【体験談】1歳5ヶ月、わが子だけ「歩かない・つま先立ち」に募る不安…1歳半健診を待つ?決断は
監修:室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
帰り道もずっと、頭から離れない「うちの子だけ」
児童館でのイベントが終わった後も、頭の中は「うちの子だけが立てなかった」という事実でいっぱいでした。 1歳5ヶ月なら、定型的な発達の子は立って歩けるんだな……。周りの子たちの様子を見て、ようやくそう気づかされました。帰り道の景色も、どこか遠くに感じられたのを覚えています。
「自分の育て方のせい?」と、答えのない反省
悶々と考える時間は続きました。おむつを替えるとき、足の引っ張り方が悪かったのかな。抱っこの仕方が良くなかったのかな。たまおの細い足首や、つかまり立ちをするときの「つま先立ち」まで、これまでは気に留めていなかった些細なことまでが、急に不安の種に変わっていきました。
1ヶ月後の健診まで、待っていられない
あと1ヶ月待てば、1歳半健診があります。そこまで様子を見るという選択肢もありました。でも、もし本当に何かあったら?今すぐ動けば、何か変わる状況だとしたら?「大したことじゃないかもしれない」と思いたい気持ちと、「もしものことがあったら怖い」という気持ちの間で揺れ動いていました。
「もし何もないならそれでいい」と相談を決意
悩んでいても正解は出ない。それなら、まずは専門のところに相談してみよう。その日の夜、夫に今の不安を話し、「明日、療育センターに電話をしてみる」と決意しました。1ヶ月間もモヤモヤしたまま待つより、今できることをやっておきたい。それが、当時の私にできる精いっぱいの選択でした。
動き出した先に待っていた、もうひとつの壁
電話をすれば、きっと道が開ける。どこかでそんな希望を持っていたのかもしれません。けれど、実際に療育(発達支援)の道に進もうとしてみると、なかなかスムーズにはいかない現実が待っていました。期待と不安が混ざった気持ちで電話をかけたあの時から、新しい試行錯誤の日々が始まることになったのです。
執筆/くら
お子さんの発達に何らかの心配ごとがあると、ご自身を責める方向に考えが向かってしまうことも少なくありません。けれど、発達は日々の育て方や関わり方で決まるものではなく、脳の機能による生まれ持った特性の影響を受けるものです。この点は、ぜひ知っておいていただきたい大切なポイントです。
一方で、関わり方や環境の工夫によって、お子さんが生活しやすくなるよう支えていくことは可能であり、こうした関わりも療育の大切な一つです。また、1歳半で歩けないことだけで、すぐに療育が必要と判断されるわけではありません。運動発達には個人差があり、その後にぐっと追いついてくるお子さんも多くいらっしゃいます。一方で、運動面だけでなく、ことばや対人面などほかの発達にも気になる点がある場合には、そちらについてもあわせて評価や支援が必要となることもあります。
今回のように「気になる」と感じた段階で早めに受診されたことは、とても大切で素晴らしいことです。気になることがあれば早めに相談していただくことは、安心できる子育てにつながる大切な一歩だと思っています。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。