本格的なフレンチをカジュアルに楽しめる「Ay food & wine」。
新潟市東区の粟山エリアにオープンした「Ay food & wine(アイ・フード・アンド・ワイン)」は、ホテルや結婚式場で料理の修業を積んできたオーナーシェフ・山本さんの作る料理を、リーズナブルな値段でカジュアルに楽しむことができるお店です。どんな思いでお店をオープンしたのか、山本さんにお話を聞いてきました。
Ay food & wine
山本 章 Akira Yamamoto
1987年兵庫県生まれ。辻調理師専門学校で料理を学ぶ。そのうち1年間はフランス校で学び、地元のレストランで修業。卒業後は神戸のホテルやフレンチレストランを経て、全国規模のウェディング企業で結婚披露宴の料理を作り続けてきたが、2024年に独立して「Ay food & wine」をオープンする。ソムリエ、ジュニア野菜ソムリエの資格を持つ。サッカー観戦が趣味で、「ONE PIECE」にもハマっている。
多くのシェフの下で勉強し、料理の引き出しを増やす。
——オープンおめでとうございます。山本さんはどういうきっかけで料理人になりたいと思ったんですか?
山本さん:中学生のときフレンチレストランを舞台にした『王様のレストラン』というテレビドラマを見て、フランス料理って面白そうだなと思ったのがきっかけです。親の反対を押し切って、大阪にある辻調理師専門学校へ入学しました。
——面白いドラマでしたよね。専門学校ではどんなことを勉強しました?
山本さん:大阪で1年間勉強した後、リヨンにあるフランス校で1年間勉強しました。そのうち半年間は現地のレストランで研修を受けたんです。
——本場でフランス料理を学んだんですね。でもフランス語は使えたんですか?
山本さん:ぜんぜん使えませんでした。調理場ではかろうじて何を言っているのか理解できるんですけど、プライベートでは何を言っているのかまったくわからなかったですね。ときどき仕事帰りに飲みに行くんだけど、言葉がわからないからニコニコ愛想笑いをしてごまかしました(笑)
——それも大変そう(笑)。フランスのレストランで働いてみて、勉強になったことはありましたか?
山本さん:フランス人の文化や考え方に触れることができたのは良かったですね。彼らは陽気な上に子どもっぽいところもあるんです。自分の作ったまかない料理に文句を言われたことで怒って帰っちゃったり、厨房で喧嘩になって食材のザリガニを投げつけ合ったり。そのくせシェフが厨房に入ってくると、今まで騒いでいたのに急に仕事をはじめたりして(笑)
——良くも悪くもおおらかなんですね(笑)。学校を卒業してからは、もちろんフレンチの仕事を?
山本さん:神戸にあるホテルやレストランで修業して、全国展開しているウェディング企業に入社しました。大阪からはじまって、埼玉、神奈川、長野と全国各地の結婚式場で料理を作ってきましたが、結婚を機に新潟で落ち着くことにして、15年間シェフを務めさせていただきました。
——ずいぶんといろいろな土地を回ったんですね。
山本さん:グループで決められたメニューを作るにしても、アプローチの仕方や調理はそれぞれのシェフによってまったく違うんですよ。おかげでいろいろな考え方を学ぶことができたし、料理の引き出しが増えて感謝しています。
——そうおっしゃっている山本さんも、シェフを務めていたんですよね。
山本さん:はい、幅広い食材を扱うことができたので、様々な料理にチャレンジすることができて勉強になりましたね。100人前を1回作るのではなく、1人前を100回作るという意識で、ひと皿ひと皿丁寧に手作りしていました。
フランス料理初心者でも気軽に立ち寄れる「フレンチの入口」。
——独立して自分のお店をはじめようと思ったのはいつからですか?
山本さん:料理人になったときから、いつかは自分の店を持ちたいと考えていたんですけど、本格的に考えはじめたのはコロナ禍がはじまった頃ですね。結婚式のキャンセルが相次いで、ひと月ほど式場を休業したことがあったんですよ。余裕ができたことで考える時間も増えて、自分の将来に向き合うことができました。
——「Ay」っていう店名の由来を教えてください。
山本さん:まあ、僕のイニシャルなんですけど……フランスのシャンパーニュ地方にも「AY(アイ)」という町があるんですよ。あと日本語の「愛」にもかけていて、愛を持って料理を作りたいという思いから名づけました。
——イニシャルをベースに日仏いろんな意味が込められているんですね。では、こちらのお店で提供している料理のこだわりを教えてください。
山本さん:クラシカルなフレンチをベースに、和食やイタリアンのテイストも取り入れながら、食べやすくて親しみやすいフレンチを作るよう心掛けています。フレンチを食べ慣れていない方にもわかりやすい味にして、初心者でも楽しめる「フレンチの入口」になれたら良いなと思っているんですよ。
——本格的なスキルがあるのに、初心者向けのフレンチを提供するのはもったいないような気がします。
山本さん:新潟の人たちにもっと広くフレンチを楽しんでいただきたいんですよ。「フランス料理」っていうと値段も敷居も高いイメージがあるじゃないですか。だからカジュアルな値段で敷居を低くする努力をして「フレンチレストランには行ったことないけど、この店なら入りやすそうだし行ってみようかな」と思っていただきたいんです。
——なるほど。
山本さん:でも、いつか2店舗目をオープンすることができるなら、そちらは本格フレンチを提供する店にしたいですね。そのために今は店に足を運んでもらえるよう、他店のシェフとコラボした料理を提供するイベントとか、ワインとフレンチのペアリングディナーとか、食育を兼ねた子どものフレンチ体験とかをやってみたいと思っています。
Ay food & wine
新潟市東区粟山1-22-1
070-2306-1478
11:30-14:00/18:30-21:00(火曜はランチのみ、平日は20:30L.O)
水曜休