2024年春闘賃上げ動向まとめ | 過去最高額の企業多数。若手や高度人材への昇給が目立つ
今年の春闘は幅広い業種で満額以上の回答や早期決着が相次いでいます。2023年も引き続き物価高が顕在化しており、2024年1月の消費者物価指数は2020年を100として106.9でした。前年の同月と比較すると2.2%上昇しています。長期間安定していた日本の物価も、世界的な資源の高騰や、2022年2月以降の円安などの要因によって上がらざるを得ない状況に置かれています。一方で、3月4日の東京株式市場では、日経平均株価は史上初の4万円台に乗るなど明るいニュースもありました。
日本政府は、物価高を上回る所得の増加に向け、また大企業のみならず中小企業にまで賃上げの動きが及ぶように、賃上げを実現した企業への税制優遇や、非正規雇用労働者の正規化を促進するキャリアアップ助成金の拡充など、政策を強化してきました。
また、労働組合の中央組織である連合は「2024 春季 生活闘争方針」で、『賃上げ分 3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め 5%以上の賃上げを目安とする』、『中小組合で賃金実態が把握できないなどの事情がある場合は、格差是正分を含め15000 円以上を目安とする』と発表していました。
今後の経済成長の鍵を握るのが賃上げの動きです。そこで本記事では、2024年春季労使交渉によって賃上げを行うと発表した企業をピックアップして紹介します。
2024年今春、上場企業の賃上げ状況
先行して賃上げを行うのが、上場企業をはじめとした大手各社です。
この春から5000円または5%以上の給与アップを発表した企業を以下にまとめ、表(順不同)にて紹介します。
金融・生命保険業界
みずほフィナンシャルグループ
人事制度の改定や物価高対策の補給金など合わせて、総額で7%超えの賃上げ。ベースアップの賃上げ率は3%。また、2024年度入社から新卒行員の初任給を引き上げる。大卒で5万5000円増額し、26万円になる。
三井住友フィナンシャルグループ
三井住友銀行は給与・賞与増額や研修充実などで実質7%程度の賃上げに相当する処遇改善を2024年度に実施する方針。
野村ホールディングス
2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。2万円増額の26万5000円にする。また2024年度に入社3年目までの若手社員に対して平均16%の賃上げを行う。
第一生命ホールディングス
営業職も含めた社員の賃金を平均7%引き上げる方針。新年度から従業員向けに株式を給付する制度を導入予定で、この手当も含む。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大学卒で32万1000円になる。
九州フィナンシャルグループ
傘下の肥後、鹿児島の2行でベースアップ(ベア)を実施。肥後銀は定期昇給を含めて5.8%、鹿児島銀は5%以上の賃上げ。また、新卒行員の初任給も引き上げる。
ちゅうぎんフィナンシャルグループ
グループの社員やパート従業員ら約4800人に対し、ベースアップで平均4.2%の賃上げを7月に実施。また、2025年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。大卒(転勤あり)の場合で2万5000円増額し25万円にする。
北洋銀行
支店長など経営職を含む行員約3200人を対象に、ベースアップと定期昇給をあわせた総額で平均5.1%の賃上げ。ベースアップでは平均3.9%。非経営職行員の平均でベースアップと定期昇給あわせて6.5%の賃上げ、ベースアップで1万5400円の賃上げ(賃上げ率4.9%)。また、2024年入社の新卒行員の初任給も引き上げる。大卒の初任給は1万8500円上げて22万5000円にする。
コンコルディア・フィナンシャルグループ
コンコルディアFG傘下の横浜銀行は、全行員4300人に対し、ベースアップと定期昇給をあわせた総額で平均7%程度の賃上げ。入社2〜4年目の若手に対しては最大14.5%のベースアップとなる見込み。また、2025年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。大卒総合職で4万円増額し26万円にする。
群馬銀行
全正行員約2900人に対し、ベースアップで平均3.5%の賃上げ。6月の人事制度改定を含めると賃上げ率は平均6.2%となる。また、2025年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。大卒総合職で3万円増額する。
大分銀行
ベースアップと定期昇給をあわせて平均6%を超える賃上げ。総合職のベースアップは月額1万円、8月1日に実施。専任職・社員・嘱託行員・嘱託社員・嘱託員についても、別途ベースアップを実施。また、2025年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。大卒Fコースで5万円増額し、26万円にする。
宮崎銀行
ベースアップと定期昇給をあわせて5%の賃上げ。その他職員およびパートタイマーについても賃金引き上げを実施。
ひろぎんホールディングス
ひろぎんホールディングス傘下全ての企業で、ベースアップで3%の賃上げ。広島銀行の場合、定期昇給を合わせて平均5%の賃上げ。また、広島銀行は2025年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。大卒で11%増額し、25万円程度にする方針。
肥後銀行
ベースアップと定期昇給をあわせて約5.8%の賃上げ。うち、ベースアップ3.8%、定期昇給2%。
百十四銀行
非正規を含む全職員約2400人に対し、平均4.8%程度賃上げ。ベースアップは役職により最大12%。また、2025年度入社から新卒行員の初任給を引き上げる。大卒の総合職で2万5000円増額し、24万円にする。その他、遠隔地勤務手当を新設、非正規職員の時給も引き上げる。
阿波銀行
行員・準行員に対し、ベースアップと定期昇給をあわせて平均約5.4%最大10%程度の賃上げ、7月の定例給与から実施。また、2025年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。一律1.5万増額し、大卒で25万円にする(ライフプラン支援金2万円を含む)。
日本生命
内勤職員約2万人に対し、ベースアップと定期昇給、一時金をあわせた総額で平均5.5%程度の賃上げ。月額給与は全社員5000円増とし、実務担当者層にはさらに5000円加算し1万円増とする。賞与は全社員6%増額。また、2024年度入社から新卒社員の初任給も引き上げる。全国転勤を前提とした職種で3万円増額する。
日本生命傘下のニッセイアセットマネジメントでは定期昇給とは別に、物価高対策として年間一律20万円のベースアップを行う方針。また、24年度新卒採用の初任給は現行の30万8000円から32万5000円に増額する。
明治安田生命
内勤職員約1万人に対し、平均約7%賃上げ。新年度から年功要素を廃止し、実績や役職をより反映した賃金体系に移行する予定。全国転勤がある採用コースでは現行の21万円から24万円に引き上げる。
住友生命
全国に約1万人いる内勤職員に対し、平均5%の賃上げ。入社10年以内の若手層は約10%の賃上げ。物価高への手当として、職員一律で月額1万2000円を支給する。また、新卒社員の初任給を引き上げる。2万5000円増額する。
三菱UFJ銀行
8.5%以上の賃上げを9月分から実施。うち、ベースアップは1万円以上、特別一時金を最大で15万円支給。また、新卒行員の初任給も引き上げる。5万円増額し、25万5000円にする。入行1~4年目の賃上げ率は12%程度。
三井住友銀行
総額で7%の賃上げ、7月分の給与から実施。うち、ベースアップは3.5%。
十六フィナンシャルグループ
ベースアップと定期昇給を合わせて、平均5.2%の賃上げ。うち、ベースアップは4.5%。
いよぎんホールディングス
パートを除く、いよぎんHD傘下の従業員約3300人に対し、ベースアップと定期昇給などを合わせて、実質約5%の賃上げ。
琉球銀行
行員約1400名に対し、ベースアップと定期昇給、賞与などを合わせて、5.5%の賃上げ。ベースアップと賞与の成果配分の増額(月額に換算)を合わせると月平均9800円程度。また、2024年入社から新卒行員の初任給も引き上げる。大学・大学院卒の場合で6000円増額し21万1000円にする。
自動車・輸送機器業界
