うちの子 算数苦手かも? 小学校低学年の「算数」 親の見落としがちポイントとわかりやすい教え方を〔元小学校教諭の教育評論家〕が伝授
小学1・2・3年生がつまずきがちな算数の単元について、元小学校教諭の教育評論家・親野智可等先生が解説。子どもがよくわかる算数の解き方と、親の教え方のテクニックを紹介します。
小学校低学年くらいに訪れる「中間反抗期」って知ってる?<アンケート結果>算数は積み上げ型の教科だからこそ、その初期段階の小学1・2・3年生の勉強から重要視している方は多いでしょう。子どもの算数力を上げる教え方にはコツがあります。元小学校教諭で教育評論家の親野智可等(おやのちから)先生が、子どものつまずきポイントと具体的な教え方のテクニックを解説します。(全3回の第2回)。
1・2・3年生の算数 子どもが苦手な単元はこれ!
表:コクリコ調べにより作成
小学校6年間で習う主な算数の単元は、表のとおりです。ここから読み取れるのは、下の学年で習った勉強が、上の学年で難しくなったり、応用されたりしていることです。
たとえば、1年生で習う「たし算・ひき算」は、2年生で「たし算・ひき算の筆算」に。2年生で習う「かけ算(九九)」は、3年生以降に「わり算」など、さまざまな単元で登場します。算数が積み上げ型の教科といわれているゆえんです。
「小学校ではさまざまな単元を習いますが、その基本となる勉強が1年生のたし算・ひき算と2年生のかけ算(九九)です。
ここがわかっていないと続く3年生、4年生、高学年、その後の中学や高校の勉強にも響きます。つまずく子どもが多い部分ですから、しっかりと身につけさせたい単元です」(親野先生)
1年生 ここがわからないと大苦労する「数の分解と合成」
『8はあといくつで10になる?』
「1年生の算数のごく初めには、『数の分解と合成』という重要な勉強があります。数の分解とは、『8は3と5』などに分けられることであり、数の合成とは『8と2で10』などと、数を合わせることをいいます。
つまり、たし算とひき算の基本です。
『分解と合成』の中でも10の分解と合成が重要で、教科書では『10をつくろう』などのタイトルで登場します。問題としては『8はあといくつで10になる?』のような具合です。
このとき、たして10になる数=専門的な言葉でいうと『補数』は、2です。7の補数は3であり、6の補数は4です。
1年生では、この『補数』が瞬時に答えられないと1年生の最大の難関である、繰り上がりのたし算と繰り下がりのひき算でつまずきます。
なぜなら、8+7の場合なら、まず10をつくることが必要であり、12-3の場合は、まず12を10と2に分け、10から3を引くことが必要だからです」(親野先生)
1年生のたし算・ひき算でつまずいている場合は、「お風呂算数(※#1を参照)」で数える経験や数に親しむ経験を積むことのほかに、補数当てゲームもおすすめだと親野先生は話します。
「朝、子どもが起きてきたら、すかさず『7はあといくつで10になる?』と、問題を出すのもいいですね。パパやママと競い合って、答えが早くいえたら点数をあげるなど、楽しみながら算数力を高めるといいでしょう」(親野先生)
2年生 「九九」のマスター術
完全バラバラ九九の見本:コクリコ作成
2年生の算数で最大の難関といえば「九九」でしょう。
「九九は、3年生以降のほとんどすべての単元の土台になっています。そのため、順番どおりにいえただけでは不十分。九九でケアレスミスをするなら、今後のためにも、2年生のうちに順不同、かつ瞬時に答えられるように練習が必要です。
子どもが『上がり九九』『下り九九』がスラスラいえない場合は、しっかりと覚えていませんから、表などを見ながら唱え、覚えたら何も見ずにいう練習をしましょう。
次は『段ごとのバラバラ九九』をマスターし、最終的には『完全バラバラ九九』に瞬時に答えられるようにします」(親野先生)
親野先生の九九マスター術
■上がり九九と下り九九
1の段を除いた、2×1~9×9まで、9×9~2×1までを順番に唱える。最初は九九表などを使い、覚えたら何も見ずに行う。
■段ごとのバラバラ九九
単語カードを九九カードに仕立て、表に式、裏に答えを書く。段ごとに上がり九九、下り九九を唱えることができたら、段ごとにランダムに並べて唱える。
■完全バラバラ九九
1の段と各段の×1を除いた、完全に順不同にした九九カードを使って唱えたり、64個の九九をランダムに並べた「完全バラバラ九九」プリントを使って習熟する。
「プリントでの完全バラバラ九九は、何回でもやってみましょう。最終的には1分以内にすべてに答えるなど、時間制限があると子どもははりきって何度でも取り組みます。
さらに、子どもは答えを書く順番や位置を覚えていることがあるので、問題は定期的に入れ替えるのもおすすめです」(親野先生)
3年生 アナログ時計が「時刻と時間」の理解を深める
時計の計算問題につまずいている場合は、アナログ時計に慣れ親しむといいでしょう。 写真:maruco/イメージマート
2年生では「時間」「分」を習いますが、3年生ではさらに内容が進んで時刻と時間の計算を習います。低学年で時間の勉強に触れていたとしても、計算問題になることで子どもは混乱します。
「たとえば3年生では、『東京駅を10時09分に出発する新幹線があります。名古屋駅に到着するのは11時45分です。かかる時間は何時間何分ですか?』のような計算問題を勉強します。
時計は60進法と12進法の組み合わせなので、子どもにとっては大変難しい計算です。
時計の計算問題につまずいている場合は、デジタル時計での暮らしに慣れている可能性があるので、アナログ時計で60進法と12進法に慣れ親しみましょう。
『パパは11時に家を出発するけれど、あと何分で11時になるでしょうか?』と、日常生活の中でクイズを出してみてください。きっと楽しみながら子どもは時計と時刻を学ぶはずです」(親野先生)
時計は文字盤や長針、短針のデザインが見やすく工夫されていて、何分かを表す数字もはっきりとわかる知育時計がおすすめです。
生活に直結することは、暮らしの中で算数を教えることがコツです。子どもは実感を持って学べます。
次回は4・5・6年生がつまずきがちな算数の単元について解説。わり算の筆算、割合、速さの教え方のコツを紹介します。
取材・文/梶原知恵
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◆親野 智可等(おやの ちから)
教育評論家
長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。