に歌っていたら全然違う歌い方になっていたはずです。

──改めて自分の歌声を見直す機会にもなったと。

七海:はい。最近よく思うのは、芝居においても歌においても、いかに自分を知るかがすごく大事なんですよね。「自分はこれが得意だから」とか「これは苦手だな」というのがわかったうえで取り組むのと、何もわからず闇雲にやるのとでは、やっぱり出てくるものが違うので。私はそれこそ舞台に立つようになった一番最初の頃、お芝居することや歌うことがただただ楽しい、という気持ちでひたすらやっていたんです。でも、だんだん楽しい気持ちだけではうまくいかないことに気付いていって。その時期を経て、結局は好きだからやり続けたいし、そのためにはどうすればいいのか、ということを考えるようになりました。もちろんわからないままやることの良さもありますけど、自分を知ることは大切なんだなと思います。

──素敵なお話をありがとうございます。「暁の空」はMVも制作されていて、一面砂の大地やレンガ造りの趣き深い建物など、ロケーションを含めて見応えのある映像に仕上がっていますね。

七海:『天は赤い河のほとり』とのタイアップ曲ということで、歴史ロマンを感じてもらいたいなと思って、そこに立っているだけで物語が生まれそうなロケーションにこだわって撮影しました。ドローンを2つ使って、ひとつは撮影用、もうひとつは光を照らす用で同時に動かして撮影したので、全体的に古風な雰囲気がありつつ最新の技術を使った、いろんな角度から楽しめる映像になりました。

──全身真っ白なコーデの衣裳も素敵です。

七海:黒や赤もいいのかなと思ったのですが、スタッフの皆さんもいろいろ考えてくださって。白はこれからいろんな色に染まっていける色でもありますし、太陽が昇ってきて暁の光が当たった時の反射具合も素敵かなと思ってオール白にしました。撮影する時はいつも思うのですが、自分は不器用な部分がたくさんあるなかで、周りの皆さんが「七海ひろき」を作り上げてくれるんです。衣装や髪形、撮り方まで、私のことをわかってくださっている方が手掛けてくれるからこそ、より良いものができることを毎回実感しますし、いつも撮影の最後は「本当にありがとうございます」って感謝の気持ちに溢れます(笑)。

──七海さん的にぜひ注目して欲しいカットはありますか?

七海:私が手に乗せた砂をパラパラとこぼす場面です。今回は「暁の空」なので暁の風景を撮るために、朝早くからロケ地に行ったんです。当日は小雨が降っていたのですが、でも太陽は見えていたので、照り過ぎず、ちょうどいい感じの暁の風景を収めることができて。ただ、雨で砂が濡れていたのでパラパラとならず、ポトッと落ちてしまうので、スタッフさんが穴を掘って、サラサラの砂を掘り起こしてくれたんです。あのシーンは“砂の国に降りたつ明け星”という歌詞を汲んでくださったところで、『天は赤い河のほとり』にも出てくる描写なので私もやりたいなと思っていましたし、一瞬のカットなのですが結構苦労して撮影したので、見逃がさずに観てもらえると嬉しいです。

 

 

「『暁の空』とは真逆にしたかった」――「Dahlia」制作コンセプト

──シングルにはもう1曲、ラテン調のエキゾチックなナンバー「Dahlia」が収録されています。今までの七海さんにはなかったタイプの楽曲ですよね。

七海:カップリングは「暁の空」とは全然違うタイプの曲にしたいなと思って、「暁の空」は私の楽曲の中でも音色が明るめで音域は高めの曲なので、逆に音域は低めでかっこいいテイストの曲で差を出そうと思って制作しました。なので、この曲はデモの音域からキーを何個か下げて歌っています。今までジャズ系の曲はたくさんやってきたのですが、ラテンのリズムはあまり歌ったことがなかったので、自分としても挑戦になりました。あと単純に、こういうちょっと大人っぽくて、ミステリアスでエキゾチックな感じは、聴いてくれるファンのみんなも好きそうだなと思って(笑)。

──いやあ、この独特の色香や妖しさも感じさせるかっこ良さは、みんな好きだと思います(笑)。

七海:タイトルになっている「ダリア」の花言葉が、色によって「感謝」や「豊かな愛情」といういい意味もあれば、「愛の裏切り」や「不安定」「気まぐれ」といった意味もあって。そういう花言葉にも表と裏の顔があるところがかっこいいなと思って、秘密にされると覗きたくなるような、ダリアの二面性を表現できるように歌いました。

──歌う際は、歌詞に描かれている主人公像をイメージして歌ったのですか?