トヨタ自動車 職種や階級ごとに異なるが、最大で月2万8440円の賃上げ、満額回答。一時金は過去最高の月給7.6か月分。 本田技研工業(ホンダ) ベースアップと定期昇給の相当分をあわせた総額で月2万円の賃上げ、満額回答。うちベースアップは1万3500円。年間の一時金は7.1か月分で、満額回答。 スズキ 平均10%以上の賃上げ率。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。3万1000円増額し、大学卒で25万1000円(14.1%増)、大学院卒で27万3000円(12.8%増)にする。初任給の増額に伴い全体の賃金カーブを見直す。子育て支援や通勤などの手当も増やす。 SUBARU ベースアップと定期昇給を合わせた総額で月1万8300円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は5%超。年間の一時金も要求通りの6カ月分。 日産自動車 ベースアップで月1万8000円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は5.0%。年間の一時金は5.8カ月で、前年回答(5.5カ月)から0.3カ月分引き上げ。 デンソー ベースアップと定期昇給相当を合わせた総額で平均月1万8100円の賃上げ、満額回答。年間の一時金は6.1ヶ月。 いすゞ自動車 ベースアップ相当分と定期昇給分を合わせて月1万9000円の賃上げ、満額回答。 アイシン ベースアップと定期昇給相当を合わせた総額で平均月1万2000円の賃上げ、組合の要求水準を2000円下回った。 マツダ ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた総額で月1万6000円の賃上げ、満額回答。賃上げと一時金の合計では前年比6.8%相当の賃上げ率。年間の一時金は5.6ヶ月分。 三菱自動車工業 ベースアップと定期昇給をあわせた総額で月1万7500円の賃上げ。要求を下回ったが、賃上げ率は連合の目標を超える5.4%。一時金は要求の6.3カ月分対して、6カ月分で回答。 日野自動車 ベースアップ相当と定期昇給分を合わせた総額で1万6800円の賃上げ、満額回答。 ヤマハ発動機 ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた総額で平均月1万7400円の賃上げ、満額回答。年間の一時金も要求通りの6.5か月。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。総合職の場合、大学卒は2万2100円増額し25万円(9.7%増)、大学院卒(修士課程修了)は2万3100円増額し27万2000円(8.8%増)にする。 クボタ 国内外のグループ会社を除くクボタ本体の約1万500人に対し、ベースアップと定期昇給分などを合わせた総額で平均月2万3000円の賃上げ、組合側の要求を3000円上回る回答。内訳は、ベースアップで1万6000円、定期昇給で7000円。一時金は215万円の組合要求に満額回答。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で7%増の27万4000円にする。 三菱重工業 ベースアップで月1万8000円の賃上げ、満額回答。定期昇給分を合わせて8.3%の賃上げ。一時金の回答は6.1カ月分。 川崎重工業 ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた総額で7.11%の賃上げ。うちベースアップは月1万8000円で、満額回答。 IHI ベースアップで月1万8000円の賃上げ、満額回答。定期昇給分を合わせて6.72%の賃上げ。一時金の回答は4.8カ月分。 三井金属鉱業 一般社員(正社員のうち非管理職)に対し、ベースアップと制度昇給などを合わせた総額で平均7.%の賃上げ。うち、ベースアップは月2万円の賃上げ、組合が要求した1万5000円を上回った。また、新卒社員の初任給を引き上げる。博士卒4万5000円、修士卒3万5000円、その他の区分2万円増額する。学部卒で25万4000円 、修士卒で28万6000円にする。 住友重機機械 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均月2万4000円の賃上げ。ベースアップで月1万8000円、満額回答。 セーレン ベースアップと年間賞与を合わせて、平均7.1%の賃上げ。ベースアップは職能や職務に応じて最大2万1000円で平均7500円、労働組合の要求額は1万5500円だった。年間賞与は前年比14万円増の平均175万円。 住友電気工業 ベースアップと定期昇給などを合わせて、5.8%の賃上げ。ベースアップは1万3000円で、満額回答。
電子機器・機械業界
東京エレクトロン 2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律で8万5500円増額し、大卒で30万4800円、大学院卒で32万円にする。 ソニーグループ ソニーグループ本体と傘下の事業会社2社の社員に対し、ベースアップで月2万400円賃上げする(標準モデル)。賃上げ率は5.4%。主任級の一般社員の場合で、最大で月5万2800円(16.6%)賃上げする。また、新卒社員の初任給を引き上げる。1万円増額する。 日立製作所 ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。平均昇給額は1万8095円。年間の一時金は6.4 カ月の要求に対し、6.17 カ月の回答となった。また新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万8000円増額し25万円にする。その他、2025年度末までに男性の育児休業などの対象者全員取得や、障がい児・医療的ケア児養育者の短時間勤務制度の適用拡大などの支援についても発表した。 富士通 賃金水準改善で月1万3000円の賃上げ、満額回答。具体的には、研究開発に従事するリーダークラス(30歳相当)の現行賃金水準400700円について、満額となる13000円の賃金水準改善額を回答。 三菱電機 ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は6.32%。その他、2024年度から新しい人事制度を導入する。等級・評価・報酬制度を刷新し、マネジメント層にはグローバル基準でのジョブグレード制度を適用する。 パナソニック ホールディングス ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は3.43%。定期昇給を合わせた賃上げ率は平均5.5%で、個人業績の反映により最大で10%以上となる見込み。また、新卒社員の初任給を引き上げる。 ニデック(旧:日本電産) 全社員の賃金を4月から平均で5%引き上げると発表した。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で15%増額し、約25万7000円になる計算。 TDK 組合員約5000人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて、平均月2万1000円程度の賃上げ。賃上げ率は平均6%。従業員向けの株式報酬制度も導入する。 日本電気(NEC) ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は4.3%。基本昇給を合わせた賃上げ率は、各社員の評価に応じて0%~11.7%になる。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万8900円増額の28万円、修士卒で29万9400円にする。 村田製作所 ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大学・大学院卒で月2万円の増額。 東芝 ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。定期昇給分を合わせた賃上げ率は5.6%。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万8000円増額し、25万円(7.8%増)にする。 シャープ ベースアップで月1万円の賃上げ、電機連合が容認する最低妥結額での回答。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で9500円増額し、25万1000円にする。 安川電機 ベースアップと定期昇給を合わせて平均月2万円超の賃上げ。賃上げ率は約6%。ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。 富士電機 ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。年間一時金は要求通りの6.2ヶ月分で調整。 イビデン 組合員約3500人に対し、ベースアップ含め平均で8〜10%引き上げる方針。 