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白玉だんごまわりのデザイン~お餅もいいけど白玉もね

さんたつ

これまで気にも留めてこなかったものが、突如として気になり始めることがある。 友人Mさんと、千葉市美術館に行こうと総武線で東に向かっていた時のことだ。電車が小岩を出て、江戸川を渡ったところで、倉庫の壁に大きな白玉粉の広告が描かれているのを発見した。それは白玉あんみつが添えられたレトロなデザインで、思わずMさんと顔を見合わせた。とても魅力的に見えたのだ。

総武線の小岩→市川間の車窓から見える白玉粉。

まだ見ぬデザインの白玉粉を探して

以降、白玉粉のデザインが気になって仕方がない。そもそも白玉だんごは、その丸くて白い形そのものがデザイン性に優れている(その点では、以前このコラムで取り上げたタマゴと似ているかも知れない)。しかしその材料である白玉粉のパッケージも素敵なものが多いのだ。

倉庫に描かれていた玉三の白玉粉は、関東近辺のスーパーでは割とよく見かける。

「玉三」ブランドの白玉粉。大正10年から製造されているとのこと。
よもぎ味は若干デザインが異なる。

しかし日本はコメの国である。全国各地には、まだ見ぬデザインの白玉粉が存在しているのではあるまいか。そう思った私は、旅先でグッとくる白玉粉を探し始めるようになっていた。

惹かれるパッケージの数々

先ほどの玉三の袋もそうだが、白玉粉デザインの一つの流れとして、調理例写真がパッケージになっているものがある。

白玉フルーツあんみつがかわいい(埼玉・みたけ食品)。
串団子はだんご粉(うるち米・もち米のブレンド)で作るのが一般的だが、白玉粉で作ってもいいらしい(熊本・日の出製粉)。

確かに出来上がった白玉だんごは、丸々ツヤツヤとしていて、購買意欲をそそられる。

一方で、「白玉粉」と書かれた文字のみの潔いパッケージもある。

山形・酒田市の農産物直売所で購入した白玉粉。達筆である。
背景には「雪のように白く真綿のようにやわらかい…」という宣伝文が書かれている(東京・萬藤)。
古い手ぬぐいのデザインにありそうな、紺と赤のレトロなデザイン(熊本・日の出製粉)。
文字のみのデザインといっても、存在感がある(熊本・火乃国食品)。

文字だけと言っても、味わい深い書体で書かれていることが多く、それだけで一つのデザインとして完成している。

他にも、いかにもだんごが好きそうな子どもや、大石内蔵助などキャラクターが書かれたもの、モダンな配色のものなどさまざまだ。

「白玉だんごの粉」とあるが、白玉粉ではなくだんご粉である。この坊やはローカルCMにも出演しているようだ(島根・南目製粉)。
真面目そうな大石内蔵助の絵が良い。「義士印」は昭和8年に商標登録されたそう(兵庫・前原製粉)。
上にも挙げた日の出製粉の製品なのだが、モダンなデザインで他のラインナップと雰囲気が異なる(熊本・日の出製粉)。

しかし、総じてレトロなパッケージであることが多いようである。

お正月、餅を食べ飽きたら白玉を

ところで、白玉粉のデザインの楽しみは表面ばかりではない。多くの白玉粉は、その裏面に調理例や手順がイラストで紹介されているが、このイラストが何とも味わい深い。

たとえば、上にも挙げた日の出製粉(熊本)の白玉粉の裏面を見てみると、「白玉みつかけ」「ぜんざい」「フルーツポンチ」「あべ川」といった調理例のイラストがある。雑誌『暮しの手帖』の挿画にありそうな、温かみのあるタッチで描かれている。

昭和40年代の雑誌の挿絵にありそうな、いいイラスト(熊本・日の出製粉)。

南目製粉(島根)の白玉粉の裏面には「召しあがり方いろいろ」と柏餅やぜんざいが図解されているが、「ナンメのきなこをまぶして……」と、しっかり自社製品の宣伝がされているのが微笑ましい。

実は「ナンメのきなこ」もいいデザインなのである(島根・南目製粉)。

冒頭で紹介した玉三の白玉粉にはよもぎ入りのものもあるのだが、作り方のイラストでは白玉ならぬ緑玉になっているのも、細やかな配慮である。

「玉三」、左がよもぎ入り、右が普通の白玉粉の裏面。絵は同じもののようだが、色が違うと雰囲気が異なる。

もうすぐ新年。餅を食べ飽きた時には、同じもち米を原料とする白玉を作ってみるのもよいのではないだろうか。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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