七海:今回はあまりイメージを固めすぎるのも良くないかなと思って、どちらかと言うと楽曲の世界観をより表現できるように意識しました。作詞・作曲・編曲をしてくださった中村泰輔さんの歌詞が素敵で、特にラップの部分は自分では思いつかないようなフレーズがたくさん入っているんです。ラップは「Skyward」(2025年のアルバム『Crystal』収録曲)で初めて挑戦したのですが、今回はそれとはまた違ったスタイルのラップで、より曲の世界観に入り込んで語るようなパートになっていたので、そこだけは演じるようなイメージで歌いました。

──“愛だけを食べて 生きられたら”などかなりインパクトの強いワードが盛り込まれていて、どこか禁断の感情を感じさせますよね。こういう世界観はお好きですか?

七海:それが普段の自分にはまったくないもので。自分自身は黒い感情と無縁というか、嘘をつけないところがあります。嘘をついてもすぐバレるくらいわかりやすい人間なんです(笑)。だからこそ、お芝居やアーティスト活動の中で真逆の感情を表現できるのがすごく面白いですし、「Dahlia」は歌っていて楽しかったですね。ラテンも個人的にはあまり触れてこなかったジャンルだったのですが、新境地を切り拓いた曲になったと思います。

 

「SASSOU」の大合唱が生んだ一体感

──また、シングルの初回限定盤には昨年開催した「One-man LIVE773 “Crystal”」のライブ音源が収録されます。改めて聴きどころについてお聞かせください。

七海:私はCDからライブにかけて変化をするタイプで、ライブ音源はより生っぽさが入ると思うんです。その中で“Crystal”はこれまでで一番自分を解き放ったライブと言いますか、またひとつ新たな自分に出会えた感覚がありました。以前は「自分が頑張らなくては!」という気持ちが強かったのですが、“Crystal”はお客さんと一緒に作るライブができた気がしているので、そういう部分を含め楽しんでいただければと思います。それと初回限定盤のBlu-rayには、このライブの東京夜公演のMC集も収録されるのですが、私のMCはだいぶ変で……。

──いやいや(笑)。

七海:お客さんと対話したり、明後日の方向に話が飛んで行ってしまうことがよくあるんです(笑)。でも、ファンの皆さんはそれも私らしさとして見てくださっているので、ぜひ楽しんでもらえると嬉しいです。

 

──自分も東京公演は現地で拝見しましたが、本当にお客さんとの距離が近くて、お互いがいるからこそ成立する空間になっていることを感じたんですよね。「SASSOU」のコールの盛り上がりもすごかったですから。

七海:そうなんです。舞台は「観るもの」という意識だと思うのですが、ライブでは「いかに盛り上がれるか」というのを、この何年間で私とファンの皆さんで育ててきました。ライブで声を出すことに慣れていない方も多いかと思うのですが、ライブの楽しみ方は人それぞれ。あの空間でしか味わえない一体感があって、コールは特にその一体感が味わえる瞬間ですね。この年月、みんなと一緒に歩んできていることをすごく実感しますし、そこに新しく知ってくれた方たちも加わって、みんなでもっと大きくしていければなと思います。

──そんななかで6月からは初のライブハウスツアー「HIROKI NANAMI LIVE HOUSE TOUR “AKATSUKI”」がスタートします。

七海:去年ファンミーティングで全国を回ったのですが、そこで皆さんとお話したことで“Crystal”のライブはより皆さんとの距離を詰めることができたので、じゃあその楽しかったファンミーティングにライブが加わったらより良いものになるんじゃないか、というアイデアから、今回のツアーは広さ的にライブハウスの会場を回ることにしました。皆さんとより心の通ったライブにしたくて。なので今回はみんなにオールスタンディングにも挑戦してもらおうと思っています。

──宝塚時代からのファンの方は、普段観劇中に席を立つことはないでしょうから、オールスタンディングは未知の経験でしょうね。

七海:そういった方も多いと思います。でも、私のライブでライブハウスデビューをしようと思ってくれている人もいっぱいいるので嬉しいです。誕生日会でライブハウスツアーの発表をしたのですが、「みんな “Crystal”のライブでもほぼずっと立っていたから大丈夫だよ」って言ったら「ああ、確かに」っていう感じになって(笑)。とはいえ立見になるので、いつものライブよりコンパクトに、安心して楽しめるセトリにしようと考えています。グッズもできるだけ軽装で来られるようにサコッシュを作ったりしていて。あとは最近歌っていなかった曲も久しぶりに歌おうかなと思っています。私も体を壊さないように頑張りたいです。

──ツアーの時期は夏になりますからね。七海さんはいつもライブ中に送風機で風を当ててもらっているくらいなので、暑さは苦手なのでは?

七海:そうなんですよね。今回はライブハウスなので、ステージの関係上、いつものように風を送ってくれる機材を持ち込めないかもしれないので……どうしよう? みんなにあおいでもらうしかないかも(笑)。

 
[文・北野創]

 

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