沖電気工業(OKI) ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒と大学院卒で3000円の増額し、大学卒が25万3000円、修士卒が27万7000円にする。 明電舎 ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。 富士フイルムホールディングス ベースアップで月1万5000円の賃上げ。定期昇給をあわせた賃上げ率は平均5.5%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を6月から引き上げる。大卒の初任給で3万4000円増額し、24万6000円から28万円にする。 アズビル ベースアップと定期昇給を合わせて月1万8315円の賃上げ、満額回答。うちベースアップは1万1500円。 オークマ ベースアップと定期昇給を合わせて月1万5960円の賃上げ、組合が要求した月1万8215円を上回った。うちベースアップは9745円。 島津製作所 総額で2万9377円の賃上げ、賃上げ率は7.67%。うちベースアップは1万5300円。 クボタ 管理職を除く社員約1万600人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて2万3000円の賃上げ、組合が要求した2万円を上回った。賃上げ率は約7%。賞与は年で平均215万円。 シチズン時計 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均月1万8500円の賃上げ。うち、ベースアップは1万2000円、満額で回答。定期昇給は6500円。 カシオ計算機 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均月1万7431円の賃上げ。うち、ベースアップは1万3000円、定期昇給は4431 円。 ダイキン工業 平均で月額2万8000円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は8.2%。 キャノン 全従業員2万4000人に対し、ベースアップで月1万3000円の賃上げ。管理職を除いた賃上げ率は、昇給を合わせて平均5.2%。 セイコーエプソン 専門職を除く正社員6000人に対し、平均月1万2600円の賃上げ、賃上げ率は4.1%。 ニコン 組合員に対し、基本給を平均約1万円の賃上げ、賃上げ率は平均2.7%。また、2025年度入社からの初任給を引き上げる。学部卒で1万円増額し24万7000円、大学院卒で1万1000円増額し27万円にする。
化学・素材業界
信越化学工業 ベースアップと定期昇給などを合わせて、7%の賃上げ。ベースアップの賃上げ率は4.8%、満額回答。 旭化成 ベースアップと定期昇給などを合わせて、月2万1628円の賃上げ。賃上げ率は6.05%。ベースアップは1万3700円(3.83%)、組合側の要求額1万4314円を下回った。 東レ ベースアップと定期昇給などを合わせて、月1万8657円の賃上げ。賃上げ率は5.67%。ベースアップは1万2500円(3.8%)、組合側の要求額1万3162円を下回った。 三菱ケミカルグループ ベースアップと定期昇給などを合わせて、月2万2081円の賃上げ。賃上げ率は6.29%。うちベースアップは平均1万4653円(4%)、満額回答。 クラレ ベースアップと定期昇給などを合わせて、月1万8091円の賃上げ。賃上げ率は5.13%。うちベースアップは平均1万1731円、組合側の要求額を下回った。 日本製鉄 ベースアップと定期昇給などを合わせた総額で14.2%の賃上げ。うち、ベースアップは月3万5000円で、組合側の要求額3万円を上回った。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大学学部卒で4万1000円増額し、26万5000円にする。その他、年間休日日数の増加(常昼勤務者)、臨時出勤手当の支給要件見直し、単身赴任手当および単身赴任者の一時帰宅交通費の支給要件および支給回数の見直しを決定。 JFEスチール ベースアップと定期昇給などを合わせた総額で12.5%の賃上げ。うち、ベースアップは月3万円、満額回答。また、所定休日数の増加も決定。 神戸製鋼所 ベースアップと定期昇給などを合わせた総額で12.8%の賃上げ。うち、ベースアップは月3万円、満額回答。その他、所定年間休日の増加、深夜業割増金・日曜祝日手当・緊急呼出手当の増額も決定。 住友金属鉱山 ベースアップと定期昇給などを合わせて、月2万5000円の賃上げ。うち、ベースアップは月2万円、満額回答。 日本触媒 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均8%の賃上げ。うちベースアップは月1万6000円。また、2024年入社の新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万4000円増額し、25万3000円にする。
運輸・航空業界
日本航空(JAL) ベースアップで月1万2000円(約4%)の賃上げ。ベースアップと定期昇給を合わせると平均約6%の賃上げ。年間の一時金は4ヶ月分。 ANAホールディングス ベースアップで月1万1000円の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。最大1.6万円の増額で、大卒CAは21万円にする。 東日本旅客鉄道(JR東日本) ベースアップと定期昇給あわせて1万6973円の賃上げ。うち、ベースアップは月1万598円(約3.2%)の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。総合職で一律1万350円増額し、大卒で25万75円にする。エリア職では高卒を除き一律1万2560円、高卒で1万1500円増額し、大卒24万530円にする。 東海旅客鉄道(JR東海) ベースアップで月7000円(35歳モデル)の賃上げ。ベースアップと定期昇給などを合わせると、月1万5900円の賃上げ(35歳モデル)。賃上げ率は4.8%。夏季手当は3.0か月分、満額回答。 西日本鉄道(JR西日本) 全社員に対し、ベースアップで8630円の賃上げ。ベースアップと手当の改善などを合わせると、平均月1万9820円の賃上げ。賃上げ率は平均6.3%。年間一時金は基本給などの5.2カ月分。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。京阪神地区で勤務する大学卒の総合職は1万60円増の23万9646円となる(4.4%増)。博士号取得者の初任給を新設し、同地区で勤務する場合は30万3007円になる。 JR九州 ベースアップと定期昇給を合わせて2万4448円の賃上げ、賃上げ率は平均9.3%。夏季賞与は2.5か月分で、1人20万円の一時金を追加で支給する。また、4月から、男女を問わず不妊治療で休職する社員に月4万円を支給する制度を新設すると発表した。仕事と子育ての両立を支える狙いがあり、昨年3月に発表していた出産祝い金の増額も今年4月から実施し、現在は新生児1人1万円の祝い金を30万~50万円に増やす。 東急 ベースアップで1万500円(約3.1%)の賃上げ。ベースアップと定期昇給を合わせて平均1万9000円の賃上げ。賃上げ率は約5.7%。一時金を加えると年収ベースで平均約7.3%の賃上げ。 京王電鉄 ベースアップと定期昇給、賞与を合わせて年収の7.4%の賃上げ。ベースアップで平均1万5000円、組合の要求1万4600円を超えた。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大学卒と大学院卒で3万円増額し、それぞれ26万円、26万8500円にする。 西日本鉄道 ベースアップと定期昇給を合わせて平均月1万2800円の賃上げ。組合側の要求、ベースアップ1万4600円と定昇相当分2%は下回った。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒とバス乗務員を1万円、高卒を9000円増額する。 名古屋鉄道 ベースアップと定期昇給、賃金制度の改定で平均2万3000円以上の賃上げ。賃上げ率は7%超。賞与の増加分を含めると年収ベースで8%超の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。総合職の大卒初任給を現行から7万円増額し、30万円に。大学院卒は7万1700円増額し、31万6700円にする。運転士や車掌など鉄道現業職の初任給も、25年度入社分から大学卒で2万円以上多い22万円以上などに増額する方針。 日本郵船 正社員およそ1600人に対し、ベースアップと定期昇給をあわせて18%以上の賃上げ。うちベースアップで約15%。また、2024年入社の新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で4万8300円増額し、32万3300円にする。 商船三井 ベースアップで月9万2400円の賃上げ、賃上げ率は14.13%。
