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あと100日を切ったのに「まだ五輪ショーを続ける気?」 海外メディアも呆れた誰も止められないチキンレース(1)

J-CAST会社ウォッチ

新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、東京五輪・パラリンピック開催まで2021年4月14日であと100日になった。

いったい、東京五輪は開くことができるのか? IOC(国際オリンピック委員会)は同日、「断固開催する!」と宣言した。一方、海外の有力紙は相次いで「中止すべき」と訴える。

政府・五輪組織委員会からは、変異ウイルスの猛威にシナリオを崩されて弱気の声も聞こえてくる。

しかし、誰も中止の決断をしない、いや、できないまま突っ走ることになりそうだというのだ。どうなる、ニッポン?

IOC「史上、最も安全な大会になると断言できる」

東京五輪開催予定の20201年7月23日まであと100日となる4月14日、IOC(国際オリンピック委員会)は、「断固、東京大会を開催する!」と威勢のいいメッセージを発表した。

NHKニュース(4月14日付)「IOC コーツ委員長「東京オリンピック 必ず開催される」が、こう伝える。

「大会の準備状況を監督するIOCコーツ調整委員長は4月14日、ビデオメッセージを公開し、『大会は必ず開催され、7月23日に開幕する』と述べて東京大会の予定どおりの開催を断言した。コーツ氏は、東京大会について『史上最も準備が整った大会だ。組織委員会の働きは際立っており、最も安全な大会になると断言できる。参加者すべての安全を守るための対策が講じられる』と述べた。そのうえで、『感染症の世界的な流行に人類が打ち勝ったことを示す大会となるだろう』と述べて大会の予定どおりの開催を断言した」

変異ウイルスでシナリオが壊された菅義偉首相

このIOCの自信の根拠はどこからくるのか不明だが、日本側はコロナ禍の想定外の感染爆発の状況に、右往左往の状態だ。

毎日新聞(4月14日付)「東京大会開幕まで100日 観客制限議論進まず」によると、変異ウイルスの猛威が政府のシナリオを、すっかりぶち壊してしまった。

「開催への流れを加速させるべく関係者が描いたシナリオはこうだった。政府は首都圏の緊急事態宣言を2週間再延長し、新規感染者数を減らす。そのうえで、2か月半にわたって続いた宣言を3月21日に解除する。満を持して4日後の3月25日に聖火リレーをスタートさせ、五輪への機運を高めるとともに、暖かくなって感染状況が落ち着くであろうはずの4月に国内の観客制限を判断する――。新規感染者数が少なければ、より多くの観客の収容が可能となる......」

英紙「東京五輪のショーをまだ続ける気?」

しかし、これは捕らぬ狸の皮算用だった。関係者の想定を上回る早さで感染が増加に転じた。ある政府関係者は毎日新聞の取材に、

「話に出るのは変異株の心配ばかり。観客の議論は聞こえてこない。ウイルスは思ったよりリバウンドが早く衝撃を受けた。(4月中の)判断時期を先送りしたいが、後ろにずらしても感染状況がよくなるとは限らない」

と、板挟みの状態に表情を曇らせるのだった。

各種世論調査によれば、もし開催する場合は「無観客にする」という回答が7割近くに達している。毎日新聞がこう続ける。

「『無観客開催』が国民の理解を得る新たな打開策になりうるが、大きな痛手を被る。東京五輪組織委員会が900億円を見込むチケット収入が失われるため、さらなる公費負担が避けられない。さらに感染が広がれば、新たなジレンマが待ち受ける」

開催となった場合、足元の東京で1万人近い医療者を派遣することになる東京都医師会の尾崎治夫会長は4月13日の記者会見で、「中止すべきだ」と訴えた。

報知新聞(4月13日付)「東京都医師会長、東京五輪『これ以上感染拡大すれば無観客でも難しい』」が、こう伝える。

「尾崎治夫会長は、『これ以上感染が広がれば、たとえ無観客であってもなかなか難しい。変異株の急速な感染拡大があると、ワクチン接種も遅れ、医療従事者もコロナ患者対応に専念せざるを得ない』として、『その中でもどうしても開催したいのなら、こういう形なら安全に国内外に感染者を増やすことなく開催できるという厳しい感染予防体制を、政府と組織委は早く示すべきだ』と注文を付けた。そして、『もう第4波に入っている。いま踏ん張らないと大変なことになる』と述べた」

「東京五輪は中止すべし」と社説で訴えた英紙ガーディアン電子版(4月12日)

海外メディアにも「東京五輪は中止すべし」と訴えるところが出ている。ニューヨーク・タイムズ(4月12日付)に続き、英紙ガーディアンが4月12日付で「Tokyo Olympics:must the show go on?」(東京五輪のショーを続ける気?)という見出しをつけた社説を発表。「パンデミックをさらに悪化させる気か」と批判した。

IOCのバッハ会長が述べていた「東京大会はトンネルの終わりの光になる」という言葉を引き合いに、

「この約束は楽観的であるだけでなく、まったく間違っているように見える」

と主張した。

「日本国内でも東京や大阪で新型コロナウイルスの感染拡大が進んでいることに加え、ブラジルやインドなど国際的にも状況は非常に悪くなっている。大会には選手や関係者を含めて数万人が海外から訪れることで、ウイルスのさらなる拡大が懸念される。それでも開催する場合には(海外からの参加者に)ルールを伝えるだけでなく、順守させると保証しなくてはならない」

と指摘。そして、

「大会がなくなることには選手やファンの大きな失望はあることは認める。また、多額の経済的損失にもつながるだろう。しかし、これらの要因は東京五輪がパンデミックをさらに悪化させるリスクと比べると、分が悪いはずだ」

と述べて、中止に軍配を上げたのだった。

(福田和郎)

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