植物由来のミルクと無農薬・自然甘味料のスイーツやごはん【プラントミルク専門店 為体‐teitaraku‐】滑川レトロ街の自然派カフェ
「プラントミルク」という言葉、知ってますか? 牛乳ではなく、大豆で作る豆乳などの植物性ミルクのことです。 豆乳とコーヒーで作る「ソイラテ」がかなり一般的になりましたが、ほかにもアーモンドミルクやえんどう豆のピーミルク、米から作るライスミルクなど、さまざまなプラントミルクがあり、動物由来の食品を避けるヴィーガン思想の方のほかに、脂質やアレルギーなど健康上の理由からも重宝されています。 今回紹介する富山県滑川市の「為体-teitaraku-」は、全国でも珍しいプラントミルクの専門店。プラントミルクを使ったドリンクや焼き菓子などを揃え、多くの選択肢から食べる幸せを提供してくれる素敵なお店です。
歴史と現代が溶け合う滑川・瀬羽町通りにオープン
富山県東部の滑川市、富山湾に面した瀬羽町。
江戸時代の宿場町の風情と、明治から昭和にかけてのレトロ建築が今なお残る通りで、趣きある蔵や古民家が今風のカフェや雑貨店へと姿を変えるノスタルジックなスポットとして人気を集めています。
「為体-teitaraku-」が店を構えるのは、そんな瀬羽町通りにある国登録有形文化財「旧・宮崎酒造」の向かい。
黄色いポップな外観が印象的ですが、もともとは歯科医院だった建物で、築100年ほどの歴史があるんだそう。
ポップな黄色い壁が目印 築100年の大正モダンな建物
やわらかな光を通すガラスの木製ドア。ぬくもりを感じる裸電球の照明。
その奥にはどんな世界が広がっているのか、好奇心がくすぐられます。
靴を脱いで中にお邪魔すると、歯科医院だったころの受付がそのままで、昭和世代には懐かしさが漂う空間が広がります。
ダイヤル式の電話を横目に、診察室だったという部屋に入るとーー
和モダンなテイストのカフェ空間にはカウンターとテーブル席が設けられています。
かつての面影を色濃く残す縦長の上げ下げ窓にも調和しています。
日中はすりガラス越しに差し込むやわらかな光に心が和み、夕暮れ時には電球の灯りがノスタルジックな空間を演出してくれます。
牛乳が体質的に合わない人にも多くの選択肢を
店内では、九州産のソイミルクやオーガニックオーツミルクをストレートで味わえるほか、ラテをミルクコーヒーなどで楽しめます。
プラントミルクにこだわる理由をたずねると
「私は乳糖不耐症で、体質的に牛乳が合わないんです。ひと口にミルクといってもいろいろあるので、選択肢はたくさんあったほうがいいですもんね」
こう話すのは店主の水野亜由美さん。
愛知県出身で、介護福祉士でもある水野さんは、縁があって富山の自然派カフェに務めていました。その経験を活かし、2023年にオープンしたのが「為体」です。
化学肥料を使わない抹茶とプラントミルクの「宇治抹茶ラテ」
今回は、プラントミルクを使ったドリンクでもっとも人気の「濃い宇治抹茶ラテ」を味わうことに。
「農薬や化学肥料を使っていない抹茶を使っています。茶葉をそのままいただくわけですから、できるだけ身体に負担がかからないものがいいかなと思いまして」(水野さん)
沖縄県産100%の黒蜜に、オーツ麦を原料とするオーガニックオーツミルク、そして、注文を受けてから丁寧に点てた抹茶を注ぎます。
層になってグラスで出てくるので、あえて抹茶・オーツミルク・黒蜜、それぞれをストローで楽しんでみました。
抹茶は濃厚で雑味のない風味と味わい。オーツミルクはほんのりとした甘さにさらっとした舌触りで飲みやすく、最下部にあった黒蜜はコクのある甘みが楽しめます。
それからかき混ぜて味わうと、それぞれが個性の強さを発揮しつつも、不思議とバランスがとれたおいしさに。「濃い宇治抹茶ラテ」とうたっているだけあって、重厚な渋みと香りの中に軽やかな爽快感を味わえます。
卵・乳製品・白砂糖不使用のスイーツ
卵・乳製品・白砂糖を使っていないというスイーツは、「抹茶と大納言のケーキ」、米粉を使った「塩こうじスコーン」、「黒豆とラムのケーキ」などのラインナップ。
「女性に人気なのはバナナブレッドですね。バナナをたっぷり使って、ブラジルのブラウンシュガーで甘みを足しています」(水野さん)
バナナを食べているような風味を存分に楽しめるバナナブレッド。たっぷり入ったくるみの食感もクセになるおいしさです。
「バターや卵を使わない分、味が単調になりがちなので、天然由来の甘味料や砂糖の種類を変えて、コクや奥行きを補っています」(水野さん)
できるだけ無農薬 ちょっとだけいい塩や油を使った食事も
店ではスイーツだけでなく、食事メニューも提供しています。
旬の食材を使った定食は季節によって変わりますが、可能な限り、無農薬の食材を使っているんだとか。
「皆さんの心と身体がすこやかに毎日を過ごせるお手伝いをできないかと思って作っている品々です。食材はもちろんですが、ちょっとだけいいお塩や油などにもこだわってます」(水野さん)
この日は、ほんのり塩味が効いた玄米に、台湾で朝ごはんの定番といわれる「シェントウジャン」、豚肉と野菜の赤ワイン煮、野菜の素揚げなどが並んでいました。
食材が持つ本来の味を活かしながら、丁寧に時間をかけて作られた料理はどれも滋味深いおいしさを堪能できます。
「無農薬じゃなきゃだめとか言うつもりは毛頭ないです。ただ、選択肢があることは幸せなことかなと。無農薬にこだわった料理を食べるのってなかなか難しい時代。難しいからこそ、提供する意味もあるかなと思っています」(水野さん)
自称“体たらく”な店主が“体の為”を想って手作り
最後に、気になるの「為体」の店名の由来をうかがうとーー
「だらしない様子など、あまりいい意味では使わない言葉ですが、元々は“体の為”と書いて、外から見た姿や様子、状態を表す言葉だったそうなんです。自身を俯瞰して見ることにもつながる言葉と捉えて、『為体』。というのは建前で、私がどうしようもない体たらくだから…」と笑う水野さん。
「心と体をすこやかに」という店主の想いを形にしたドリンクやグルメを楽しめるプラントミルク専門店。選択肢のひとつに加えておきたいお店です。
【プラントミルク専門店 為体】
住所 富山県滑川市瀬羽町1853
営業時間 12:00すぎ〜18:00(L.O. 17:00)