太陽光だけで70km走行できる オランダ発の電気自動車「ライトイヤー」
ボンネット&テールにもソーラーパネルを搭載
オランダで2016年に創業したスタートアップ企業Lightyear(ライトイヤー)が、太陽光エネルギーだけで長距離走行が可能な電気自動車「Lightyear 0モデル」を製造する。ボンネットとルーフ、後方のテールまで車全体にソーラーパネルが搭載され、充電しなくても太陽光エネルギーだけで70kmも走行できるという。
太陽を原動力とする自動車はソーラーパネルの占める面積が大きく、試作段階から苦戦を強いられてきた。試行錯誤の結果、60kWhのバッテリーで航続距離は625㎞にまで伸びた。太陽光エネルギーとあわせて最大で700㎞近く走行できることになる。
電気自動車の開発にあたって、これまで業界では、長時間走れるようにバッテリーの容量を大きくすることに注力されてきた。しかしバッテリーを大きくすると生産時のCO2排出量も増加するという。そこで同社では、小さなバッテリーでより長い距離を走行できて、しかもCO2排出量を削減できる「Lightyear 0」を開発した。
夏のアムステルダムでは2カ月、晴れる日が多く日照時間の長いポルトガルでは7カ月も充電なしで運転が可能だという。
同社のCEO兼共同創業者のレックス・ホーフスルート氏は、Lightyear 0モデルの発表の場で「太陽という新たなエネルギー源を加えることで、常に充電が可能で、充電の頻度を大幅に減らせるという確信を得た」と述べ、ソーラー電気自動車の普及に期待を寄せている。
手頃な価格のモデルも製造予定
「Lightyear 0」は、フィンランドのヴァルメト・オートモーティブにて2024年末〜2025年初頭の生産開始を目指す。価格は25万ユーロ(約3550万円)と高額で、949台の限定生産となる。今後は3万ユーロ~(約420万円~)の手頃な価格のモデルも製造予定だ。
電気自動車が普及し始めて久しいが、一方で化石燃料エネルギーに依存している送電網での充電を行なっている場合も少なくない。手頃な価格でのソーラー電気自動車がより一般に普及すれば、自動車の未来も大きく開けるかもしれない。
※参考
Lightyear
Startup Kicks Off Sales of $265000 First Solar Electric Car|Bloomberg