電力・ガス・エネルギー業界
東京電力 全社員に対し、ベースアップなどで年収の4%賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大学・高専(専攻科)卒で1万1400円増額し、23万7100円になる(約5%)。 関西電力 ベースアップ相当分で、平均月1万7000円の賃上げ、満額回答。個人の能力の伸びに応じた昇給分も含めた賃上げ率は平均5.1%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。全学歴で一律2万円増額し、大卒については23万6000円になる。さらに労働協約を改める。「不妊治療休職制度」を導入し最長で2年間取得可能とする。小学校に上がる前の孫を看護する社員を対象に年度あたり5日間を限度とする休暇制度も導入する。 中部電力 ベースアップで月1万2000円の賃上げ。年間賞与は183万円で前年実績を20万円上回る。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万3000円増額し、23万7000円にする。 中国電力 ベースアップ相当で一律月6000円の賃上げ、組合が要求していた月9000円を下回った。賞与は年間4.2カ月分。また、新卒社員の初任給を引き上げる。一律8000円の増額で、大卒22万6000円にする。 九州電力 九州電力と九州電力送配電の組合員に対し、ベースアップで平均月1万1500円の賃上げ、満額回答。ベースアップと定期昇給を合わせて4.3%、賞与も合わせると平均7%以上の賃上げ。また、新卒社員の初任給を引き上げる。一律1万円増額し、大学卒で23万円、大学院卒で25万1500円にする。 北陸電力 ベースアップで月9500円の賃上げ、組合側の要求を5000円を上回る回答。年間賞与は4.3カ月分、満額回答。また、新卒社員の初任給を引き上げる。1万円増額。 東北電力 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均月1万4700円の賃上げ。賃上げ率は3.8%。うちベースアップは平均月1万700円。 北海道電力 北海道電力と北海道電力ネットワークの社員に対し、月例賃金を平均4%賃上げする。30歳社員の標準的なケースで1万円の賃上げとなる。年間賞与は4.2カ月分。また、新卒社員の初任給を引き上げる。一律1万500円の増額。「配偶者転勤同行休職」を新設する。配偶者が海外に転勤となった場合、最大3年間休職可能となる。 四国電力 四国電力と四国電力送配電の組合員3900人に対し、ベースアップで平均3%の賃上げ。組合は勤続年数が12年目の高卒30歳のモデルで月額9000円のベースアップを要求し、満額回答。年間賞与は平均164万7000円、組合の要求額170万円を下回った。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大学卒業の総合職で1万円増額し、22万4000円にする。 東京ガス ベースアップと定期昇給をあわせて、平均6%の賃上げ。ベースアップで一律3%の賃上げ。30代前半までの若手社員の資格給は重点的に引き上げる。ベアも含めると平均で13%程度の賃金改善となる。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律4万円増額し、大学卒で18%増の26万円。 コスモエネルギーホールディングス グループの社員約2400人(管理職を含む)に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均6.9%賃上げ。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。大卒は2万7000円増額の30万6050円にする。 静岡ガス 組合員の社員に対し、ベースアップで月約1万3000円の賃上げ、賃上げ率は平均4.0%。組合員以外の月給社員は一律で月額5000円、パート社員は時給を30円の賃上げ。
通信・IT・システム業界
NTT NTTドコモやNTTデータなど主要5社の社員計約14万2000人に対し、賃金改定、定期昇給、人事制度の見直し分を合わせて3万9300円の賃上げ。賃上げ率は7.3%。ベースアップに相当する賃金改定は月1万1000円。組合側の要求は月例賃金の5%引き上げだった。また、ドコモのほかNTT東日本やNTT都市開発など10社を対象に、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒の場合、1万円程度増額し住宅補助費を含めて30万円以上、高度な専門性を持つ社員については32万円以上にする。 ソフトバンクグループ ベースアップと定期昇給などを合わせて総額で平均5.5%の賃上げ。 KDDI 1万400人の正社員と契約社員を対象に賃上げを実施。定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)、一時金の支給を合わせ年収ベースで平均6%上げる。ベアにあたる月例賃金改善は一律1万4000円。6月には一時金として一律12万円を支給する。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。1万円増額の28万円にする。 電通総研 基本給の平均10.7%、最大12%引き上げ。年収ベースでは最大約7%の増額。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。一律3万円増額し、大学卒28万円・大学院卒30万円にする。従来の家族手当をこども手当に改定し、扶養対象の子供に対する手当を現在の一人あたり月額1.2万円から2.5万円に増額。 ダイフク ベースアップと定期昇給などを合わせて、組合員を中心に10%以上の賃上げ。 ラクス 一般社員1400名に対し、ベースアップと定期昇給などを合わせて平均8.5%の賃上げ。ベースアップは一律10000円、定期昇給派平均3%、賞与は平均12.0%増。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。年収ベースで約20%引き上げ、東京勤務で41625円増額し30万625円、大阪勤務で4万2500増額し277500円にする。
不動産・建設業界
三井不動産 正社員2000人に対し、平均10%賃上げ。今後、契約社員の賃上げや新入社員の初任給の引き上げも行う予定。 住友不動産 2023年度と同水準にあたる約7%の引き上げを想定。 大東建託株式会社 一部の上級管理職および臨時従業員を除く全従業員約8000名に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均約5.1%の賃上げ。また、2024年度入社から新入社員の初任給を引き上げる。一律2万円(約8~9%)増額し、大卒で24万円とする。 ヒューリック ベースアップと定期昇給をあわせて平均10%程度の賃上げ。 大和ハウス工業 大和ハウス本体の約1万6000人に対し、ベースアップや定期昇給を合わせて、平均月1万8792円の賃上げ。賃上げ率は約5%。うちベースアップ相当分は3.5%、定期昇給分は1.5%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律で月1万円増額し、4月入社の大卒社員は25万円にする。 鹿島建設 定年再雇用者を除く従業員約8500人に対し、ベースアップ定期昇給を合わせて、5.7%賃上げ、ベースアップは総合職の場合で3万5000円。賞与を合わせると、平均7.4%の賃上げとなる。定年再雇用者の待遇も改善する。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。大卒28万円・院卒30万円にする。 大林組 従業員約10200人に対し、ベースアップと定期昇給をあわせた総額で平均約7%の賃上げ。ベースアップは2万5000円で約4.5%。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。3万円増額し、大卒28万円・院卒30万円にする。 大成建設 ベースアップや定期昇給などを合わせて、平均6%程度の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。月1万5000円増額。 長谷工コーポレーション 2024年度入社からの初任給を引き上げる。4万5000円増額し、大卒で30万円、大学院卒で32万円にする。 竹中工務店 ベースアップ定期昇給を合わせて、平均約7%超の賃上げ。うちベースアップは約2万5000円。さらに、建設現場勤務者の手当を増額し、月額最大11万円にする。