「スリリングで不穏な空気感に目が離せなくなる」「深く心を動かされた」著名人からコメント到着!『九月と七月の姉妹』
史上最年少のマン・ブッカー賞候補となった作家デイジー・ジョンソンによる「九月と七月の姉妹(原題:Sisters)」に着想を得て制作、2024年カンヌ国際映画祭でのプレミア上映以降も各国映画祭で大絶賛。フランス人俳優として世界的に活躍するアリアン・ラベドがメガホンをとった長編デビュー作『九月と七月の姉妹』が、9月5日(金)より公開される。このたび、電線愛好家・文筆家・俳優・石山蓮華、作家・嶽本野ばら、画家・イラストレーターの中村桃子、アーティスト・Lina Sun Parkら各界著名人から本作へのコメントと、中村桃子からはイメージイラストが到着した。
“姉妹のいびつな絆”を描いたフェアリーテイル
監督は、公私に渡るパートナーであるヨルゴス・ランティモスを中心として生まれた映画ムーブメント<ギリシャの奇妙な波 (Greek Weird Wave) >を継ぐ作風で脚光を浴びた、アリアン・ラベド監督。2010年、ヨルゴス・ランティモス監督が制作・出演した『アッテンバーグ』(アティナ・ラヘル・ツァンガリ監督)で映画デビューを果たし、「ヴェネツィア映画祭」と「アンジェ・プルミエ・プラン映画祭」の最優秀女優賞を受賞。本作でヨルゴス・ランティモスと出会い、2013年に結婚し、その後『ロブスター』(2015)にも出演している。また2014年には、『欲望の航路』で「ロカルノ映画祭」最優秀女優賞を受賞、セザール賞新人女優賞にもノミネートされた。
10ヶ月違いで生まれた一心同体の姉妹・セプテンバーとジュライを演じたのは“カンヌの新星”として演技を高く評価されたパスカル・カンとミア・サリア。また、『関心領域』でアカデミー賞音響賞に輝いたジョニー・バーンによるサウンドデザインが物語を不穏な予兆で充たしていく。一体どこからどこまでが自分なのか——互いの境目がわからないほど絡み合った姉妹の絆は、やがて醒めることのない悪夢へと姿を変える。
<コメント>
石山蓮華(電線愛好家・文筆家・俳優)
姉妹のゲームがいつのまにか執着になっていく。この不穏なシスターフッドは危ういだけではない普遍性がある。大人になるために心の奥底にしまい込んだ女の子たちの名前、私たちだけの共通言語と恐怖をもう一度なぞりたくなっている。
かとうさおり(NINE STORIES主宰)
クローズドな関係性と空間の中で、ある事件をきっかけに、更にぼやけていく2人の姉妹の境界線。時間軸もあやふやとなり、スリリングで不穏な空気感に目が離せなくなる。原作と併せての鑑賞を推奨!
SYO(物書き)
他者の悪意、淀んだ母娘関係、歪な姉妹愛。
支配的で狂っている。でも、独りではない。
絶望か希望か——貴方は答えを出せるのか。
僕は未だ衝撃で心が強張り、動けずにいる。
嶽本野ばら(作家)
貴方は知るでしょう。自分がすでに傷つき、修復不可能な状態であることを。
それでも貴方は痛みと欠損から眼を逸さぬ決意をするのではないでしょうか?
彼女達の宿命に共鳴するから。これは寓話ではなく今を生きなければならない少女、
つまり貴方の記録なのだと思います。原作とこの映画が同じ核を持つ双子のような姉妹であるが如くに……。
中村桃子(画家・イラストレーター)
学校にいても、家に帰っても、男の子にデートに誘われても、姉妹が作り上げた歪で頑丈なテラリウムにはなかなかだれも侵入できない。それでも、いつか強い風が吹いて家も車もぜんぶ吹っ飛んだら、どこへでも飛んでいけそうなジュライに希望を感じました。
野中モモ(ライター・翻訳者)
ときに親子以上に密接になる姉妹の結びつき。
歪で極端な事例に見えるけれど、ありふれた母子家庭サバイバルの話とも言える。
その危ういバランスを成り立たせる映像と音による語りに個性と技を感じます。
英国の曇り空、思春期の鬱屈と相性が良すぎ。
福永紋那(OH! MY BOOKS店主)
“怖カワイイ”って感じの姉妹に終始ヒヤヒヤしたんですが、途中お母さんとのうそみたいに明るくてイケてるダンスシーンがあったのがめちゃくちゃ最高で、気づくと彼女たち3人家族の不思議な魅力にかなり夢中になっていました。
ブン(古書店員)
自分の心と身体が少しずつ乖離していて、支配されていくような感覚。暴力的で束縛のある姉妹間の奇妙な結びつき。でも全てが嫌悪や恐怖で溢れているわけではなくて、愛に限りなく近いものもある。それは絆なのか共依存なのか。なんだか、高熱の時に見る夢のような時間を過ごしました。
水野しず(コンセプトクリエイター、ポップ思想家)
秩序の網にむりや裂け目を作って入り込んでくる侵入者がいたらサスペンスだけど、ある秩序の渦中であたりまえのようにいたりいなくなったりする人間はホラーだ。思春期の少女にとってはこの世の大半がこんなおそろしさに満ちたホラーみたいな側面がある。いろんな人間が自己都合で近すぎる距離に出現したり突如消失したりする。そういうこわさって、どうしたらわかってもらえるんだろうか。
渡辺祐真(作家・書評家)
本映画の原作が目指していたのは、叙述トリックと言葉遊び、そして館を舞台にしたゴシックミステリーだった。いずれも小説ならではの技巧の賜物だ。ところが映画では、家具や物音を軸に据えることで、原作がやろうとしていたことを全く違うやり方で達成してしまった。ただの焼き直しではない、優れた映画化とはこのようなものだ。
Lina Sun Park(アーティスト)
日常の儚さや私的な空間、そして彼女たちだけの儀式を、静かで心に残る方法で描き出していたことに深く心を動かされました。
『九月と七月の姉妹』は9月5日(金)より渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー