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猫が『食べすぎている』ときに考えられる5つの理由 ただ腹ペコなだけではないかも?

ねこちゃんホンポ

1.ストレスや退屈

猫の食べすぎの原因は、必ずしも身体的な問題だけではありません。精神的な要因も大きく影響します。

具体的にはストレスや退屈が、それに当てはまります。

猫は非常に繊細な動物で、環境の変化に敏感です。そのため人間には些細なことでも、猫にとっては大きなストレス源になったりします。

たとえば新しい家族の登場、引っ越し、他のペットの導入、生活環境の変化など。ほかには飼い主との関係や、他の猫との競争なども、ストレスを生み出す要因になります。

このようなストレスがかかると、猫は食べることで心を守ろうとし、過食になってしまうこともあるのです。

同じように、退屈も過食の原因となり得ます。

とくに室内飼いの猫は十分な刺激や運動が不足しがちで、狩りや探索といった本能的な行動を満足させる機会が少ないと、猫は食べることでその欲求を代替しようとします。

その場合は、猫がストレスや退屈を感じないように、環境を整えたり、十分な遊びや運動の機会を与えてあげましょう。

2.病気

猫の食べすぎの原因として考えられるひとつが、病気です。過食を引き起こす病気として代表的なものはさまざまですが、猫では以下の3つがよく見られます。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰分泌される病気です。代謝が急激に上がることで猫の食欲が異常に増加します。

同時に(食べているのに)体重が減ったり、多飲多尿、攻撃的になるなどの症状や性格の変化もみられることもあります。

糖尿病

糖尿病は糖の代謝を助ける「インスリン」という物質が、出なくなったり少なくなったりする病気です。

猫の体内でインスリンが適切に機能しなくなると、細胞がエネルギーを効率よく利用できなくなって、常に空腹感を感じるようになり過食を引き起こします。

以上のような病気による過食は、単なる食事制限では解決できません。むしろ、根本的な健康問題に対処する必要があります。

早期発見・早期治療が重要なので、猫の食欲や体重に急激な変化が見られた場合は、早めに獣医師に相談することをおすすめします。

3.過去の経験による

猫の食べすぎには、以下のように猫の過去の経験や学習した行動パターンが影響することもあります。

幼少期の経験

たとえば保護された元野良猫や、十分な食事を与えられなかった経験のある猫は、「次はいつ食べられるかわからない」という不安から、食べ物を見つけるとすぐに食べつくそうとする傾向があると言われています。

競争心

複数の猫を飼っている家庭では、食事の時間が競争になることがあります。自分の分をすぐに食べないと他の猫に取られてしまうという経験から、急いで食べる習慣が身についてしまうのです。

注目欲求

猫は賢い動物で、食べ物をねだることで飼い主の注目を集められることを学習することがあります。

その結果、実際には空腹でなくても、飼い主の注目を得るために食べ物をねだる行動を取ることがあります。

こういった経験から生じる過食に対しては、猫の安心感を高め、きちんとした食事習慣を構築することが重要です。

警戒心やこだわりの強い生き物である猫にとって、落ち着いて安心できる環境で食事をすることは健康管理のためにも大切です。

4.避妊・去勢手術

避妊去勢手術は猫の健康管理において重要な役割を果たしますが、手術後に猫が食べすぎてしまうケースは多々あります。

これは避妊去勢によりホルモンバランスが変化し、運動性の低下や食欲の増進、代謝の変化などの体の変化が起こるためです。

そのため猫が以前よりも多く食べるようになったと思う飼い主は少なくありません。

とくに手術後は活動量が減る猫も多いため、消費カロリーが減少する一方で、食欲が旺盛になると体重増加につながりやすくなってしまうのです。

そのため避妊去勢後は食事量やカロリーの管理が特に重要となり、避妊去勢後専用のフードを使ったり適切な食事制限を行うことが、肥満予防のためには必要です。

5.妊娠や成長期

猫が妊娠中や成長期に食べすぎるのは、エネルギーの必要量が増加するためです。

妊娠中の猫は、体内で胎児を育てるために通常よりも多くの栄養を必要とします。また出産後も授乳によってエネルギーが消費されるため、引き続き食欲旺盛な状態が目立つように。

一方成長期の子猫も同様に、満福中枢が未発達な傾向があり、成長に必要な栄養を十分に摂取するために食欲が増進しがちになります。

生後数ヵ月の間は、筋肉や骨、内臓などが急速に発達する時期であるため、通常の成猫よりも多くのカロリーと栄養素を必要なのです。

食べすぎに見えることがありますが、この時期の過食は正常な成長の一環なので、心配はありません。ただし栄養バランスが偏らないよう、食事管理は行いましょう。

成長がある程度落ち着く時期にも個体差があるため、肥満化正常化ということを見極めるために、こまめな体重管理や肉付きのチェックも大切です。

まとめ

猫が食べすぎている場合、その原因は単なる空腹だけではく、今回紹介したような要因が絡んでいることもあります。

そのため飼い主は日ごろから愛猫の行動や健康状態をよく観察し、いざという時にきちんとした対応ができるようにしておきましょう。


(獣医師監修:葛野莉奈)

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