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。3万円増額し、大卒28万円・院卒30万円にする。 千代田化工建設 ベースアップと定期昇給をあわせて平均約11%の賃上げ。うち、ベースアップで約3万6000円、平均7%の賃上げ。 日揮ホールディングス 持ち株会社の日揮HDと事業子会社の日揮グローバル、日揮などに所属する社員約3000人(管理職を含む)に対し、平均約7%の賃上げ。ベースアップで1万6800円、賃上げ率で4%前後。管理職を除く約1600人では、約10%の賃上げ。 コスモスイニシア 大和ハウスグループのコスモスイニシアは、アルバイトを除く全従業員に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて、約6.1%の賃上げ。また、新入社員の初任給を引き上げる。大卒で1万5000円増額し、26万円にする。 清水建設 従業員約1万1000人に対し、5.7%の賃上げ。うちベースアップは3.1%。その他、転勤や単身赴任に伴う手当なども改定し、総額で平均8.3%の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。総合職の大卒で1万5000円増額し、28万円にする。 東洋建設 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均9.6%の賃上げ。
食料品・飲料業界
日本たばこ産業(JT) 正社員に対し、ベースアップと定期昇給などを合わせた総額で平均5%の賃上げ。うちベースアップは一律月1万2500円。契約社員には9万8000円、パートタイマーには6万6000円の一時金を支給。 ロッテ 全社員に対し、平均1万9077円の賃上げ。賃上げ率は平均6.64%。ベースアップは実施せず、賃上げ幅は従業員の等級に応じて定める。再雇用者についても10%程度賃上げする。 アサヒグループホールディングス アサヒビールは組合員約1600人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて約6%の賃上げ、満額回答。うち、ベースアップは月1万3500円、32歳以下の社員を対象に増額し最大で月1万7000円。 キリンホールディングス キリンHDの約1800人に対し、ベースアップと賃金改定分を合わせて、約7.5%の賃上げ。ベースアップで平均月1万3000円の賃上げ、満額回答。若手社員には最大2万円のベースアップを実施。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。2万8000円増額し、大卒で27万円にする。 サントリーホールディングス ベースアップや定期昇給などを合わせて、平均約7%の賃上げ。うち、ベースアップは月額1万3000円。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。3万6000円増額の27万8000円にする。 味の素 ベースアップと定期昇給を合わせて、平均月2万1000円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は約6%。ベースアップは月額1万4000円。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万4000円増額し、25万9000円にする。そのほか、非正規従業員にも物価上昇分に準じた賃上げをする。 明治ホールディングス 明治はベースアップと定期昇給を合わせて、平均月2万1125円の賃上げ。賃上げ率は5.93%。うち、ベースアップは月1万5000円、定期昇給は約2%。 日清製粉 ベースアップで月1万1000円の賃上げ、満額回答。 ニチレイ ベースアップで月1万2000円の賃上げ、満額回答。 キッコーマン ベースアップで平均月1万3000円の賃上げ、組合側が要求した月1万5000円を下回った。 日清オイリオ ベースアップで月1万円の賃上げ、満額回答。 森永乳業 ベースアップで月1万円の賃上げ、満額回答。 サッポロホールディングス サッポロビールは組合員2300人に対し、ベースアップや定期昇給などを合わせて、平均6.4%の賃上げ。うち、ベースアップは月額1万2000円。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万5000円増額の、24万5000円とする。 キューピー 一般職は一律1万円のベースアップ。管理職は一律でボーナスを増額し、社員全体で平均およそ6%の賃上げ。 ニップン ベースアップで月1万2000円の賃上げ、満額回答。 昭和産業 ベースアップで月1万円の賃上げ、満額回答。 ニッスイ 正社員とシニア職員に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均5.4%の賃上げ、正社員は平均16700円。うち、ベースアップは一律月額1万2000円。契約職員は月額12000円に相当する時給を引き上げ、幹部職員についてもベースアップを実施。また、新卒社員の初任給も一律1万2000円引き上げる。大卒で23万7000円にする。 三菱食品 正社員と嘱託社員計約4000人に対し、月1万5000〜2万円の賃上げ、組合側が要求した一律1万3000円を上回る。また、臨時社員を含む全社員約4300人を対象に最大15万円の一時金も支給する。さらに定期昇給やシニア社員の処遇見直しも実施し、全社平均で8.6%の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給についても引き上げる。大卒で25万円になる。 カゴメ ベースアップ実施。実施額は非公表。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で2万円増額し、22万7500円。 不二家 ベースアップで平均月1万344円の賃上げ、組合側が要求した月1万4246円を下回った。 極洋 正社員に対し、ベースアップと定期昇給と合わせて、平均5.3%の賃上げ。うち、ベースアップは平均月額12000円(平均3.4%)、主任(平均年齢36歳)級以下の社員のベースアップは16000円、定期昇給は平均1.9%。 ホクト 非正規を含めた社員に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて、正社員で平均1万8500円の賃上げ。ベースアップは、正社員で月額1万5000円、非正規社員で同8500円の引き上げ。 亀田製菓 正社員約1350人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均月1万45円の賃上げ。賃上げ率は3.93%。うち、ベースアップは7000円。 湖池屋 ベースアップ定期昇給を合わせて、9%賃上げ、うちベースアップは6.3%。また、初任給を引き上げる。大卒で2万円増額し、23万8000円とする。
小売・服飾業界
イオングループ
イオンモールは、正社員の総額で平均月2万7196円(7.73%)、パートタイマーで時給83.5円(7.01%)の賃上げ。イオンリテールは、正社員で総額平均賃上げ1万9751円(6.39%)、パートタイマーで時給76.66円(7.02%)の賃上げ。イオングローバルSCMは、正社員の総額で平均2万3184円(6.94%)、パートタイマーで時給76.9円(7.0%)の賃上げ。ピーコックストアは、正社員の総額で平均1万7694円(5.75%)、パートタイマーで時給84.0円(7.04%)の賃上げ。まいばすけっとは、正社員の総額で平均1万9672円(7.37%)、パートタイマーで時給84.43円(7.03%)の賃上げ。
ニトリホールディングス
総合職社員4403⼈に対し、平均月2万2389円の賃上げ。賃上げ率は6%。うち、ベースアップ含む賃金改善1万7092円、定期昇給5297円。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万5000円増額し27万円に、大学院卒で2万5000円増額し29万円にする。パート・アルバイト社員は時給で一人平均67.3円の賃上げ(6.01%)。
セブン&アイ ホールディングス
イトーヨーカ堂は、パート従業員の総額で時給平均46.22円の賃上げ、賃上げ率は4.07%。
ヨークベニマルは、正社員の総額で平均月1万5079円(4.78%)、パート従業員の総額で時給平均70.0円(7.05%)の賃上げ。パート従業員については満額回答。"
ダイエー
正社員の組合員1700人に対し、ベースアップと定期昇給と合わせて平均月2万1136円(6.58%)の賃上げ。パート従業員約1万4000人に対して、時給81.2円(7.07%)の賃上げ。いずれも満額回答。
ローソン
