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【福岡・人気の立ち飲み】上海料理をベースにした本格中華をアテに呑める珍しいお店!

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マンダリンTOP

その気軽さで、昨今人気を集める立ち飲み店。店それぞれに魅力があって、好みの一軒を探す楽しみも尽きません。カウンターだけのシンプルな空間を、ユニークな“色”で染める店も今後増えそうです。
そういう意味で、先日お邪魔した「MANDARIN.」は新鮮な驚きでした。なにせ福岡初のジャンルであろう、“中華立ち飲み”を開拓した個性派店なのですから。

西鉄平尾駅から徒歩約5分。マンション1階に灯る「MANDARIN.」のサインが目印です。その名前から、2023年に閉店した警固の人気中華店「マンダリンマーケット 文華市場」を連想する人も多いのでは?
そう、ここはそのオーナーシェフだった山北裕児さんの店。2023年9月までは「中華惣菜厨房マンダリン 炎獅子」という惣菜店でしたが、警固店の閉店にあわせ心機一転、11月から立ち飲みに舵を切ったそうです。

現在は家族経営のためか、約5坪の店内は常にアットホーム。「コンセプトも“自分ち”です」と山北さんが笑います。多くのファンに惜しまれつつ警固の店を閉じたのは、SNSなど激しい時代の変化に疲れたため。別の店をやることで、一度自分のリズムを取り戻したかったと言います。
結果、親密な空気に包まれた今のスタイルに山北さんは大満足。その一方で客たちも、絶品中華をアテに呑めるという立ち飲み屋にあるまじき(?)贅沢が手に入ったのです。

山北さんは、シーホークホテル(現:ヒルトン福岡シーホーク)の中華部門からこの道に入った熟練職人。どの料理にも漂う品格は、当時叩きこまれた上海の伝統技法の賜物です。

その研鑽の結晶を集めたメニューから、まずは「つまみ盛り4種」(1000円)を注文。人気の単品が少量ずつ味わえる、一見客にもオススメの定番です。
この日の内容は、右から「ザーサイとじゃがいもの和えもの」「ハチノス 青山椒マリネ」「くらげの醤油和え」「押し豆腐の和えもの」で、上海料理特有のほどよい塩加減でスルリと胃の腑に収まります。食材や調味料の組み合わせも見事だし、ハチノスは臭み抜きや味入れに1時間ずつかけるなど、プロ意識の高い仕事が随所に見られます。これに合わせるなら、やはり紹興酒一択でしょう!

恰幅の良い「胡椒焼売」(1個200円)もインパクト抜群でした。これは〈COMATSU〉グループと共同経営する東比恵の姉妹店「水餃子と胡椒シュウマイの二兎」の看板料理。そこの料理長が調理中、黒胡椒をうっかり通常の10倍入れたところ予想外の美味になり……との逸話を持つ秀作です。
豚の角切りとミンチの2種類が生む独自の歯応え。噛むと溢れだす熱々肉汁。干し貝柱の絶妙な香味。すべてが完璧に調和する、スパイシーな旨味の塊は高級店クオリティのヤバさですよ。

ビールによく合う揚げ物も、どこかひと味違います。例えばパリパリ衣の「大手羽の唐揚げ」(1本400円)は、あえて一度蒸してから揚げるのがポイント。このひと手間が極上の柔らかさを身に与え、「たかが唐揚げ」を超えた口福を生むのです。

軽く飲んでただけなのに、気づけば料理にハマってた……のはどうやら僕だけじゃない様子。「酒が進み過ぎ、立ち飲み屋にはあり得ない金額を払ったお客さんもいますよ(笑)」という言葉も不思議じゃありません。星付き店のシェフをはじめ、多くの同業者が通い詰めるのも実力の証でしょう。
ガッツリじゃなくても、うまい中華をつまみたい時に理想の一軒。正直、最近これほど「近所に欲しい!」と思った店はないですね。

MANDARIN.
福岡市中央区平尾2-21-18トーカンマンション平尾2F

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