従業員約2700人に対し、ベースアップと制度昇給分を合わせて平均月1万3190円の賃上げ、賃上げ率は5%(賞与から月例給への一部組み換えを含む)。うち、ベースアップは平均月7170円。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万6000円増額し、23万3000円にする(東京23区内に在住し、東京都内に勤務した場合)。
スギ薬局
正社員に対し総額で平均1万5982円(4.89%)、パートタイマーに対しては時給79.4円(6.93%)の賃上げ、正社員は満額回答。
ウエルシア
正社員に対し総額で平均2万555円(6.07%)、パートタイマーに対しては時給88.1円(7.95%)の賃上げ、正社員は満額回答。
三越伊勢丹
正社員に対し、ベースアップと定期昇給と合わせて、平均月1万6149円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は4.31%。うち、ベースアップは7702円(2.05%)。
髙島屋
正社員に対し、ベースアップと定期昇給と合わせて、平均月1万6642円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は3.83%。うち、ベースアップは9000円(2.07%)。
J.フロント リテイリング
J.フロント リテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店は、管理職を含む社員約5000人に対し、ベースアップで2万円の賃上げ。賃上げ率は6.1%。また、2024年入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律で2万円増額し、大卒で24万7000円にする(8.8%)。
ヤオコー
正社員約3000人に対し、総額で平均1万7753円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は5.77%、パートタイマー従業員1万4000人に対しては時給68.7円(6.34%)の賃上げ。
ワークマン
パート従業員を含む社員に対し、ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた総額で平均5.1%の賃上げ。
ビックカメラ
正社員約4600人に対し、ベースアップと定期昇給合わせた総額で3万2461円の賃上げ、満額回答。賃上げ率は11.8%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律3万円増額、大卒で25万2000円になる。
ライフコーポレーション
正社員約5300人に対し、ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた総額で平均5%の賃上げを5月から実施。パート従業員約約19800人の時給を6月から平均6%引き上げる。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律で月1万円増額する。その他、これまでの 1月1日、2日に加え、1月3日までの正月三が日を原則正月休業とする。
アインホールディングス
正社員に対し、ベースアップなどで平均6%賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。2万円増額する。
ノジマ
従業員約3000人に対し、ベースアップで月1万円の賃上げを2024年1月に実施。賃上げ率は平均3%。
アシックス
臨時一時金としてグローバルの全従業員に約10万円を支給する。また、2024年度入社から新入社員の初任給を引き上げる。大卒で5万3000円(24%)増額し、27万5000円、大学院修士卒で5万5000円(23%)増額し29万円にする。2年目以降の若手社員の給与も10%前後引き上げる。その他、プロフィット・シェア型賞与の導入や、持株会を通じた譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入する。
ジンズ
ジンズホールディングス傘下のジンズは、店舗に勤務する正社員に対し、ベースアップで1万5000円賃上げを5月支給分から実施。月額基本給は前年(23年8月期)と比べ、8.1%〜13.9%増える。
オンワード樫山
オンワードホールディングス傘下のオンワード樫山は、販売職の社員約2500人に対し、制度の見直し、手当など合わせて総額平均10%賃上げする。また、2025年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。3万3000円増額し、24万円にする。
ファミリーマート
全本社員約4300人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて、月1万5200円の賃上げ、賃上げ率は約4.3%。さらに6月以降、全社員の勤務時間を15分短縮し、7時間30分勤務に変更する。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で2万5000円増額し、24万5000円にする。
外食・娯楽サービス業界
ゼンショーホールディングス 正社員1239人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均12.2%の賃上げ。ベースアップは4万153円(10.36%)、定期昇給は7125円(1.84%)。また、2025年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で2万8000円増額し、27万8000円になる。 日本マクドナルド 正社員約2500人に対し、ベースアップと定期昇給をあわせて、平均4%賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大学卒、大学院卒を対象に1万円増額する。 すかいらーくホールディングス すかいらーくHDと主要事業子会社すかいらーくレストランツの正社員計約4200人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均2万1333円の賃上げ。賃上げ率は6.22%。うち、ベースアップは17400円(5%増)。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。1万7400円増額し、245800円にする。 トリドールホールディングス トリドールHDのほか、株式会社丸亀製麺など子会社5社を含む正社員1549人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて月28503円の賃上げを6月より実施。賃上げ率は平均10%。うち、ベースアップは21710円(7.6%)、定期昇給は6793円(2.4%)。組合側が要求したベースアップの賃上げ率4.6%を大きく上回った。 吉野家ホールディングス 吉野家HDと事業会社の吉野家の正社員791人に対し、定期昇給と生活補助手当の拡充などを合わせて平均8.91%の賃上げを3月から実施。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。大卒社員で1万4771円増額し、23万2500円とする(ライフプラン手当を含む)。 コロワイド コロワイドのほか、傘下のレインズインターナショナルやアトム、コロワイドMDなど国内グループ会社の全正社員約3500人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均6%の賃上げ。うちベースアップは平均3%。また、2024年度入社から新卒の初任給を引き上げる。大卒で平均1万4300円の増額し、26万1700円にする。 物語コーポレーション 年俸制社員を除いた正社員計1323人に対し、ベースアップで月1万円の賃上げを2023年11月に実施。賃上げ率は平均4.4%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒総合職で月3万円増額し、252000円にする(手当を含む)。 王将フードサービス 正社員2230人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均月3万9162円の賃上げを7月の支給分から実施。組合側の要求2万220円を大幅に上回った。賃上げ率は11・5%。また新卒社員の初任給も引き上げる。大卒で5万2000円増額し、27万8500円にする。 ハイデイ日高 正社員約900人に対し、ベースアップで平均1万2311円(4%強)の賃上げ。ベースアップと定期昇給の相当分を合わせた賃上げ率は平均5.5%。2月には「成長分配金」として総額1億7700万円を支給し、これを含めた実質の賃上げ率は7%強となる。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律1万5000円増額し、大卒で26万5000円になる。 松屋フーズ 正社員約1800人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて、10.9%の賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給も引き上げる。月2万円増額し、大卒で250000円にする。 モスフードサービス 4月時点の正社員、嘱託社員など全社員約650人に対し、ベースアップと定期昇給分を合わせて、平均8%程度の賃上げ。全対象者一律月1万円の支給に加え、平均3%を増額するハイブリッド型(合計平均6%)とする。勤続年数の少ない若手社員ほど高い昇給率になる。 串カツ田中ホールディングス 串カツ田中ホールディングス、串カツ田中、セカンドアローに所属する正社員約400人対し、ベースアップと定期昇給、手当の増額などを合わせた総額で5%〜最大18%の賃上げを、2024年1月分より実施。 ロイヤルホールディングス 正社員約1850人に対し、ベースアップで1万5000円の賃上げ、組合側の要求1万円を上回った。ベースアップと定期昇給、役職手当の増額などを合わせた総額で平均6.2%の賃上げ。店長や料理長の役職手当は1万円増額、シニア社員の店長・料理長基本給は15%増額する。また、2025年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒の場合で2万円増額の24万8000円とする。 セブン&アイ・フードシステムズ デニーズを運営するセブン&アイ・フードシステムズは、正社員の総額で平均1万5388円の賃上げ、賃上げ率は4.81%。 オリエンタルランド 準社員(パート・アルバイト)を含む従業員約24400人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて平均約6%の賃上げ。準社員の時給を70円増額し、基本時給1210〜1600円にする。また、2024年度入社から新入社員の初任給を引き上げる。大卒・大学院卒で1万7000円増額し、25万5000円にする(約7%増)。 JTB ベースアップと定期昇給を合わせて、平均5%賃上げ。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。3万2000円増額し、大卒の首都圏の1都3県勤務で26万2000円にする(地域間調整給を含む)。制度の見直しと、既存社員の給与についても底上げ。シニア社員へ賞与を支給し、年収は現行制度より約24%増える。 エイチ・アイ・エス 4月時点の正社員・契約社員を対象に、ベースアップと定期昇給を合わせて平均4.3%の賃上げを5月1日に実施。また、2025年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律1万5000円増額。首都圏の場合、大学・大学院卒は現行の22万円から23万5000円にする(地域手当を含む)。2024年5月から定年後再雇用制度を改定し、60歳以上嘱託社員の選択的週休3日制を導入。 西武・プリンスホテルズワールドワイド 正社員約6000人に対し、ベースアップで平均3.6%、若年層で最大7.3%の賃上げ。また、2025年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒の首都圏エリア採用で約20%増額し、24万2000円とする。 リゾートトラスト ベースアップと定期昇給を合わせて平均5.3%の賃上げ。 ルネサンス 2025年度入社から新入社員の初任給を引き上げる。学歴や勤務地に応じて、月2万1000円〜2万3720円増額する。 コナミグループ 一部を除くグループ各社の正社員に対し、ベースアップで月5000円の賃上げ。定期昇給と合わせた賃上げ率は5.6%。 くら寿司 6月1日付けで国内の全社員、およそ1800人に対し、ベースアップで月3万円の賃上げ、賃上げ率は10.73%。また新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で3万円増額し260500円にする。
バイオ・医薬業界
武田薬品工業 正社員1人当たり平均1万5200円の賃上げ、組合側の要求額2万円を下回った。 第一三共 国内のグループ会社を含む全従業員約9000人に対し、平均で7%超の賃上げ。 日本新薬 ベースアップと定期昇給分を合わせて、平均で2万1000円以上の賃上げ。賃上げ率は6.4%。ベースアップは1万4000円、満額回答。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。1万4000円増額し、大卒で26万4000円、修士・6年制卒28万4000円にする。 ニプロ 管理職を含めた従業員に対し、平均月3万円程度の賃上げ、賃上げ率は10%超。 中外製薬 ベースアップで1万円の賃上げ。
商社
三菱商事 役員を除く国内外の社員約5500人に対し、ベースアップと個人賞与ボーナスを合わせた総額で、年間平均4.5%の賃上げ。また、初任給を引き上げ、2万円増額する。 丸紅 ベースアップで月額平均6.5%の賃上げ、組合の要求を上回る回答。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。学部卒で5万円増額し、30万5000円にする。 住友商事 従業員4659人に対し、平均2万6156円の賃上げ、賃上げ率は3.82%。
その他
日本郵政グループ 日本郵政グループの社員に対し、ベースアップと定期昇給分などを合わせて、平均4%の賃上げ。うちベースアップは平均月5100円で、組合側の要求の月1万円を下回った。一時金は、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の3社が月給の4.3か月分、ゆうちょ銀行は月給の4.4か月分。 伊藤忠商事 全社員平均で約6%賃上げする方針。また、新卒社員の初任給を引き上げる。一律5万円増額し、大学卒の総合職で30万5000円にする予定。 TOTO ベースアップと定期昇給をあわせて平均5%以上の賃上げ、満額回答。 コマツ ベースアップと定期昇給をあわせて2万2250円の賃上げ、賃上げ率は6.74%。うち、ベースアップは月額1万6000円、組合側が要求していた月額1万7000円を下回った。 ヤマハ ベースアップで月1万3000円の賃上げ、満額回答。年間の一時金も5.2ヶ月で満額回答。また、新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で1万円増額し、25万円にする。 セコム ベースアップと定期昇給、手当を合わせた総額で平均6.3%の賃上げ。警備員の賃上げ率は8〜10%。セコム単体の組合員1万4000人が対象。警備員は約半数を占める。 コクヨ 2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大学卒事務社員で2万7500円増額し250500円にする。 イトーキ ベースアップと定期昇給を合わせて平均5.34%の賃上げ。2024年3月に全従業員へ特別慰労金を支給。 レンゴー ベースアップと定期昇給などを合わせて、平均で月2万2000円の賃上げ。賃上げ率は平均月7%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律2万4500円増額する。 カプコン 3000人の正社員に対し、一時金を支給するとともに、平均で5%を超える昇給を行う予定。また、2025年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。一律6万5000円増額し、30万円にする(時間外勤務手当、通勤手当は別途支給)。 TOPPANホールディングス 定期昇給や手当などを含めた総額で平均7.8%の賃上げ。うち、ベースアップは月1万円。 テレビ東京 管理職以外の一般社員約520人に対し、ベースアップと定期昇給を合わせて、平均約5.2%の賃上げ。うちベースアップは平均2.1%。また、2024年度入社から新卒社員の初任給を引き上げる。大卒で 3.1%増額し29 万400円、大学院卒で 3.0%増額し30万300円にする。 オカムラ ベースアップ定期昇給を合わせて、5.68%賃上げ、ベースアップは1万2000円。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。約10%引き上げ、大卒25万円・院卒26万4000円にする。年間賞与は6.4カ月、平均約215万円の過去最高の賞与支給額になる見込み。 ユニチャーム 社員の年収を平均年収は7.3%、最大37%の賃上げ。また、2024年度入社からの初任給を引き上げる。学部卒で2万5000円増額し23万5000円、大学院卒で2万4000円増額し25万円にする。 NHK 管理職を除く業務職約5800人に対し、ベースアップで月額平均6500円の賃上げ。
具体的な賃上げの内容
まとめた表を見ると、全体的な給与水準の引き上げという共通項以外に、以下のような特色を打ち出している企業が目立ちます。
過去最高水準の賃上げとなった企業 若手や高度人材など特定の従業員への昇給を厚めにする企業 柔軟な働き方に対応する人事制度を整備する企業 非正規従業員も賃上げの対象とする企業
以下ではいくつかの企業をピックアップし、それぞれ賃上げ内容の詳細について見ていきます。
過去最高水準の賃上げとなった企業
NTT、日本たばこ産業(JT)、日本郵政グループ、日本製鉄などの大企業では、2023年を超える過去最高水準の回答が相次ぎました。日本郵政グループは民営化以降最大の賃上げとなっています。その他各業界から、過去最高水準の賃上げとなった企業を抜粋して紹介します(注:記無い企業は過去最高水準。年度あるものは、要求方式の変更・賃金体系等の見直し・労組結成年度等、労使交渉に大きな影響を与えた年を記載)。
自動車業界:トヨタグループの主要部品6社、ホンダ(1989年以降)、 SUBARU(2020年以降)、日産自動車(2005年以降)、マツダ(2003年以降) 、スズキ
電子機器・機械業界:日立製作所、富士通、パナソニックホールディングス、NEC、東芝、安川電機(いずれも1998年以降)、クボタ
交通業界:JR東海、JR九州、京王電鉄、名古屋鉄道
通信:ソフトバンク
化学業界:信越化学工業
食品・飲料業界:カゴメ(2005年以降)、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、サッポロビール、明治
外食業界:ロイヤルホールディングス(1991年以来)、松屋フーズホールディングス、ゼンショーホールディングス、トリドールホールディングス、王将フードサービス
サービス業界:JTB(2018年以降)
若手や高度人材、シニア人材など特定の従業員への昇給を厚めにする企業
少子化に伴う新卒者の減少や若手社員の早期離職防止の影響で、初任給を引き上げる企業が増加しています。優秀な人材の獲得、そして新卒市場での競争力強化を目指し、今年の賃上げにおいても、社員のベースアップを上回る額で新卒社員の賃上げを行う企業が目立ちました。また、2021年4月に施行された高年齢者雇用安定法改正や近年の人手不足の影響から、シニア世代が働き続けられる環境の整備を進める企業も増えています。
日本製鉄
粗鋼生産量で国内首位、世界4位の日本製鉄は、労働組合の賃上げの要求額を5000円上回る、3万5000円で回答しましたが、初任給はその額を大幅に超える4万1000円増(大学学部卒)としました。「今後の生産性向上を前提とした、将来に向けた人への投資だ」と説明しています。
JTB
旅行最大手のJTBは、初任給の引き上げに加え、従来4年だった「初期育成期間」を2年に短縮する発表としました。育成期間を終えた新卒3年次の成果が4年次の給与に反映されることになります。新卒採用マーケットでの競争力の強化と、若手社員の成長意欲を刺激し人材の定着を図るとしています。
シニア社員についても賃金体系を見直します。今後は賞与を支給し、シニア社員の年収は現行制度より約24%増える見込みです。豊富な経験を持つ社員が、これまで培った経験やスキル、ノウハウが活かされ、意欲をもって働くことができる環境を構築するとしています。
柔軟な働き方に対応する人事制度を整備する企業
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や育児や介護との両立など、多様化している働く方のニーズに対応することが企業に求められています。2019年以降施行された「働き方改革」に関する法案では、働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するために、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などが実施されています。
沖電気工業株式会社(OKI)
日本で最初に電話機を製造した明工舎を前身にもつ、電気メーカー沖電気工業株式会社では、「人への投資」ならびに「育児支援」の観点から、賃金水準改善及び、有給休暇制度の拡充を発表しました。
①本人の傷病治療において時間単位の有給休暇取得を可能にするとともに、結婚時に取得できる有給休暇の取得可能期間を従来の90日以内から1年以内に拡大し、私事都合による分割取得を可能とする。
②同一世帯の子が障がい児である社員について、子が18歳に到達する年度の3月まで、短時間勤務の適用期間を拡大する。
関西電力
東京電力に次ぐ業界2位で、ガス・情報通信・不動産も事業展開している関西電力では、労働協約の改定を発表しました。
①不妊治療に安心して専念できる環境整備に向けて、生殖補助医療を実施する者に対し、最大2年間の休職を認める制度を導入。
②小学校就学の始期に達するまでの孫を看護する者に対し、1年度につき5日間 (孫が2人以上の場合は10日間)を限度とした、新たな休暇制度を導入する。
JR九州
JR九州は、子育て支援や多様な働き方の提供を通じた社員の働きがいの向上を目指し、制度の改正・新設を発表しました。
①男女を問わず不妊治療で休職する社員に月4万円を支給する制度を新設する。
②昨年3月に発表していた出産祝い金の増額も今年4月から実施し、現在は新生児1人1万円の祝い金を30万~50万円に増やす。
非正規従業員も賃上げの対象とする企業
小売りや外食、繊維などでつくる、連合傘下で最大の産業別労働組合「UAゼンセン」によると、今年の春闘の1次集計をまとめた結果、平均賃上げ率が正社員は5.91%、パートは6.45%となり、ともに過去最高だったと発表しました。64の組合で正社員よりもパートの賃上げ率が上回っており、雇用形態による格差の解消が進んでいるとしています。
イオングループ
北海道から沖縄県まで、日本全国に店舗を構えるイオングループは、約40万人のタイム従業員を雇用しており、日本最多となっています。2024年春季労使交渉では、グループのパートタイム従業員の時給一律7%アップの統一方針を打ち出していました。グループ各社により妥結の内容は異なりますが、昨年に引き続き正社員でおおよそ5〜7%、短時間勤務社員(パートタイム)で7%の賃上げが実現しました。
一般的に、企業の労働組合に加入するのは正規従業員であり、非正規従業員の労働組合加入への対応は企業ごとにより異なります。イオングループでは非正規労働者の労働組合参加を積極的に推進し、非正規にも手厚い賃上げを行っています。
ニトリグループ
国内外合わせておよそ900店舗を展開し、総従業員数が5万人を超えるニトリグループでは、パート・アルバイト社員が従業員の約8割を占め、組合員の大半を占めています。2024年春季労使交渉では、総合職社員については21年連続でベースアップ、パート・アルバイト社員については11年連続で制度昇給以外の時給引上げを決定しました。総合職社員に対しては、総額で平均月2万2389円の引き上げ、パート・アルバイト社員は1人あたり平均時給67.3円の引き上げとなります。
同社は、従業員⼀⼈ひとりが意欲をもち成⻑することがニトリグループの⾶躍的な成⻑につながるとしています。
オリエンタルランド
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも、労働組合との間で、管理職を含む社員およびパートタイム従業員に対して賃上げを行うことで合意しています。
賃上げの対象は、同社が運営する2つのテーマパークで働くキャストを含む約2万4000人に及びます。賃上げの幅は平均で約6%となり、準社員の時給は一律で70円引き上げられ、大卒初任給は前年度より1万7000円引き上げられます。
同社は、従業員の働く上での安心を確保し、一人ひとりがより活躍できるようにするための施策として、これらの賃上げを実施しています。
まとめ
20年以上にわたるデフレマインドが変化しつつあり、今年は「インフレに勝る賃上げ、持続的な賃上げ」の動きが活発化しました。デフレからの完全脱却には賃上げが不可欠との認識が労使で一致したことが、多くの企業で満額回答、満額以上の回答につながったと考えられます。また、新卒採用競争力、若手人財層への投資の強化から、初任給の大幅増額や人事制度の改定、シニア人材や非正規雇用人材の獲得・流出防止を目的とした改定も多く見られたことが2024年春闘の特徴でしょう。
また中小企業などにも賃上げの流れを広げることが重要だとし、政府は特に中堅企業の成長を後押しする政策を強化しています。働く人全体の賃金を上げることは、消費を活性化させ経済成長への好循環を呼び込む第一歩でもあります。今後の動きにも注目です。